天の川銀河は118億年前に別の銀河を飲み込んでいた!最古の合体の証拠を突き止める
天の川銀河が別の銀河と合体し飲み込む様子のイメージ図 Illustration: NASA, ESA, Joseph Olmsted (STScI)

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 私たちが暮らす天の川銀河は、誕生して間もないころから別の銀河を飲み込んで成長していことが、ハッブル宇宙望遠鏡のデータ分析で明らかとなった。

 イタリアを中心とする研究チームは、約118億年前、ビッグバンからわずか20億年後に、若い天の川銀河が小さな銀河と合体していた決定的な証拠を発見した。

 これまで天の川銀河で確認された中では最古となる大規模合体の記録であり、銀河形成の初期史を知る新たな手がかりとなる。

 この研究成果は『Nature Astronomy[https://www.nature.com/articles/s41550-026-02931-5]』誌(2026年8月17日付)に掲載された。

天の川銀河は118億年前に他の銀河を飲み込んでいた

 現在の天の川銀河は数千億個の星を抱える巨大な渦巻銀河だが、最初から現在の大きさだったわけではない。

 銀河内部で新しい星を作る一方、周囲にある小さな銀河と合体し、星やガス、暗黒物質を取り込むことで成長してきた。

 これまで確認されていた古い大規模合体の1つが、約100億年前に起きた矮小銀河「ガイア・ソーセージ[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%BB%E3%83%BC%E3%82%B8]」との合体である。

 観測やシミュレーションからは、それ以前にも大きな銀河との合体が起きていた可能性が指摘されていた。

 しかし、若いころの天の川銀河は現在より小さく、衝突した銀河との大きさの差も小さかったうえ、長い時間の中で合体の痕跡が失われた可能性もあり、詳しい歴史をたどることは難しかった。

 今回、ハッブル宇宙望遠鏡の観測データから、約118億年前に起きたさらに古い合体の決定的な証拠が見つかった。

 天の川銀河で確認された大規模合体の歴史が、これまでより18億年もさかのぼったことになる。

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39個の球状星団から合体の年代を分析

 球状星団は、数万個から数百万個の星が球状に密集した集団で、天の川銀河で最も古い星々を含むものもある。

 別の銀河で生まれた星も球状星団の中に長期間残るため、星団の年齢や成分を調べれば、天の川銀河が過去にどのような銀河を取り込んだのかを知る手がかりになる。

 イタリア国立天体物理学研究所(INAF)のボローニャ天体物理学・宇宙科学観測所を中心とする国際研究チームは、天の川銀河の中心から約2万光年以内にある39個の球状星団について、ハッブル宇宙望遠鏡の観測データを分析した。

 研究チームはハッブル宇宙望遠鏡の高い解像度を利用して各球状星団の年齢と金属量を測定し、欧州宇宙機関(ESA)の位置天文衛星「ガイア」の観測データと組み合わせて、それぞれの星団がどこで生まれたのかを比較した。

 天文学でいう金属量は、水素とヘリウム以外の重い元素が星にどれほど含まれているかを示す値で、星や星団が形成された時期や環境を調べる際に使われる。

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未知の矮小銀河「LKH」と合体していた証拠を発見

 球状星団を比較すると、若い天の川銀河で生まれた星団と、約100億年前にガイア・ソーセージから取り込まれた星団のどちらにも当てはまらない、第3のグループが確認された。

 第3のグループに属する星団は、ガイア・ソーセージから取り込まれた星団より古く、天の川銀河の内部で生まれた星団より若いという共通した年代の特徴を持っていた。

 また、金属量が異なる場合でも同じ傾向が確認された。

 年代と金属量の違いから、研究チームは第3のグループがガイア・ソーセージより前に天の川銀河へ取り込まれた別の矮小銀河で生まれたと判断した。

 研究チームは、天の川銀河の形成初期に大規模な合体が起きた可能性を提唱していた3つの先行研究にちなみ、取り込まれた矮小銀河を「LKH(Low-energy-Kraken-Heracles)」と名付けた。

 LKHが天の川銀河と合体した時期は約118億年前で、LKHに含まれていた恒星の総質量は太陽約5億個分に相当する。

 当時の天の川銀河も現在よりはるかに小さかったため、LKHとの合体は銀河の形成に大きな影響を与える規模だったと考えられている。

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外部の銀河で生まれた星も初期の天の川銀河を形作った

 過去の一部の研究では、天の川銀河の最初期の成長は、天の川銀河の内部で生まれた星を中心に進んだと考えられていた。

 今回確認されたLKHとの合体によって、別の銀河で生まれた星も約118億年前にはすでに天の川銀河へ取り込まれていたことが示された。

 ということは、外部から加わった星も天の川銀河の形成初期から成長に関わっていた可能性もある。

 研究チームは今後、これまで詳しく調べられていない球状星団についても観測を進め、天の川銀河が形成されてから現在までに経験した大規模な銀河合体の時期や規模を調べる予定だ。

 現在の天の川銀河には、約118億年前に取り込まれたLKHで生まれた星々が球状星団の一部として残っている。

 星団の年齢や成分を調べることで、天の川銀河がどのような銀河を取り込みながら現在の姿へ成長したのかが、さらに詳しくわかるようになるかもしれない。

References: Hubble Solves Merger Mystery From Milky Way’s Early Years - NASA Science[https://science.nasa.gov/missions/hubble/hubble-solves-merger-mystery-from-milky-ways-early-years/] / DOI: 10.1038/s41550-026-02931-5[https://www.nature.com/articles/s41550-026-02931-5]

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