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すべての投資で大切なのは、「リターンを得ること=損をしないこと」。

この大前提をモットーに堅実な株式投資を実践し、20年以上の時間をかけて8億円を超える資産を築いたのが、『年間配当2000万円! 超節約と優待株で8億円を貯めた御発注の「コジ活」投資法』(宝島社)の著者であるサラリーマン投資家の御発注さん。



株式投資初心者が知っておきたい「入金の大切さ」と「リスクとの向き合い方」
御発注著『年間配当2000万円! 超節約と優待株で8億円を貯めた御発注の「コジ活」投資法』宝島社刊

前編では、株式投資を始めた経緯や銘柄選定法について聞いた。後編となる今回は、株式の売買で心掛けていることや投資初心者に伝えたいことを伺う。

よりよい条件の銘柄に乗り換え「複利」を効かせる

リーマン・ショックの影響を受けて元本割れとなった際も、投資を継続した御発注さん。「市場に居続けることのメリットは“複利”にある」と話してくれた。

複利とは、運用によって得た利益を元本にプラスし、さらなる運用を行う仕組みのこと。利息が利息を生むため、雪だるま式に資産が増える効果が期待できる。

「最初の芯となる雪玉をつくってコロコロ転がすと、どんどん大きくなるイメージです。転がし続けるからこそ大きくなるのであって、途中でやめてしまうと大きくなりません。これが投資をやめてしまうデメリットだと思います」(御発注さん・以下同)

そもそも御発注さんのように「長く保有して元を取る」という発想で株式投資を行っていると、「株価が下がったから売ろう」という発想にもならないという。

「『株価が上がってるから買う』という人が、株価の下落とともに離脱するのは当然だと思います。ただ、企業の成長や配当、優待に期待して投資している人は、株価が上がろうが下がろうが、その企業に対して投資しているので、離脱する意味がないんですよね。応援したい企業を見つけて、無理なく投資している人は、何があっても継続できるんだと思います」

ただ、そんな御発注さんでも、株式を売却するタイミングがある。「もっといい銘柄が見つかったとき」だ。



「料理をするとして、まだ出汁が出る鶏ガラは鍋に入れておいてもいいと思うんですが、出汁が出なくなったら入れ替えてもいいじゃないかという発想です。配当利回り3%の銘柄に投資していたけれど、同じ条件で配当利回り5%の銘柄があるなら、入れ替えたほうがいいですよね。特に僕は、企業の財務情報などをもとに投資判断をするファンダメンタル分析を実践しているので、自分の描いたシナリオと違ったら売る、想定よりよかったら買い増すということも行います。3カ月に1回出る決算を見ながら判断している感じです」

株式投資を始めた頃の御発注さんは、「利回り5%の銘柄を20年保有していれば元が取れる」と考えていた。だからといって、「必ず20年間持ち続けよう」という覚悟で臨んだわけではなかったのだ。また、入れ替えることで、複利の効果も得られる。

「最初に保有した銘柄を持ち続けるだけだと、単利(元本のみに利子が発生する仕組み)になってしまいます。しかし、運用していた銘柄の配当や売買益を元手に、より条件のいい銘柄を購入すれば、複利効果を得ることができます」

株式投資始めたてで重要なのは「継続的な入金」

ここでポイントとなるのが、株式投資を始めたばかりの段階で売買や複利を意識しすぎないことだという。

「資金が小さいうちは、投資で100万円を200万円に増やすのはとても大変です。一方で、100万円稼いで200万円貯蓄するのは、社会人として働いていれば決して難しいことではないと思います。何が言いたいかというと、最初は給料の一部を入金し続けていくことが大切ということです」

当初、御発注さんは給料の8割を投資に充ててきた。「8割も入れられない」と感じる人がほとんどだと思われるが、重要なのは割合ではなく、入金を継続すること。

「僕は極端な節約が身に付いていたため、8割を入金できましたが、皆さんはできる範囲の入金で問題ありません。

大切なのは続けることなので、毎月継続できる金額を入金しましょう。たとえ少額でも毎月入金し、資金が貯まったら個別株を買ったり投資信託で積立投資をしたりしていくことが、資産形成の第一歩です。『この金額は入れる』と決めることが実践につながります」

継続するためには、強い信念が必要になる。しかし、「今月は出費が多いし、仕方ないか」と諦めそうになるときもあるだろう。

「そうならないためにも、『家が欲しい』とか『仕事を辞めたい』とか、なんでもいいので動機を持つことが大切だと思います。そのうえで無理なく入金できる金額を決めておくと、継続しやすくなるでしょう」

ちなみに、株式投資を始めた頃の御発注さんは、エクセルで複利の計算を行い、資産が増えていく過程を見える化したそう。

「投資始めたての頃は、毎日のようにエクセルで計算して未来を描き、これだけ資産を増やしていくんだって自分を洗脳してました(笑)。当時は40歳ぐらいで資産1億円に到達する想定でしたが、実際はだいぶ前倒しで達成できました。よく『目標を紙に書いて見えるところに貼っておくと叶う』と言われますが、意識に刷り込むことが目標達成に近付くコツなんだと思います」

「慎重さ」と「大胆さ」を併せ持つとリターンにつながる

もうひとつ、投資初心者に伝えておきたいことがあるという。株主優待には廃止のリスク、配当には減配のリスクがあるということだ。

「優待廃止や減配があると、当初想定していた運用利回りの前提が崩れてしまうので、財務諸表などを見てキャッシュフローがちゃんと入っているか、資金繰りに困っていないかというところは、ちゃんと見たほうがいいかもしれません。最初のうちは『利益剰余金』がマイナスになっている銘柄は避けるといったことをしていれば、大ケガすることはないと思います」

御発注さん自身は何よりも「損」を避けようと考え、トータルでプラスになるように心掛けていたため、優待廃止や減配によるマイナスの影響は少なかったそう。

一方で、慎重になりすぎたことによる失敗はあったという。

「金額的にはほとんど損したことはないんですが、機会損失は結構してきました。そこは反省点ですね。株式投資の世界では、リスクをひたすら避けるように進めていくと、リターンも低くなる仕組みになっているんですよ。ハワード・マークスも『適切なリスクを取ること』と説いているように、株式投資においてはリスクと向き合うことも重要なんだなと」

ある程度の資産を築いてからは、「いま損したとしても、投資で儲かった分が減るだけ」と思えるようになり、“適切なリスク”を取れるようになったとのこと。

「最初からリスクを取るのは難しいと思いますが、経験と資産を積み重ねていくなかで、バランスを取れるようになるのではないかと思います。株式投資で銘柄を分散しすぎると、安定性は高まるものの成績は投資信託に近付いていくので、集中させる銘柄を決めるのも大切な判断だと感じています。自分自身がファンドマネージャーだと思って、試行錯誤していくことが運用のコツかもしれませんね」

しっかりと企業や財務諸表の分析をして、損をしない手法で運用を継続してきた御発注さん。だからこそ、想定より早いペースで資産を築くことができたのだろう。目標を定め、その達成に向けて実直に継続する。これこそが株式投資の秘訣といえそうだ。

(取材・文/有竹亮介)

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