北米の湖や川に生息するチョウザメの一種、ミズウミチョウザメの寿命が、定説の150年をはるかに超え、400年以上生きる可能性があることが判明した。
これは、ミシガン州の天然資源局と州立大学などの研究チームが、44年分の記録を調べ直して割り出したものだ。
実は現地の先住民たちは、この魚が数百年を生き抜くことを古くから代々語り継いでいた。
この研究成果は『Journal of Fish Biology[https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42050728/]』誌(2026年4月28日付)に掲載された。
体長2.7mに達する巨大な淡水魚「ミズウミチョウザメ」
北アメリカの五大湖やミシシッピ川の流域にすむ淡水魚、ミズウミチョウザメ(Acipenser fulvescens)はチョウザメの仲間で古代魚として知られている。
チョウザメという名前は、体の側面に蝶の形をした硬い鱗が並び、姿がサメに似ていることに由来する。
大きな個体は体長2.7m、体重125kgに達する。
チョウザメ科の魚が化石記録に現れたのは白亜紀後期で、当時の姿から今もほとんど変わっていないため、生きた化石とも呼ばれている。
ミズウミチョウザメが長生きする魚であることは以前から知られていたが、最も長生きする個体でも約150年程度だと考えられてきた。
だが実際にはそんなもんじゃなかった。
従来の測定法では正確な年齢が割り出せなかった
寿命が約150年という定説は、1963年に行われた研究に基づいている。
この時の研究では、胸ビレの骨の断面に現れる層を数えることで年齢が測定された。
1年ごとに層が重なっていくので、いくつ層があるかを数えればその魚が何年生きてきたかがわかるという測定法だ。
だが、ミズウミチョウザメのような成長が遅く長生きする魚にこの測定法は向いていない。
成長して年をとるにつれて、骨が自然に吸収されてしまい、古い層が消えてしまう現象が起こるため、年老いた個体は実際より若く見積もられてしまっていたのだ。
最新のデータ解析で判明した400年を超える寿命
そこで、ミシガン州立大学の研究チームは、全く別の角度から寿命を計算し直すことにした。
研究チームは、州の機関や地元の先住民コミュニティと協力し、44年にわたって記録されていた「標識再捕法」のデータを利用した。
これは、野生動物を捕まえて目印をつけ、後で再び捕獲することで成長具合や寿命を調べる方法である。
膨大なデータからミズウミチョウザメの成長速度を割り出し、新しい成長モデルを作成して寿命を再評価した。
その結果、オスは最長で279年、メスに至っては最長で427年も生きる可能性があることが判明した。
現在、地球上の脊椎動物で最も長生きするとされているのは北大西洋の海に生息するニシオンデンザメで、その寿命は推定272年から512年と言われている。
ニシオンデンザメが海の魚であるのに対し、ミズウミチョウザメは淡水魚であるが、海の魚と同等に長寿である可能性が出てきた。
とはいえ、ニシオンデンザメの年齢は目の水晶体という実際の組織を分析して割り出されたのに対し、ミズウミチョウザメの年齢は成長の速さから導いた推定に過ぎない。
正確な年齢を割り出すには、さらなる研究が必要となる。
先住民はミズウミチョウザメが長寿であることを知っていた
ミズウミチョウザメの寿命が150年ではなく400年を超えるかもしれないという結果は、科学者たちに大きな驚きを与えた。
しかし、現地の先住民たちにとっては、目新しい発見ではなかった。
ミズウミチョウザメが数百年という長い時間を生き抜く存在であることを、古くからの伝統的な知識として代々語り継いできたからだ。
今年アメリカ合衆国が建国250周年を迎えたが、ミズウミチョウザメはそのずっと前からこの場所で暮らしていたことになる。
ミシガン州立大学の研究チームは、先住民の長老たちが語る言葉と、今回の科学的な最新の推計が見事に一致したことに深い感銘を受けている。
最新の科学データが、先住民コミュニティがずっと前から理解していた知恵の正しさを、見事に証明する形となったのだ。
References: Lake sturgeon may live for centuries, study finds | MSUToday | Michigan State University[https://msutoday.msu.edu/news/2026/08/sturgeon-live-for-centuries] / DOI: 10.1111/jfb.70478[https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42050728/]











