2026年08月11日、世界の原油輸送の生命線であるホルムズ海峡をめぐり、オマーンが提示した新たな航行管理構想をイランが強く反発し、地域の緊張が一段と高まっている。オマーンは海峡を通過する船舶から任意の利用料を徴収し、その資金を航行安全や環境保護に充てる地域共同管理モデルを提案したが、イランは「海峡の全面管理権はイランにある」と主張し、両国の協議は暗礁に乗り上げている。
中東の海上交通を揺るがすこの対立は、湾岸諸国の外交努力を試す重大局面となっている。

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 Mehr News(メフル通信)によれば、オマーンが提示した案は、マラッカ海峡の共同管理方式を参考にしたもので、船舶が任意で拠出する利用料を航行支援や環境保全に充てる仕組みだ。オマーン側は「地域の安定と安全を確保するための現実的な枠組み」と説明している。しかしイランはこの提案を即座に拒否し、外務次官カゼム・ガリババディが「海峡の安全はイランが単独で管理すべきだ」と強調したと報じられている。メフル通信は、イランが船舶1隻あたり100万ドルの通行料を求めていると伝え、両国の主張の隔たりが極めて大きいことを示した。

 Tasnim News(タスニム通信)は、イラン政府が「新たに設定された航路の大部分はイラン領海内にある」と主張している点を詳しく報じた。タスニム通信によれば、イランは商船が入域時と出域時の双方でイラン領海を通過するよう航路が設計されていると説明し、「領海内の安全確保はイランの責務であり、他国が関与する余地はない」と強調したという。また、イランは積み荷価格の5~7%を通航料として要求しているが、オマーンは3%前後を提示しており、米国は料金徴収そのものに反対していると伝えた。

 Oman Observer(オマーン・オブザーバー)は、オマーン政府がこの提案を湾岸協力会議(GCC)加盟国に共有し、一定の支持を得ていると報じた。同紙は、オマーン案が「地域の海上安全を強化し、国際物流の安定に寄与する」と評価する声が域内で広がっていると伝えている。一方で、イランの強硬姿勢が協議の進展を妨げており、オマーン政府関係者が「イランの理解を得るには時間がかかる」と述べたと報じた。

 Times of Oman(タイムズ・オブ・オマーン)は、イランが提示した独自の対案について詳しく伝えている。
イランは航路を均等に分割するオマーン案を拒否し、北側航路を全面的にイランが管理し、南側航路の一部のみをオマーンに認める方式を主張しているという。同紙は、国際海事機関(IMO)が採用する分離通航方式(TSS)が機雷の危険により使用できず、代替としてイラン北側航路とオマーン南側航路が利用されている現状を説明した上で、イランが第三国による掃海活動を認めない姿勢を崩していないと報じた。

 この対立の背景には、ホルムズ海峡が世界の原油供給の約20%を担う戦略的要衝であるという現実がある。海峡の安全管理をめぐる主導権争いは、単なる海上交通の問題ではなく、地域の安全保障と国際経済に直結する重大な政治問題だ。イランは米国との対立が続く中で、海峡の管理権を外交カードとして利用する意図を隠していない。タスニム通信は、イラン政府関係者が「海峡の管理権は国家主権の核心であり、譲歩はあり得ない」と述べたと報じている。

 一方、オマーンは伝統的に中立外交を掲げ、地域の仲介役としての役割を果たしてきた。オマーン・オブザーバーは、オマーン政府が「海峡の安全は地域全体の利益であり、協力によってのみ確保できる」と強調していると伝えた。オマーンはイランとの関係を維持しつつ、湾岸諸国や欧州との協調も重視しており、今回の提案はその外交姿勢を象徴するものだ。

 しかし、イランの強硬姿勢と米国の反発が交錯する現状では、合意形成は容易ではない。米国は「ホルムズ海峡は国際水路であり、イランが通航を統制する権限はない」との立場を崩していない。イランが管理権を強めれば、米国や欧州の商船の航行に影響が出る可能性があり、国際社会は事態の推移を注視している。


 さらに、イエメンのフーシ派によるサウジ油槽船への攻撃や、イラク発の無人機攻撃など、地域紛争は拡大傾向にある。ホルムズ海峡の緊張が高まれば、原油価格の急騰や物流の混乱を招き、世界経済への影響は避けられない。タイムズ・オブ・オマーンは「海峡の安定は世界の安定と直結する」と警告している。

 オマーンの提案は、地域の緊張緩和に向けた現実的な一歩となり得るが、イランの全面管理要求が続く限り、航行の自由と安全を確保する道筋は見えにくい。湾岸諸国の仲介努力や国際機関の関与が不可欠だが、イランが譲歩する兆しは乏しい。世界の原油市場を揺るがすこの対立は、今後も国際社会の注視を集め続けるだろう。
【編集:af】
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