2026年7月29日夜、エジプト北部の地中海沿岸に位置するダミエッタ港で、米国企業が所有するガス貯蔵タンカーがドローンによる攻撃を受け炎上した。現地当局によれば、火災は数時間にわたり港湾施設の一部にも延焼し、複数の作業員が負傷した。
事件は米国とサウジアラビアがイラク国内のイラン系民兵拠点を空爆した直後に発生しており、中東地域の緊張が一層高まる事態となった。

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 エジプトの国営紙「アルアハラム(Al-Ahram)」は、港湾当局の発表として「攻撃は小型ドローン数機によって行われ、タンカーの甲板部分に命中した」と報じた。さらに「火災は港湾消防隊によって制御されたが、船体の一部は大きく損傷した」と伝えている。地元テレビ局「アルカヒラニュース(Al Qahira News)」も、現場映像を放送し、炎上するタンカーと黒煙が港湾上空に立ち上る様子を詳しく伝えた。エジプト内務省は「犯行主体は特定されていないが、国外からの攻撃の可能性が高い」との見解を示している。

 事件の背景には、米国とサウジアラビアによる共同空爆がある。両国は7月28日、イラク国内で活動するイラン系民兵組織の拠点を標的にした攻撃を実施し、民兵数十人が死亡したとされる。これに対し、イラン政府は「主権侵害であり、報復は不可避」と強く反発していた。エジプト紙「アルマスリ・アルヨウム(Al-Masry Al-Youm)」は、今回のタンカー攻撃について「イラン系勢力による直接的な報復の可能性は否定できない」と分析し、紅海や地中海の航路における安全保障上のリスクが急速に高まっていると指摘した。

 原油輸送の安全は世界経済に直結する。ダミエッタ港はエジプト北部の主要港湾であり、欧州向けの原油や液化天然ガスの積出拠点として重要な役割を担っている。今回の攻撃により、港湾の一部業務は一時停止を余儀なくされ、欧州のエネルギー市場にも影響が及ぶ可能性がある。
エジプト政府は「港湾の安全確保を最優先する」と強調し、軍と警察による警戒態勢を強化した。

 ドローン攻撃は近年、中東地域で頻発している。小型で低コストの無人機は、従来の防空システムでは完全に防ぐことが難しく、港湾施設や民間船舶に対する脅威が増している。アルアハラム紙は「今回の事件は、ドローン戦術が国家間の緊張を直接的に高める新たな段階に入ったことを示す」と論じている。米国防総省は「攻撃の詳細を調査中」としつつ、同盟国と連携して航路の安全を確保する方針を示した。

 今回のタンカー攻撃は、米国とイランの対立が周辺国を巻き込み、原油輸送の安全保障に直結することを改めて浮き彫りにした。中東の海上交通路は世界のエネルギー供給の要であり、ドローンによる攻撃が常態化すれば、国際市場に深刻な影響を与える可能性がある。エジプト国内メディアは一様に「港湾の安全確保は国家の死活問題」と強調しており、今後の展開次第では国際社会の対応が急務となる。
【編集:af】
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