2026年7月11日・インドネシア政府は、世界的観光地バリ島の慢性的な航空交通渋滞を解消するため、島北部ブレン県のウィスヌ(レトコル・ウィスヌ)飛行場を大幅に拡張し、新たな航空交通拠点(ハブ)として整備する方針を固めた。国営アンタラ通信などによれば、運輸省は南部のイ・グスティ・ヌグラ・ライ国際空港(デンパサール空港)が受け入れ能力の限界に近づいている現状を踏まえ、既存のウィスヌ飛行場を民間機やチャーター便、航空物流に対応可能な多目的空港へ転換する計画を支持した。
長年議論されてきた数兆ルピア規模の新空港建設案を事実上見直し、既存インフラ拡張に投資を集中させることで、北部観光開発や日系企業を含む外資誘致を加速させる狙いだ。

その他の写真:イメージ

 ジャカルタ・ポストは、運輸相が「土地収用や環境影響を最小限に抑えつつ、交通のボトルネックを迅速に解消する現実的選択肢」として、ウィスヌ飛行場拡張を最優先事項に位置付けたと報じた。ヌグラ・ライ国際空港は年間3200万人以上が利用しており、需要拡大により2029~2030年頃には施設能力が完全にピークに達すると予測される。南部リゾート地や周辺道路の渋滞は観光産業の質的低下を招く懸念があり、北部への人流分散は島全体の持続的発展に不可欠とされる。

 バリ州のウェイアン・コスター前知事は、ウィスヌ飛行場が拡張されれば、南部空港で緊急事態や混雑が発生した際の代替着陸地(ダイバート)として機能するほか、富裕層のプライベートジェットやチャーター便の受け入れが可能になると説明。さらに農産物や水産物の航空貨物拠点としての役割も期待され、ロヴィナ・ビーチやムンドゥックなど北部景勝地へのアクセス改善につながると強調した。

 このインフラ刷新は、日本からの観光客利便性向上や日系投資家によるホテル・リゾート開発、インフラ関連事業参入に好影響を与える見通しだ。運輸省は官民連携(PPP)方式を導入する方針で、国内外の投資家に広く参画を呼びかけている。南部偏重だったバリ島の経済・観光地図が北部へ広がることで、企業にとって物流やビジネス往来の効率化をもたらす画期的施策として注目されている。
【編集:af】
編集部おすすめ