津久井やまゆり園ホームページより。7月23日には事件から10年の追悼行事も行われた。


 神奈川県相模原市の障がい者福祉施設「津久井やまゆり園」での入所者19人が殺害された事件から10年。信じがたい凶行に及んだ元職員の植松聖死刑囚はこの間、再審請求を繰り返しているが、いまも事件に対する反省はないようだ。

 事件発生後から植松死刑囚を取材してきた『創』の篠田博之編集長がyahooで最近届いた獄中手記を公開したが、植松死刑囚はこの手記で、「相模原事件から10年の月日が経ちました」と書き出したあと、「彼らのことを一言でいうなら〈生きている自覚が全くない存在〉なのです」などとつづっていた。

 いったいなぜ、植松死刑囚はここまで強固な優生思想・障がい者排除思想をもつにいたったのか。

 事件が10年という大きな節目を迎えたこともあり、新聞やテレビも大々的な事件の検証を行なっており、読み応えのある記事も多いが、しかし、この事件にはもうひとつ指摘しておかなければいけない問題がある。

 それは、この相模原事件と、当時の安倍政権の政策や、それを支持する極右勢力との関係だ。

 植松被告は事件前、衆院議長公邸に「私の目標は重複障害者の方が家庭内での生活および社会的活動が極めて困難な場合、保護者の同意を得て安楽死できる世界です」といった手紙を届け、「(障がい者)ひとりにつき税金がこれだけ使われている」「何人殺せばいくら税金が浮く」などと語っていたことがわかっていた。

 また、逮捕後も「障害者なんていなくなればいい」と供述し、時事通信社の取材に手紙で応じ、「不幸がまん延している世界を変えることができればと考えた」と記したうえで、「意思疎通ができない重度障害者は不幸をばらまく存在で、安楽死させるべきだ」と主張していたという。

 しかし、こうした思想をもっているのは植松被告だけではない。そもそも、小泉政権と安倍政権は障がい者に税金を投入するのは無駄とばかりに、障がい者とその家族に負担増を強いる法改悪を行っているし、石原慎太郎や息子の石原伸晃、安倍政権の重鎮である麻生太郎、安倍政権のブレーンである曽野綾子は、「安楽死させたほうがいい」「いつまで生きているんだ」「税金を使っているのを申し訳なく思え」などと、障がい者や老人に対して信じられないような攻撃を、口にしてきた。

 植松被告のツイッターには、安倍晋三、百田尚樹、橋下徹、中山成彬、テキサス親父日本事務局、ケント・ギルバート、上念司、西村幸祐、つるの剛士、高須克弥、村西とおると、ネトウヨが好みそうな極右政治家、文化人がずらりと並んでいたが、こうした思想に少なからず影響を受けたのは間違いないだろう。

 いや、植松被告だけではない。

事件後、安倍政権を盲信するネトウヨたちの間では、〈そうやってみんなすぐ植松容疑者が異常だと言い張るけど行動がよくなかっただけで言ってることは正論だと思う〉〈植松の言ってることはこれからの日本を考えるとあながち間違ってはいない〉〈穀潰しして連中に使われる予定だった税金を節約して、国の役にたったよ彼は。弱いものって誰? 精神障害者はどんなに暴力や暴言はいても罪に問われない無敵の強者だよ?〉といった、植松被告の考え方に賛同する声があふれた。

 さらに、自民党のネット応援部隊であるJ-NSC会員(=ネトサポ)がブログで、「植松が言うように障害者はいなくなるべき」と全面的な賛同を示し、障がいをもつ子どもがいる野田聖子衆議院議員にまで「自民党の改憲案との矛盾をなくすために障害者の子ども殺せ」と迫っていたことも発覚した。

 本サイトは、相模原事件は、2000年代から始まった、弱肉強食の新自由主義政策と安倍政権下でエスカレートする排外差別主義が合体した結果であり、起こるべくして起きた事件だと考えている。

 そして、この空気は、安倍政治の継承を喧伝する高市早苗首相の誕生、そして新自由主義、弱者切り捨てを全面に出す維新の政権入りで完全に復活しつつある。

 そのことに警鐘を鳴らすために、事件が発生したあと、本サイトが掲載した検証記事を以下に再録するので、ぜひ読んでほしい。
(編集部)

「障がい者を殺せば税金が浮く」植松容疑者の狂気は自民党政権の障がい者切り捨て、新自由主主義政策と地続きだ

障がい者大量殺害、相模原事件の容疑者はネトウヨ? 安倍首相、百田尚樹、橋下徹、Kギルバートらをフォロー

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