右肩上がりで伸長してきた冷凍食品市場が、ここにきて、さらに成長を加速させている。本紙が推計した各社の2025年度冷食売上高は、概ね増収を確保した。
価格改定の影響が見られたほか、カテゴリーによっては明暗が分かれたものの家庭用、業務用ともに拡大基調が続く。背景にあるのは、好調に推移する一食完結型のワンプレートやパスタなどに代表される、パーソナルユースをつかむ各社の商品戦略だ。業務用も深刻化する調理現場の人手不足に対応する商品の拡充を進めており、ニーズに応える提案が功を奏している。

〈国内消費量、初の300万トン超え〉


日本冷凍食品協会では、冷凍食品国内生産量、冷凍野菜輸入量、調理冷凍食品の合計を冷凍食品の「消費量」としている。同協会がまとめた25年の国内消費量は、前年比3・6%増の302万9325トンとなった。300万トンを超えたのは、調査開始以来初で、これを総人口で割った国民1人当たりの年間消費量は24・6キロで前年より1キロ増加した。金額ベースでも前年比4・1%増の1兆3614億円となった。

一方、25年の冷凍食品国内生産量は、前年比2・4%増の157万4172トンで、家庭用、業務用ともに前年を上回った。生産金額は6・4%増の8577億円となり、前年に続き最高額を更新した。

〈ワンプレートが家庭用市場をけん引〉


金額、数量ともに好調に推移する家庭用冷食市場をけん引するのが、「ワンプレート」だ。インテージ調べでは、昨今の個食化・物価高・タイパ志向を背景に、冷凍ワンプレート市場は直近2年間で53%増と急成長を遂げている。とはいえ、市場規模は250億円程度とまだまだ小さく、大幅な伸びシロが期待できるカテゴリーだ。今後も成長が継続する予想で、各社の商品投入が相次ぐ。

「単身世帯の増加に加え、複数世帯でも個食が増えており、そうした層にもワンプレートは支持されている」。
こう分析するのは、冷食メーカーの家庭用冷凍食品の担当者だ。父親の帰宅が遅く、子どもは塾があるため先に夕食を済ませるなど、一人で食事を摂る「家庭内個食」が増加傾向にある。こうした中、主食と副菜がバランスよく揃い、トレイのままレンジアップできるワンプレートのニーズは高い。一人世帯はもちろん、ファミリー層など複数世帯の需要も捉えている。

〈麺類・米飯類、代替需要で明暗〉


パスタやうどん、ラーメンなどの「麺類」も好調なカテゴリーだ。昨年は、米価高騰によりコメの代替需要で大幅に伸長した。パーソナルユースに配慮した商品設計もワンプレート同様、消費者ニーズをつかんでいる。

「米飯類」も昨年はコメ代替需要で伸びた。但し、各社とも複数回の値上げを実施したため、数量では前年割れも見られた。生鮮高騰や利用機会が増えた「冷凍野菜」は、原料不足や価格改定の影響が見られたものの引き続き堅調に推移した。

一方、業務用については、量販店の惣菜売り場や施設給食などの調理場では人手不足が常態化しており、自然解凍可能な商品など完全調理品などへの需要は拡大している。

〈今秋もパーソナルユースの拡充進む〉


今秋の家庭用新商品でもワンプレートや麺類といったパーソナルユースに対応する商品拡充が進む。

ワンプレートでは、ニチレイフーズが、各カテゴリーで売上1位の人気商品をセットにした「『本格炒め炒飯』&『特から』」を発売。
売上1位同士の強力タッグで需要の底上げを図る。今春投下の「まん福どん」で男性層を獲得したニッスイは天丼、中華丼の投入で市場拡大を目指す。先駆者のニップンはブランド名を「彩りごはん」に刷新し、和洋中韓の多彩なラインナップでさらなる売上拡大を図る。

麺類ではテーブルマークが今春発売で話題を呼んだうどんとおかずのセットに新味を追加。また日清製粉ウェルナも「青の洞窟 Piccolino」に新商品を投入する。

一方、新商品の開発テーマには、「王道」「安心感」「安定の味」といったキーワードが上がっている。物価高を背景に、「失敗したくない」と考える消費者心理が一層強まる予想で、そうしたニーズに対応する有名店監修商品などの投入が相次ぐ。味の素冷凍食品では、炒飯の名店「中華兆徳」が監修した「黄金炒飯」を発売。Umiosも「新中華街」に王道の「濃厚担々麺」を追加し、さらなる市場の活性化につなげるという。
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