米イラン間の緊張が再び極限に達し、世界の原油輸送の要衝であるホルムズ海峡でタンカーの航行が事実上停止状態に陥っている。米国によるイランへの報復空爆と、イラン側のさらなる軍事行動によって湾岸地域の海運リスクが急速に高まり、世界のエネルギー供給網に深刻な影響が及び始めている。


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 ロイターは2026年7月10日、米イラン間の武力衝突再燃によりホルムズ海峡のタンカー航行が大幅に減少したと報じた。発端は7月7日から8日にかけて、カタール産液化天然ガス(LNG)を運ぶタンカー「アル・レカイヤット」など計3隻がイラン側からドローン攻撃を受けたことにある。これに対し米中央軍は、イラン南東部の防空システムやレーダー施設、無人機発射場、対艦ミサイル拠点などに強力な報復空爆を実施。6月中旬に結ばれた暫定停戦合意は完全に崩壊し、米国は停戦合意の崩壊を認める事態となった。報道によっては「停戦終了を宣言」と表現されているが、正確には「合意が崩壊した」とするのが妥当である。

 米経済通信社ブルームバーグは船舶追跡データを分析し、海峡の機能不全を経済的視点から伝えている。報道によれば、7月8日に同海峡を横断した貨物船はわずか14隻にとどまり、停戦期間中の平均34隻、ピーク時の59隻から激減。翌9日には米国制裁対象の超大型原油タンカー1隻とマーシャル諸島船籍のケミカルタンカー1隻のみが確認され、オマーン側航路は完全に無活動状態となった。

 米CBSニュースも事態の深刻さを強調。米財務省がイランへの原油売却特例免除を撤回し、経済的圧力を再強化したと報じた。合同海事情報センターは同海峡の脅威レベルを最高の「深刻」に引き上げ、水路が本質的に閉鎖状態にあると警告。イラン側は攻撃を認めていないが、独自航路への従属を船舶に強要し、従わない船舶が標的となる可能性が指摘されている。
さらに、イランはクウェートやバーレーンの米軍施設に無人機やミサイル攻撃を行い、防空サイレンが鳴り響く事態に発展している。

 技術的異常も発生。ブルームバーグはオマーン湾でナビゲーションシステムへの電波妨害の兆候を報じた。船舶自動識別装置(AIS)上で一部船舶が時速30ノット以上の異常速度で表示され、防空システムによる信号干渉の可能性が示唆されている。位置情報を隠すためAISを切って航行する船舶もあり、正確な動向把握は困難となっている。

 世界の海上原油輸送量の約25%を担うホルムズ海峡の封鎖は、すでに国際市場に影響を及ぼしている。原油価格は一時約6%急騰し、LNG船の通航も完全停止。アジア諸国をはじめ輸入国への供給遅延が懸念され、特にカタールからLNGを輸入するパキスタンではタンカーがUターンを余儀なくされ、代替調達によるコスト上昇が猛暑下の電力危機を直撃する恐れがある。安全条件が整うまで通過を避ける動きが広がり、多数のタンカーがオマーン沖で立ち往生している。

 米イラン双方が互いの軍事行動を非難し合う中、外交的糸口は見出されていない。米国は航行の自由を主張して軍事的プレゼンスを維持する一方、イランは自国の条件でのみ再開を認める強硬姿勢を崩さず、さらなる介入があれば壊滅的反撃を行うと警告。世界各国の主要メディアが一致して報じる通り、ホルムズ海峡は現在、機能不全の危機に直面している。
今後の軍事行動次第では、エネルギー供給の長期停滞と原油価格の乱高下が避けられない情勢である。
【編集:af】
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