出産可能な年代(その前後を含む)の女性は、基本的に毎月生理がある。これは生物学的な現象であると同時に、社会的な課題でもある。
生理に伴う費用や用品を女性だけが負担するのは公平なのか――この問いが近年、世界各地で議論されている。

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 「生理の貧困(Period Poverty)」という言葉が広く知られるようになったのは、2010年代後半のことだ。経済的理由で生理用品を購入できず、学校や職場を休まざるを得ない女性が増えている。国連人口基金(UNFPA)は2024年の報告書で、世界の女性の約26%が生理用品の入手に困難を抱えていると指摘した。特に低所得層や若年層に集中しており、教育機会の損失にもつながっている。

 ナプキンは戦後に製造が始まり、衛生面の改善に寄与したが、それ以前の女性は藁やくず布を当てたり、トイレに行った際だけ排出する技術を用いた。しかし、衛生的とは言えず、感染症のリスクも高かった。現代社会では生理用品の品質は格段に向上したものの、価格の高さが依然として障壁となっている。

 日本でも、婦人科や女子高のトイレに「ご自由にお使いください」と置かれていることがある。しかし、すでに生理と無縁になった中高年女性が「尿漏れパッド」として大量に持ち帰る現実がある。経血と尿は別物であり、ナプキンは尿漏れパッドの代替にはならない。それでも「先進国」を自認する日本でこの有様だ。
厚生労働省の調査によると、日本の生理用品市場は年間約900億円規模だが、低所得世帯の女性の約15%が「購入をためらった経験がある」と回答している。

 一方、韓国では来年から「みんなの生理用品」という試験事業が始まる。無料でナプキンを配布するのだ。全国12地域の行政福祉センターや公共図書館など約500か所の公共施設、人の出入りが多い場所に、計1300万個の生理用品を配置する。韓国政府はこれまでも、9歳から24歳の生活困窮世帯の女性に月1540円相当の引換券を提供してきた実績がある。そこに今回の無料配布が加わる。

 韓国女性家族部によると、この事業は「生理を社会全体の問題として捉える」ことを目的としている。生理用品を無料で提供することで、女性の健康と尊厳を守り、ジェンダー平等の意識を高める狙いがある。ソウル市ではすでに一部区で試験導入が行われ、利用者の満足度は90%を超えた。

 国際的に見ると、スコットランドは2020年に世界で初めて「生理用品無料提供法」を制定した。すべての公共施設で無料配布を義務化し、教育機関にも常備を求めている。ニュージーランドも2021年から全国の学校で無料配布を開始。
カナダでは州単位で支援が進み、オンタリオ州では2025年までに全公立学校での常設を目指している。欧州連合(EU)では、生理用品への付加価値税(いわゆる「タンポン税」)を撤廃する国が増え、フランスやドイツでは税率を5%以下に引き下げた。

 対照的に、日本では生理用品は「生活必需品」としての認識が薄く、消費税10%が課されている。自治体によっては支援事業が始まっているが、全国的な制度には至っていない。東京都豊島区や大阪市などが試験的に無料配布を行っているものの、予算規模は限定的だ。国の政策としては「民間の協力を促す段階」にとどまっている。

 生活スタイルの変化により、初潮の低年齢化も進んでいる。日本産科婦人科学会の調査では、平均初潮年齢は11.5歳。幼稚園や小学校低学年で初潮を迎えるケースも報告されている。そこから約50年にわたりナプキンを買い続けることになる。年間約1万円、50年間で約50万円――決して小さな負担ではない。

 韓国のこの取り組みは、女性が強い国というだけでなく、生理を文字通り「みんなの生理」として社会全体で受け入れている証左だと言える。
生理を「恥ずかしいもの」「隠すもの」とする文化的偏見を乗り越え、公共の場で語り、支援する姿勢がある。
――なにをやっているのだ、日本。
【編集:fa+】
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