男子の車いすテニスで、24年パリ・パラリンピック金メダルで、世界ランキング1位の小田凱人(ときと、20)=東海理化=が10日、9月8日開幕の全米オープン、10月18日に始まるアジア・パラに向けて、名古屋市内で練習を公開した。男子史上初の年間4大大会全制覇がかかる全米には「死ぬ気で取りに行く」。

その先には、現行では不可能な年間ゴールデンスラム(4大大会とパラリンピック全制覇)達成へのルール変更もぶち上げた。

 小田の年間4大大会全制覇の快挙まで、残り全米だけとなった。昨年大会決勝で最終セット10点タイブレイクまで競り、生涯ゴールデンスラム(GS)を達成した晴れの舞台で、今年も再び快挙がかかる。この日の公開練習後、「死ぬ気で取りに行くしかないんで。全部を出し切って勝ちたい」と目の色を変えた。

 全米や全豪のハードコートは、ウィンブルドンの芝、全仏の赤土に比べ、動きやすい。しかし、豪打が武器の小田にとって、動きやすいのは弱点にもなる。ラケットを振り切るために、しっかり止まるのが難しい。だから、今回は「決めきる練習を多くしている」と室内コートで力強いフォアハンドを披露した。

 16年にウィンブルドンが車いすテニスのシングルス種目を採用。車いすテニスは初めて、一般テニスと同じ4大大会となった。その後の10年間で、史上最年少世界1位、生涯GS達成など、小田は歴史を塗り替えてきた。

男子初の年間4大大会全制覇も大記録だ。

 それでも、さらに上を見る。一般テニスにできて、車いすテニスにできない記録が、現行のルール上、1つだけある。「年間GS達成」だ。年間GSを達成するには、同じ年に4大大会とパラリンピックが開催されることが前提だ。しかし、パラリンピック開催年は、全米オープンは、時期が近いため開催されない。新型コロナで1年延期された東京パラリンピックの21年だけが例外だった。

 小田が次に見定めるのがそのルール改正だ。パラリンピックの年にも全米を開催することに「そのぐらい、言っていきたい。全部、あった方が絶対にいい」とタフな日程にも肯定的だ。「(全米で)その日の気分で、スピーチで言うかもしれない」小田。年間4大大会全制覇で発言力を増し、世界の車いすテニスの常識を変える。

(吉松 忠弘)

 ―年間4大大会全制覇への気持ちは。

 「負けられない気持ちは増えているが、今は、それをうまくコントロールできている」

 ―国枝(慎吾)さんもできなかった記録だが。

 「いや、国枝さんは一生超えられないと思っている。直接(対決)でも、負けしかない。超えたって思う日がない」

 ―全米ではどんな試合を見せてくれるか。

 「劇的な試合は、ちょっとひやひやするので、これ以上は求めていない。いつ負けるんだろうと思わせる(強い)試合ができたら一番いい」

 ―5月に錦織圭が引退を発表した。

 「テニスを始める前から知っていた。ひらめきというか、コートに入って、ぱっと人が変わる感じはすごいなと思っていた。オーラあるし、かっこいい。あとは誰が、その(いなくなった)枠をやるのかということ」

◆ゴールデンスラム 4大大会と、一般では五輪、車いすテニスではパラリンピックの全てを制すこと。「生涯」を通じて一般シングルスの達成者は男子はアガシ(米国)、ナダル(スペイン)、ジョコビッチ(セルビア)ら、女子はグラフ(ドイツ)、S・ウィリアムズ(米国)ら計5人。

車いすテニスでは国枝慎吾、小田、上地結衣ら計6人。最難関と言われる「年間」では、女子のグラフが88年に達成したのみ。

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