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日に日に進化しているAIは、本当に時代を変えるのだろうか。さまざまな角度からAIに携わる人たちに話を伺う特集「AI交差点」。



ビジネスでもプライベートでもAIを取り入れている人は増え、もはや日常のひとつになってきているかもしれない。日々、精度が高まっているAIだが、今後はどうなっていくのだろうか。

これからのAIそのものやAI業界の変化、投資家視点での注目ポイントについて、野村證券投資情報部シニア・ストラテジストの村山誠さんに聞いた。

AIエージェント導入には、企業ならではのハードルがある

個人投資家こそ押さえておきたい「AI業界」のこれから


現在は「ChatGPT」や「Gemini」などの生成AIを活用している人が多いが、今後は人に代わって情報分析やタスクの実行を行う自律型プログラム・AIエージェントが普及するといわれている。

「AIエージェントの導入に賛成する声は多く聞かれますし、人材不足の日本においては人手を補う意味で重要なものなので、導入は進んでいくでしょう。ただし、実際に導入するとなると、乗り越えるべきハードルがあることも事実で、思いのほか時間がかかるのではないかと思います」(村山さん・以下同)

村山さんの話す“ハードル”のひとつは、「組織の再編」だという。AIエージェントを導入するということは、これまで人が行っていた作業の一部をAIに置き換えるということ。作業がなくなった人材をどの部門に配属するか、どのように活かしていくかといった課題が出てくるのだ。

「例えば、AIエージェントを導入することで、100人で行っていた作業が70人でできるようになるとします。30人をカットするという縮小均衡型の発想をする企業もあるかもしれませんが、多くの企業はその30人を事業拡大のための新たな分野に配属したり、人にしかできないクリエイティブな業務を任せたりするといった、発展的な方向に動くのではないかと考えられます。そうなると従来のままではなく、新たな部門や事業をつくり出していく必要があるため、組織そのものや経営戦略に手を付けることになります」

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組織や経営戦略の見直しは、一朝一夕でできることではない。全社を挙げてAIエージェント導入に取り組むとなれば、それだけの準備が必要になってくるのだ。

「全社的な組織改編ともなると、3~5年単位で戦略を立てる『中期経営計画』を実行するような単位で時間がかかる可能性があります。

ただし、AIはものすごいスピードで進化しているので、計画を立てたときに想定していた状況と数年が経った後の状況が大きく異なるということも十分あり得ます。そのため、実際には全社横断的にというよりは、まず目先の業務効率の向上を目指し、部署単位でAIエージェントを導入していくところも多いでしょう」

部署ごとにAIエージェントを導入するとなると、別の“ハードル”が出てくるとのこと。

「企業の規模が大きいほど、部署ごとに異なるソフトウェアを活用している可能性が高いといえます。その場合、『活用しているソフトウェアと親和性の高いAIエージェントを入れる』という話になるはずです。結果的に、部署ごとに異なるAIエージェントを導入するということになりかねません。その後、改めて企業全体でAIエージェントを入れるとなると、どう連携させていくかという問題が出てきます。このような点も、AIエージェントが普及するうえでのハードルになると考えられます」

AI周辺の「技術」「装置」への注目度UP

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AIエージェントがすぐに普及して盛り上がるとはいえなそうだが、AI業界全体を見てみると期待の高まりは感じられるだろう。投資においても、AI関連銘柄に注目が集まっている。

「現在は、フィジカルAI(ロボットや機械を動かすAI)に対する、投資家の関心が高まっています。フィジカルAIを実行するうえでのデバイスに搭載されている半導体やソフトウェアへの注目度も高まり、関連企業の株価も上がってくるのではないかと考えられます」

さらに、AIの活用が進むことによって、周辺の技術も盛り上がっていく可能性が高いとのこと。

「現在、AIの学習に必要なデータセンターの構築が盛んに行われています。そのため、データセンターに搭載される半導体に加え、発電機や電源装置の需要も上がっています。GPU(画像処理装置)やメモリも欠かせないため、これらの装置を開発する企業への注目は、今後も続くと考えられます」

いまのうちから注目しておきたい「AI開発企業の上場」

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AI開発企業への投資は、積極的に行っていくべきだろうか。



「アンソロピックでは2026年秋頃、OpenAIでは2027年中の上場が検討されていると報じられています。注目されている方も多いと思いますが、先行投資の段階の会社が上場企業となり市場に参加すると、将来の成長利益への期待から、NASDAQ総合指数のPER(株価収益率)が上昇する可能性があります。上がること自体は悪いことではないのですが、仮にPER60~70倍のような状態になったら要注意です」

1999年から2000年にかけて生じたITバブルの際には、NASDAQ総合指数のPERが60~70倍になったという。アマゾンなど、IT革命をけん引した企業がまだ赤字か、ようやく黒字化し始めた段階で上場した時期の出来事だ。

「加えて、ITバブルでのPER上昇は、新興企業の上場とは別の理由がありました。当時は『コンピューター2000年問題』が懸念されていました。2000年になると銀行のシステムが誤作動を起こして、正常に決済できないかもしれないという不安感がありました。そのため、アメリカで『手元にお金を備えておくべき』という考えが広まり、口座から現金を引き出す人や企業が増えかねない状況だったのです。そのような状況に対応するため、FRB(連邦準備制度理事会)は1999年末に資金を大量供給しました。実際には『コンピューター2000年問題』は大きな問題にならなかったのですが、供給された資金が株式市場に流れ、人気銘柄に大量の資金が入ってPERが極端に上がり、バブルの状態になりました」

新興企業の上場に「コンピューター2000年問題」や「資金の大量供給」といったさまざまな要素が絡み合ったことで、バブル化してしまったのだ。

「現在は『コンピューター2000年問題』のような外的要因は見られないため、アンソロピックやOpenAIが上場したからといって、バブル化するとは考えにくいでしょう。ただ、日本企業の何倍もの利益を上げている企業が市場に入ってくるとなると、それらの企業の影響は大きいため、直接は投資しないとしても注目しておいたほうがいいと思います。

ITバブルのときのように、思いがけない要因で株価が変動する可能性もあるので、世の中の変化も押さえておきましょう」

AIの進化の速さと比例して、多様な動きを見せているAI業界。今後ますます注目を集めることは間違いないため、さまざまな情報を集めながら、未来を予想していきたいところだ。

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(取材・文/有竹亮介 撮影/森カズシゲ)

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