お外の世界で暮らす猫たちだが、時に「この人なら助けてくれる」と判断した人間を信頼し、頼ってくることもある。
アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスで、動物たちの保護活動をしているケイトさんの家に現れた1匹の母猫も、まさにそんな野良猫だった。
近隣住人もよく見かけるその猫は「市長」と呼ばれていたが、なんとケイトさん宅の隣家の屋根の間の隙間で出産したのである。
だが、さすがにそこは危険だと判断したのか、母猫は子猫たちを1匹ずつくわえ、ケイトさんの家の物置の下へと運び始めたのだ。
「市長」の愛称を持つ野良猫が屋根の隙間で出産
ロサンゼルスに住むケイトさんとその婚約者は、以前から近所で1匹の野良猫を見かけていた。
2人はその猫に「ザ・メイヤー(市長)」と名付け、見かけるたびに「ハイ、メイヤー!」と声をかけていたという。
この子は野良猫で、誰の飼い猫でもありませんでしたし、私や婚約者が近づくことも許してくれませんでした。でも隣人の男性が餌をあげていて、その人のことは大好きなようでした
ケイトさんたちも餌を与えていた隣人も、なぜかずっとメイヤーをオスだと思っていた。だがある日、衝撃的な事実を知ることになる。
メイヤーが隣家の屋根の隙間に子猫を産んでいたのである。
隣人の男性は、動物たちの保護活動をしていたケイトさんに、メイヤーと子猫たちをどうしたらよいか相談してきた。
私は彼に、メイヤーにちゃんと餌をあげていてくれれば、あとは彼女自身がやってくれる、でもとにかく、一刻も早く屋根から降ろさなければならないと伝えました。
私たちはすでに、母猫と子猫たちを屋根から下ろす方法を話し合っていて、私も預かるつもりでいました
だが、ケイトさんたちがどうやって子猫たちを下ろそうかと悩んでいる間に、メイヤー自身が行動を起こした。
そんな時、外から鳴き声が聞こえてきたんです。メイヤーは子猫を運んでいる途中で、1匹をコンクリートブロックに落としてしまっていました。
これで、もう子猫たちが屋根の上にはいないことがわかったんです
子猫たちはケイトさん宅の敷地にいた
メイヤーは子猫たちを、屋根の上からどこかへ移動させてしまった。
落ちた子猫は幸いにも無事だった。ケイトさんはこの子猫を救出すると、隣人と協力し、ほかの子猫たちの行方を探した。
(屋根は子育てをするのに)あまり賢い場所とは言えません。メイヤーはそこではうまくいかないとすぐに気づいたようでした。
そして、私たちの家の、普段子犬を預かっている物置の下に子猫たちを移していたんです。
全く予想外でした。もっと遠くへ、あるいは他の人の敷地へ移されるかと思っていたのですが、幸運にも私のところへ連れてきてくれたんです
2026年5月25日、ケイトさんはその時の様子を写した映像をSNSに投稿した。
ケイトさんはすぐに子猫たちを保護すると、猫を一時預かりするために使っている部屋で、とりあえず面倒をみることにした。
ロサンゼルスでは野良猫を見かけることが多く、ケイトさんは普段から猫や犬、子猫や子犬、子連れの母犬・母猫を預かる活動をしている。
そのため、家の中はいつも動物たちでいっぱいになりがちなんだとか。それでも今回は、母猫と子猫たちを安全に保護できる場所を確保できた。
私が猫を預かるために使っている部屋はかなり散らかっていたのですが、やるべきことはやらなければなりません。
部屋を片づけて、物置の下から子猫たちを連れ出し、隣人の協力もあって、母猫と子猫たちを家の中へ入れることができました
なかなか子猫に触らせてくれない「市長」
幸いなことに、メイヤーと子猫たちはケイトの家にすっかり馴染んだが、母猫は相変わらず子猫たちを激しく守ろうとしていた。
私にはとても優しくて、撫でることも許してくれたのですが、子猫たちに触るのだけは絶対に嫌がりました。
最初の数日間は何とか触ることができたのですが、そのうち、私が子猫に手を伸ばすと猫パンチをしてくるようになりました。
でもそれでいいんです。私は子供を守る母猫や母犬には慣れていますから
すくすく育つ3匹の子猫たち
それでもケイトさんは、母猫が食事をしている間に子猫たちの状態を確認し、健康に問題がないか見守り続けた。ザ・メイヤーはその間も、ケイトさんの動きをしっかり見張っていたという。
子猫たちはぜんぶで3匹で、ケイトさんはそれぞれに、「モーデカイ」「リグビー」「マーガレット」という名前をつけた。
やがて数週間が過ぎ、子猫たちが少しずつ動き回るようになると、モーデカイにスイマー症候群のような症状が見られるようになった。
スイマー症候群とは、四肢をうまく体の下に入れられず、泳ぐように手足を広げてしまう発育障害の一種で、子猫や子犬に見られることがある。
ケイトさんはこれまで、同じ症状を持つ猫の飼育を経験したことはなかった。そこで彼女は自分でいろいろ調べながら、理学療法を取り入れてみた。
この頃はメイヤーがまだ、人間に子猫に触られることを嫌がっていたため、短時間しか実践できなかった。
だが、確実に効果はあった。モーデカイはほどなく兄弟たちと同じように歩けるようになったのだ。
その後、リグビーに目の感染症が起こったが、これは軟膏で治療できた。そして今、3匹の子猫は生後8週間を迎え、以前にも増して元気に過ごしている。
「ずっとのおうち」を待ちわびて
隣人の協力と、ロサンゼルス市の補助券のおかげで、メイヤー母子は全員が避妊・去勢手術を受け、マイクロチップを装着し、ワクチン接種も終えた。
幸運なことに、メイヤーは隣人が飼ってくれることになった。ケイトさんは現在、子猫たちを引き取ってくれる「ずっとのおうち」を探している。
3匹とも、新しい家へ行く準備ができています。私はただ、この子たちが素敵な家族に出会えることを願っています
野良猫母さんと子猫たちのハートフルなストーリーに、全世界の猫好きたちからは温かいメッセージが寄せられていた。
- うちの話とそっくり! うちにも近所の野良猫がいて、「ママキャット」って呼んでいるんだけど、屋根のくぼみで子猫を産んだの! 母猫を保護して避妊手術を受けさせて、子猫たちはおびき出して里親を見つけたわ。1匹はうちで引き取って、ほかの子たちは友人たちが迎えたのよ
- どうしてこういう猫たちはみんな屋根の上で子猫を産むのかしら。子猫たちの里親が見つかって、お母さん猫も避妊手術を受けられたなんて本当に素晴らしいね(ケイトさんコメ)
- あの塀へのジャンプ、信じられないくらいすごかった。猫って本当にすごい
- あの瞬間には思わず息を飲んじゃった(ケイトさんコメ)
- 猫からのサプライズだね。「これからここに住むからね」って感じ
- もうあの家は彼女の家だよ。
優しいから住まわせてもらっているだけ- メスの市長だなんて、まさにアイコンだし、それにお母さんでもあるんでしょ。彼女にできないことなんてある?
- 彼女はアイコンで、伝説で、まさに今この瞬間そのものなのよ!(ケイトさんコメ)
- 猫たちは一番危険な場所で出産する秘密の競争でもしているんじゃないかと思う。だって、まさか屋根の上なんて! 本当にメイヤー、どうしてそこを選んだの?
- 子猫をくわえて屋根から降りてきながら、「しまった、やっちゃった…。ここは子育てする場所としては全然よくなかったわ」って言っているみたい
- 母猫の方が子猫たちより先にずっとのお家を見つけたって話は初めて聞いた。子猫たちも早く里親が見つかるといいね
ケイトさんたちは子猫のうち1匹を手元で飼うことも検討しているという。いずれにせよ彼らの願いは、子猫たちにとって最高の「ずっとのおうち」を見つけること。
野良猫のメイヤーが、大切な子供たちを自分に託してくれたことに、ケイトさんは感謝の気持ちを抱いているそうだ。











