ロックバンド「T―BOLAN」が10日、東京・北の丸公園の日本武道館でラストライブを行い、35年の現体制でのバンド活動に幕を下ろした。

 昨年9月から全47都道府県をめぐるラストツアー、そしてT―BOLANの35年の歴史にピリオドを打つ、最初で最後の武道館ステージ。

異様な熱気に包まれながら、1曲目はデビュー曲「悲しみが痛いよ」で伝説の一夜の幕が上がった。

 ボーカル・森友嵐士は「日本武道館へようこそ!」と満員のファンに向けて指を差し、ぐるりと一周。「たったひとつのこの一夜! 最高の景色を一緒に刻もうぜ。今夜は思いっきり楽しんでいってくれ! 最後までよろしく」と決意表明した。

 47都道府県ツアーからガラリと変えたセットリスト。「Bye For Now」「じれったい愛」「マリア」「離したくはない」など、渾身(こんしん)の24曲を披露した。家業に専念しているドラムスの青木和義の出演はなかったが、森友はギターの五味孝氏、ベースの上野博文と何度もアイコンタクトを交わしながら、全身全霊でT―BOLANの音楽に浸り「愛してるぜ!」とシャウトした。

 1991年にデビューし35年。森友の心因性発声障害を受けての解散、そして再始動。上野はくも膜下出血で生死の境をさまよいながらも奇跡の復活を遂げ、昨年9月にはステージ4の肺がんであることを公表しながらツアーを突き進んできた。この日のステージでは、スクリーンに当時のミュージックビデオが流れる粋な演出も。時の流れをともに共有してきた関係性だからこその唯一無二の時間が流れた。

 コンサート中盤には五味の朗読からのギターソロ、上野のベースドラムセッションなど、それぞれにスポットが当たるパートも。また発声障害に悩んでいた森友を「ロックは自由だ」という言葉で絶望から救った「B.B.クィーンズ」で歌手の近藤房之助もゲストで登壇。「声なき声がきこえる」を2人で披露し、森友は「これが夢だったんだよな。あの日、あの一言がなかったら今ここに立つ僕たちはきっといなかったと思います」と語った。

 ライブは終盤に向けても勢いを落とすことなくフルスピード。「OK、武道館! 思い切り叫ぼうぜ!」と森友が促すと、1万人のファンも大合唱で応えた。

 現体制での有終の美を飾ったT―BOLANだが、今公演のタイトルは「This Journey Never Ends」。アンコールでは新たな旅路についてサプライズ発表した。

 最終楽曲の「Heart of Gold」の歌唱を終えると、「T―BOLAN」のロゴが「∞」のマークに変化。「2028・7・10 THE NEXT CHAPTER FOREVER BEGINS♯(シャープ)T―BOLAN」として新章がスタートすることが告知され、客席からは歓喜の声が上がった。

 森友は「日本武道館で迎えたラストライブ。これは終わりじゃない。

新しい時代へバトンを渡すための継承の始まりです」と宣言。「2028年7月10日、そこから始まる新しいT―BOLANは俺たちだけで作るものではなく、全国で応援してくれるひとりひとりが新しいT―BOLANを作る仲間とそんな世界を描こうと思っています。一緒に未来を作り上げる場所、それが『♯T―BOLAN』。ここから歴史をつくる仲間になってほしい」と呼びかけた。

 「♯T―BOLAN」の体制などは不明。「また会おうぜ。その日を迎える第一歩を、今日この武道館から歩き始められたら」と森友は呼びかけ伝説の一夜をしめくくった。

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