【その他の写真:ICUイメージ】
タイの主要英字紙「ザ・ネイション(The Nation)」は16日付の報道で、捜査当局が店の経営者および施設責任者に対して過失致死傷容疑を視野に本格的な捜査に乗り出したと伝えた。同紙によれば、現場検証では建物の安全基準を大幅に逸脱した電気設備の改修に加え、本来必要とされる避難誘導灯やスプリンクラーなどの消防設備が全く機能していなかったことが確認されている。アヌティン首相は視察後、同店が多数の観客や生演奏を伴うイベントに必要な安全基準を満たしていなかったと指摘し、規則に従わない経営者は厳しく訴追されると明言した。さらに当局の内部調査において、過去に実施されたとされる安全査察が形骸化しており、賄賂による業者との癒着の可能性が浮上している。同紙は、規制当局による無策と汚職が防げたはずの悲劇を繰り返させていると厳しく論評している。
悲劇の引き金が引かれたのは、週末の夜を楽しもうと約300人の客で賑わっていた12日の午後23時57分頃だった。地元タイ語紙「タイラット(Thairath)」の報道では、火元はステージ付近の電気配線であった可能性が高いとされ、天井に設置されたエアコンの電気系統から発生したショートが急速な延焼を引き起こしたと分析されている。突如として「ドカン」という鈍い爆発音とともに全館が停電し、音楽が止まり静寂が訪れた直後、騒音防止目的で天井や壁に貼られていた安価なウレタン製防音材に引火した。これが猛烈な勢いで燃え広がり、客は一瞬にしてシアン化水素や一酸化炭素を含む致死性の高い有毒ガスに包まれることとなった。
パニックに陥った客の群れは唯一の広い出口である正面玄関へと殺到したが、そこはすでに真っ赤な炎と激しい黒煙の壁に完全に遮断されていた。生存者の証言や警察の検証によれば、本来であれば機能すべき非常口は、客の無銭飲食を防ぐなどの名目で日常的に施錠され、さらには物販用のテーブルやロッカーによって物理的に狭められており、避難経路としての役割を全く果たしていなかった。「従業員専用」と書かれた扉は外に開く構造だったものの、暗闇とパニックの中で客が非常口として認識することは不可能だったと指摘されている。逃げ場を失った多くの客が、煙から少しでも逃れようと窓も排気設備もない建物奥のトイレや楽屋スペースへ押し寄せ、そこで多数が折り重なるようにして命を落とした。
現在、かろうじて生き残った重傷者たちの多くは、今もなお人工呼吸器を外せない深刻な肺の損傷を抱えている。この状況下で被害者の家族たちを容赦なく追い詰めているのが、タイの救急医療制度「UCEP(救命救急保障制度)」の制度的な限界である。同制度は、命の危険がある最重症患者に対して公立・私立を問わず最初の72時間は無償で緊急医療を提供する優れた枠組みだが、火災発生から72時間が経過した15日深夜以降、その適用期間は順次終了の時を迎えた。制度上は患者自身が加入する公的保険の指定病院へ転院しなければならないが、人工呼吸器を装着した不安定な状態での移送は致命的なリスクを伴うため、現場の医師が転院を許可できないケースが相次いでいる。結果として設備が整った高級私立病院のICUに留まることを余儀なくされ、1日あたり数万から数十万バーツに上る莫大な自費診療費が家族に請求される事態となっている。
被害者の中には、十分な医療保険に加入していないパブの非正規従業員や、周辺国からの出稼ぎ労働者も多数含まれている。
【編集:af】








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