韓国で「偽ニュース対策法」が2026年7月7日に施行された。故意に虚偽情報を流布したプラットフォームやインフルエンサーに対し、実損害の最大5倍の賠償を命じる制度が導入され、社会的影響が広がっている。
政府は生成AIの普及による偽情報の急増に対応する狙いを強調するが、ジャーナリスト団体や野党は「表現の自由の侵害」「検閲につながる」として猛反発している。

その他の写真:韓国「偽ニュース対策法」施行に表現の自由懸念

 韓国メディアDigitalTodayは、コメント投稿も処罰対象となり得ると報じ、一般利用者の萎縮効果を懸念した。「The Korea Times」は、登録者数10万人以上のYouTuberが収益を得ている場合、加重賠償の対象となると具体例を示した。「聯合ニュース(Yonhap News Agency)」は、政府が透明性センターを設置し、民間ファクトチェック団体を支援する方針を伝えた。これらの報道は、法の適用範囲が広く、社会的議論を呼んでいることを浮き彫りにしている。

 改正法は、虚偽情報による被害救済を強化する一方で、プラットフォーム事業者に初期判断を委ねる仕組みを採用している。削除や表示制限を行った後、最終判断は裁判所が担う。政府は「直接検閲は行わない」と説明するが、野党「国民の力」は国会で黒いマスクを着用して抗議し、ジャーナリスト団体は「曖昧な定義が報道の独立性を脅かす」と批判を強めている。

 日本でも週刊誌の誤報による社会的混乱は繰り返されている。芸能人や政治家が誤報によって信用を失い、訴訟に発展する事例は少なくない。SNSで拡散されることで影響は拡大し、訂正記事が出ても レピュテーション・ダメージ(風評被害) が回復しないケースが多い。韓国のように高額賠償制度を導入すべきか否かは、日本でも議論の余地がある。


 韓国の制度は、虚偽情報による被害者救済を目的とするが、一般利用者やジャーナリストに萎縮効果をもたらす危険性を孕む。プラットフォーム依存の仕組みは透明性確保が課題であり、国際的にもAI生成コンテンツの増加に伴い、同様の規制が検討される可能性がある。日本においても、誤報問題の深刻化を踏まえ、韓国の制度設計は今後の議論に大きな影響を与えるとみられる。
【編集:af】
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