大盛況を見せる夏フェス。会場が熱狂に包まれる一方で、SNS上ではマナー違反やトラブルへの悲痛な声も少なくない。

IT企業で働く埼玉県在住の狩野まゆみさん(仮名・20代)も被害に遭った一人だ。フェス歴3年で10回以上通う大ファンだが、大人しく華奢な雰囲気のせいか、会場内で度重なる痴漢被害に苦しんできたという。

夏フェスで「胸を揉まれた」20代女性が体験した卑劣な痴漢被害...の画像はこちら >>
彼女が目撃した、悪質な実態とはーー

やむをえず「長袖長ズボン」を着用

「フェスに行った10回中、3回痴漢被害にあっています。すべてが、ライブを観戦している時に起きたもので、後ろから手が伸びてきてお尻を触られました。人が多いので特定するのは難しいですし、犯人を捕まえるというのも心理的にハードルが高くて仕方がないと割り切っています。わたしが大人しそうに見えるからか、一緒に行く女友達よりも被害に合う回数が多いんです。いまでは、手の感触が気持ち悪いので、夏フェスでは長袖に長ズボンで参戦するようになりました。暑くて本当は薄着で参戦したいのですが、被害にあうことを想定して、厚着するようにしています」

自己防衛をしっかりとして楽しんでいる狩野さんだが、昨年行われた某有名フェスで、これまでになくひどい体験をしてしまったという。

密集地帯で忍び寄る不審な影

その日は、女友達3人と一緒に参加した狩野さん。応援しているバンドが出演することで、少しでも前で観戦したいとがんばった結果、卑劣な行為に遭遇したそうだ。

「大好きなバンドが演奏するので、お客さんの入れ替えと同時に前列の方へ移動したんです。人気が高いバンドなのでかなりの密集になっていて、痴漢にあいそうだなと嫌な予感はしていました。とはいえ、そのバンドの演奏をフェスで見るのははじめてなので、体が密着している状態でもガマンしてライブを待っていました。ただ、その日はラッキーなことに前後が女性のお客さんで、その心配はなさそうでした。
安心してライブを楽しんでいたのですが、中盤になって盛り上がってくると、前に行こうとするお客さんに押されてもみくちゃ状態に。そんな中で、後ろから手が伸びてきて私の胸を何度もタッチしてきたんです。はじめは、手が当たっているだけかなと思ったのですが、明らかに揉んでいるのがわかりました」

見知らぬ夫婦の機転に助けられる

大好きなバンドの演奏が聞きたくてガマンしていた狩野さんだが、さらに犯人の行為は激しさを増していった。

「もみくちゃになった後は、前後にいた女性客がいなく、周囲は男性だらけになっていた。どの人が痴漢なのかわからず、怖くなってきました。ただ、逃げることもできないくらいに密集し、相手の手をよけるのがやっとなくらいな状況です。しかも、興奮しているからか胸を揉む力が強く激痛が走りました。痛いのと怖いので涙が出てきてしまうほどだったのですが、誰が犯人かわからなく周りに助けを求めることもできませんでした」

最悪な経験をしてしまった狩野さんだが、そんなピンチを救ってくれたのは、思いがけない人物だった。

「被害にあって何分かたった頃、隣に40代くらいの女性が人を掻き分けて来てくれ『大丈夫?』と声をかけてくれたんです。わたしは、痴漢にあっていることを説明すると、胸を揉んでいた腕を掴んでくれた。すると、後ろからタトゥーだらけの男性が来て、一緒に痴漢犯を取り押さえてくれたんです。その2人はご夫婦で、後ろから見ていて様子がおかしいわたしに気づいていたそうです。
しかも、撃退してくれただけでなく、犯人を運営に連行するところまで付き合ってくれた。タトゥーだらけでイカツイご夫婦でしたが、すごくやさしくて人を見た目で判断してはいけないと痛感しました」

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当然ながら痴漢は重大な犯罪であり、絶対に許される行為ではない。女性が安心してフェスを楽しめるように、運営がもっと努力して、周りにいる男性客も力をあわせて撲滅することが重要となる。

<TEXT/高橋マナブ>

【高橋マナブ】
1979年生まれ。雑誌編集者→IT企業でニュースサイトの立ち上げ→民放テレビ局で番組制作と様々なエンタメ業界を渡り歩く。その後、フリーとなりエンタメ関連の記事執筆、映像編集など行っている
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