2026年7月29日、中東情勢をめぐり米国とイランの緊張が再び重大な局面に達した。米国のドナルド・トランプ大統領がイランに対して新たな軍事攻撃を示唆する威嚇を行ったのに対し、イランの最高指導者モジタバ・ハメネイ師は「ジハード(聖戦)」を呼びかけ、徹底抗戦の姿勢を鮮明にした。
一方で、テヘラン政府は「全面的な戦争状態にはない」と公式に否定し、外交的解決の余地を残している。

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 米紙ワシントン・ポストによれば、トランプ氏はSNS上でイランの石油輸出施設や軍事拠点を米軍が攻撃する様子を描いた人工知能生成画像を投稿し、ホルムズ海峡での航行妨害が続けば過去最大規模の軍事行動を再開する準備があると警告した。これに対し、イラン国営通信IRNAやタスニム通信は、ハメネイ師が「我々には抵抗とジハード以外に道はない」と声明を発表し、米国の圧力に屈しない姿勢を強調したと報じた。ただし外務省報道官バガエイ氏は「全面戦争は存在しない」と述べ、大統領ペゼシュキアン氏も外交対話の可能性を排除しない考えを示した。

 背景には世界の原油取引の約20%が通過する戦略的要衝ホルムズ海峡の存在がある。イランは安全保障を理由に外国船舶への監視を強化し、米国は原油価格高騰を懸念して軍事的威嚇を繰り返してきた。ハメネイ師が用いた「ジハード」という言葉は本来、信仰を守るための努力を意味するが、国家危機では軍事抵抗や国民の団結を促す政治的効果を持つ。最高指導者による使用は国内結束を狙ったものとみられる。

 イランは経済制裁や物価高騰で国民生活が疲弊しており、全面戦争は体制維持に大きなリスクを伴う。そのため強硬姿勢と外交余地を使い分けているとされる。一方トランプ氏は強い言葉や派手な演出で交渉優位を狙う「ディール戦術」を展開している。両国とも全面衝突は避けたいが、偶発的な衝突が戦争に発展する危険性は依然として高く、国際社会は中東における予期せぬ軍事衝突の再発に警戒を強めている。


 ※「テヘラン政府」とは、イランの首都テヘランに本拠を置くイラン・イスラム共和国の中央政府を指す表現。最高指導者アヤトラ・モジタバ・ハメネイ師の指導のもと、行政を担うマスード・ペゼシュキアン大統領とその内閣、外務省、国防省などの官庁組織を総称する。国際報道では、地方勢力や宗教団体ではなく国家の公式立場を示す際に「テヘラン政府」という表現が用いられる。
【編集:af】
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