ヒューマノイド教師とAIアバター助手がニューヨーク州の公立学校に試験導入予定
Realbotix提供の人型ロボット教師のAI生成イメージ。実際の教室の様子ではありません/image credit:Realbotix

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 人間そっくりの容姿を持つヒューマノイドが、アメリカの学校で教師として試験導入される予定だ。

 ニューヨーク州サラマンカ市立セントラル学区が、2026年9月より人型ロボット「サリー」とAIアバター「オプティオ」を試験導入すると発表した。

 地元メディアによると、導入を歓迎する声がある一方、地域住民や専門家からは懸念の声も上がっている。

人型ロボットとAI教師アシスタントを試験導入

 2026年6月24日、カナダ・トロントを拠点とする企業Realbotixが、人型のヒューマノイドロボット「サリー(Sally)」とAIアバターのアシスタント「オプティオ(Optio)」を米ニューヨーク州サラマンカ市立セントラル学区に試験導入すると正式発表した。

 理事会は同月中の会議でこれらの購入を承認済みで、サリー本体は7月15日までに同学区へ届く見通しだ。

 届いたロボットは、学校の夏季キャンプで一時的に使用された後、9月から高校のAIロボティクス関連の授業で本格的に試験導入される。成果次第では対象を高校生約500人にまで広げる計画もある。

 サリーはRealbotixの人型ロボット製品「Mシリーズ」のうちの1台だ。シリコン製の肌にダークブラウンのロングヘアで人間の女性に近い外見をしている。

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 動作については、座った姿勢のままだが上半身を動かしたり表情を示すことはできる。

 サリーの授業を受ける生徒は、サリーに固有の識別コードを伝えることで、これまでの会話履歴をもとに続きから会話を再開できる。

 もう一方のオプティオは、学校のパソコンからログインして使うAI家庭教師だ。

 授業中だけでなく、放課後や自宅でも利用でき、宿題の写真をアップロードしてフィードバックを受けたり、100以上の言語でリアルタイム翻訳を受けることができる。

 この件について学区側は、両者がインターネットに接続されていない閉じたシステムで動作し、顔認証機能や録音機能を持たないと説明している。

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導入は特別教育プログラム対象学区

 導入対象は、アップル共同創業者スティーブ・ウォズニアック氏が設立した、教育団体「Woz ED」が提供するキャリア教育プログラム「Woz ED STEMパスウェイ」の履修者に限られている。

 このプログラムは、STEM(科学・技術・工学・数学)分野に特化した、幼稚園から高校生向けのキャリア教育プログラムで、コーディング、ロボティクス、ドローン操縦、AI、サイバーセキュリティなど、需要の高いテクノロジー関連の就職を目指す。

 同学区は10年以上前、ニューヨーク州西部で最初にこのプログラムを導入した学区の1つでもある。

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開発元は「リアルドール」展開企業を買収

 サリーとオプティオを開発したのは、、カナダ・トロントを拠点とするRealbotixで、もともとは「Tokens.com」という社名で、暗号資産を使ってメタバース上の仮想の土地を貸し出す事業を手がけていた。

 2024年4月、人間の女性の姿を忠実に再現した人形ブランド「リアルドール(RealDoll)」を展開するSimulacra社(ラスベガス拠点)を買収し、社名をRealbotixに改めた。

 Realbotix 側は教育部門とリアルドール事業の間で従業員や拠点、技術は共有していないと説明している。

 学区のマーク・ビーラー教育長は、Realbotix社自体が成人向けドールを製造しているわけではない、と述べた上で「技術は使い方次第でどのようにも利用できるものだ」と説明している。

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地域に広がる賛否

 サラマンカ市立セントラル学区は、ニューヨーク州西部のキャタラウガス郡、セネカ族保留地の中にある。

 全域が先住民保留地の中に位置する、米国で唯一の自治市としても知られ、在籍する生徒約1,300人のうち32%、およそ3分の1がアメリカ先住民またはアラスカ先住民であり、79%が経済的に恵まれない家庭の出身だ。

 今回の件について、地元選出のジョージ・ボレロ州上院議員は「このような技術が民間の家庭教師を利用できない地方の生徒にも学習支援の機会を広げうる」と期待を示す。

 一方、地元の保護者シエラ・エイブラムスさんは「地域にはすでに環境問題をはじめ多くの課題があり、そこにAIを持ち込む発想が理解できない」と語っている。

 この計画は2026年7月14日の報道から大きな反響を呼び、19日から20日にかけてSNS上で拡散、批判の声が強まった。

 この反応に、ビーラー教育長は「サリーは答えを与えるのではなく、生徒が自分で答えにたどり着く手助けをする仕組み」と改めて説明し、引き続き理解を求めている。

学習効果の比較は未検証

 そもそも学びの場で使うロボットをここまで人間らしい見ためにする必要があるだろうか。その答えはあいまいなままだ。

 Realbotix 側も、人型のロボットが実際に学習効果を高めるといった実証データはないと認めている。

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 ノートルダム・オブ・メリーランド大学に籍を置く、教育工学専門家のライアン・シャーフ氏は「目新しさと学習効果は別物だ」と指摘し、サリーを使う生徒群、オプティオのみを使う生徒群、どちらも不使用の生徒群を比較する検証を学区に提案している。

 だが学区の予定は、生徒や教師への聞き取りによる定性的な評価にとどまり、生徒との対話履歴の保存期間や、保護者が子どもの参加を正式に拒否する手続きが存在するのか、といった点に対しても明確な説明をしていない。

 人型ロボット教師サリーは匿名の識別コードで生徒を認識する仕組みだが、もし生徒が緊急対応を要する悩みを打ち明けた場合、どのように特定の個人へつなげるのか、という説明も示されていないのだ。

導入費用とRealbotixの経営事情

 サリーの導入費用は本体57,590ドル(約939万円)に加え、年間1,990ドル(約32万円)のソフトウエア更新料がかかる。

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 Realbotixの直近四半期の売上高は22万5,000ドル(約3,668万円)で、サラマンカ市立セントラル学区との契約額は、その売上高のおよそ4分の1に相当する。

 Realbotixは現在(2026年7月20日時点)、ナスダック上場企業オンコネティクス(Onconetix)による買収交渉を進めている。そこには教育向けロボット事業をリアルドール事業から切り離す狙いがあるという。

 サラマンカ市立セントラル学区は、2026年9月の新学期から「サリー」と「オプティオ」の本格的な試験導入を予定している。

 地域住民や専門家の懸念や保護者らの困惑をよそに推進される新たな試みは、肝心の生徒に受け入れられるのか。多くのメディアが注目している。

References: Rural NY School To Launch Humanoid Robot Teacher[https://nysfocus.com/2026/07/14/new-york-humanoid-robot-teacher-salamanca-school-district] / Mashable[https://mashable.com/tech/new-york-school-testing-robot-teacher] / Businesswire[https://www.businesswire.com/news/home/20260624597868/en/Realbotix-to-Deploy-First-Humanoid-Robot-and-AI-Teachers-Assistant-in-U.S.-School-District] / INC[https://www.inc.com/jeff-haden/use-military-method-to-fall-asleep-within-2-minutes-starting-tonight.html] / Salamancany[https://www.salamancany.org/article/3027524]

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