大相撲名古屋場所千秋楽(26日、愛知・IGアリーナ)

 ウクライナ出身の関脇・安青錦(22)=安治川=が優勝決定ともえ戦を制し、12勝3敗で3場所ぶり3度目の優勝を果たした。本割で関脇・熱海富士(23)=伊勢ケ浜=に敗れたが、ともえ戦で熱海富士、大関・霧島(30)=音羽山=に2連勝して、万感の思いで賜杯を抱いた。

左足の痛みと闘いながら、不屈の闘志で大関にも返り咲き。1場所での大関復帰を決めた場所の制覇は初の偉業となった。

 その3度目の優勝を、“日本の父”も天国から喜んでいる。ウクライナ相撲連盟JAPAN事務局の共同代表を務めていた三池哲也さん(享年59)が今年3月、安青錦が綱取りに挑んでいた春場所中に急逝した。角界入り前の来日直後には、稽古環境を支援してもらってきた恩人だった。

 三池さんは生前、スピード出世を続けた安青錦について「今まではウクライナの話題は『戦争(ロシアの侵攻)が大変ですね』など、ネガティブなものが中心でした。でも安青錦の活躍によって、ウクライナ相撲連盟の名刺を出しただけで『安青錦でしょ、すごいんでしょ!』と相手の食いつきも変わりました」と自分事のように喜びを語っていた。

 入門後も安青錦が番付表を送るなど、やりとりが続いた。会話では「いつかは日本人になりたいの?」という問いに、安青錦は「はい、いつかは(日本に)帰化したいです」と将来的に日本国籍を取得して、親方になりたい夢も打ち明けていたという。その強い思いを聞き「我々との関係は続けていってほしいです。例え大相撲と離れても、アマチュア相撲連盟の会長をやったり、あるいは本国で相撲大会を主催する人もいる。いろいろな形で相撲と離れずにいてほしい」と口にしていた。

 まだまだ大きな可能性を秘める未来に「どんなに有名になっても、おごらない姿勢を忘れずに、一日でも長く活躍してほしいです」と期待を込めていた。昨年12月の大分巡業ではこの先のウクライナ相撲界についても話をしたというが、三池さんは道半ばに倒れた。「土俵の上で恩返し」と常々周りへの感謝の思いを口にする安青錦。恩人の思いを引き継いで角界をさらに盛り上げる。(大西 健太)

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