大相撲名古屋場所千秋楽(26日・IGアリーナ)

ウクライナ出身の関脇・安青錦(22)=安治川=が優勝決定ともえ戦を制し、12勝3敗で3場所ぶり3度目の優勝を果たした。本割で関脇・熱海富士(23)=伊勢ケ浜=に敗れたが、ともえ戦で熱海富士、大関・霧島(30)=音羽山=に2連勝して、万感の思いで賜杯を抱いた。

左足の痛みと闘いながら、不屈の闘志で大関にも返り咲き。1場所での大関復帰を決めた場所の制覇は初の偉業となった。

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 3度目の優勝を祝福する万雷の拍手の中で、安青錦はかみ締めるように土俵を降りた。単独トップで千秋楽を迎えたが、1差で追いかける熱海富士に本割で敗れた。3敗で並んだ霧島、熱海富士との優勝決定ともえ戦へ「悔いが残らないように一生懸命やろう。自分の相撲を取り切ろうと思っていた」と、すぐに気持ちを切り替えた。

 動揺は一切なし。熱海富士を寄り切って王手をかけた。続く霧島には頭を密着させ、上手で食い下がる相手を外掛けで崩して、最後は自らも土俵に転落しながら寄り切った。

 屈辱からはい上がった。カド番だった先場所を左足首のケガで全休した。途中出場の道も探っていたが、最終的には「無理はさせられない」という師匠・安治川親方(元関脇・安美錦)の判断を受け入れ、大関から陥落した。

「関脇まで落ちて、自分はここで終わる人間じゃないという思いが強かった」。悔しさを力に変えた。

 今場所11日目に10勝目を挙げて大関復帰を決めた。ここで満足せず。勢いそのままに、現行制度になって初の特例での大関復帰場所で賜杯。5月の夏場所全休を決めた後、師弟で決めた「来場所は10番(勝)ではなくて優勝を目指す」という約束を有言実行した。

 今場所は左足首に不安を抱えていた中で、8日目には左足親指も負傷。夜中、トイレに行くのにも歩けなかった。宿舎で左足を引きずる姿を見ていた師匠は「本当によく耐えた。本来は相撲を取れる状態ではなく、いつ止めるか考えていた」。さらに、以前から痛めていた右足にも負荷がかかり、テーピングを施したこの日の弟子に覚悟を感じたといい、「ずっと優勝を目指してやってきて、これ以上はない」とたたえた。

 優勝の瞬間、時計の針は18時を過ぎていた。

1日で計3番の相撲を取った。近年稀に見る激闘だった。進行が遅れ、大銀杏(おおいちょう)を整える時間も短く、乱れた髪で表彰式に向かった。「(ここまでの過程は)しないといけない経験だった。した方がさらに強くなる。安青錦らしく、我慢強く相撲を取って、また一番上の番付を目指していく」。ウクライナ出身の22歳が再び横綱への道を歩み出した。(大西 健太)

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