日本企業が世界で勝つためには、どうすればいいのか。STARTO ENTERTAINMENT創業者で、連続起業家の福田淳さんは「人口が多くお金もある『MENA』地域はこれから伸びる市場なので、目を向けたほうがいい。
しかも彼らは『Made in Japan』を信頼している」という――。
※本稿は、福田淳『結局、熱狂できる人がうまくいく。』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
■これから急成長する「MENA地域」とは
海外に行くと、自分の「偏見」に気づかされます。
MENAという言葉を聞いたことありますか?
Middle East and North Africaの略で、中東と北アフリカのことです。具体的には、UAE、オマーン、サウジアラビア、エジプト、チュニジアあたりまでの、地続きの経済圏を指します。
僕、ドバイによく行くんですけど、ドバイは本当に面白いんです。世界中の人が集まっていて、24時間ビジネスができる。人口約400万人のうち、エミラティと呼ばれるアラブ系自国民が1割ぐらいで、インド・パキスタンの人が4割ぐらい。残りは北アフリカ、ロシア、ヨーロッパ、中国人のビジネスパーソンか富裕層。
ただ現状、ドバイには日本人が3000人くらいしかいません。ロサンゼルスにいる日本人6万4000人に比べると、かなり少ないです。
これはビジネスチャンスを逃していると僕には見えますが、日本人って、中東に行こうとしないんですよね。なんか危ないイメージがあるから。
でも実際に行ってみたら、全然そんなことないです。ドバイなんて、新宿より安全かもしれない。ロサンゼルスの100倍安全で清潔です。
僕がドバイに行った時、友人がどこかで落とした財布がすぐに戻ってきたんです。お金も全部入ったまま。拾ってくれた人に友人が「お礼をしたい」と言ったら「いらないよ」と返されて。「なんて国なんだろう」って感動しました。
■「虎屋のようかん」が中東で大繁盛のワケ
中東の国々では日本人への親近感も高いですよ。
彼らは甘いものが大好きで、虎屋のようかんが大人気だし、最近はヨックモックもアラブで大繁盛しているし、「白い恋人」も流行ってる。トヨタのランドクルーザーはテスラよりかはるかに格上で、「トヨタすげえな」と称賛されてる。
アブダビのteamLabも3カ月待ちの大人気です。
MENA地域は間違いなくこれから伸びる市場なんです。人口も多いし、お金もある。しかも安全で日本人に対して好意的。でも、この事実を知らない日本人が多すぎる。本当にもったいないですよ。
日本企業が中東に進出するケースはまだ少ないですが、だからこそブルーオーシャンなんです。ASEANはもう競合がひしめいていますが、MENAはまだ日本企業がほとんどいない。しかも彼らは「Made in Japan」を信頼している。
まずは中東に関する本を読んだり、ネットで調べてみませんか。
そして次は偏見を捨てるために、もっと海外に行きましょう。海外に行くと偏見が薄まり、新しいビジネスの種に気づけます。

■サウジの皇太子が激推しする「漫画」
サウジアラビアにManga Productionsという、サウジのムハンマド皇太子が設立したMiSK財団の子会社があります。
ムハンマド皇太子は日本のアニメが大好きで、Manga Productionsで『キャプテン翼』のプロジェクトとかをやってる。
彼らは日本の株式会社TSUBASA(キャプテン翼公式)とパートナーシップを結んで、キャプテン翼の制作協力や中東向け配給など様々なプロジェクトを展開しています。そうして今、日本のアニメーターとサウジのクリエイターが一緒に作品を作っているんですよ。
中東では今、日本のアニメや漫画がすごく人気です。『ドラゴンボール』や『ワンピース』はみんな知っているし、セガのゲームもする。日本のポップカルチャーは、中東でも完全に浸透しています。
中東にアニメ文化が浸透した経緯がなかなか面白いんです。
■日本人は「大チャンス」を逃してはいけない
もともとヨーロッパの人たちが日本のアニメを発見したのは1970年代なんですよ。フジクリエイティブという会社が『一休さん』とか『マジンガーZ』を輸出して、そのおかげで僕の年代のパリジャンってみんな『キャンディ・キャンディ』を見て育ってた。
それがどう中東につながるかって言うと、ドイツのメルケル元首相がいっぱい移民を入れたじゃないですか。それで移民がヨーロッパで生活するなかで日本のアニメを知って、中東に広まっていったんです。

ちなみに最近はドバイチョコが世界的に人気ですけど、これってドバイ発じゃないんです。ドイツに入った中東の移民がドバイチョコを作ったから、実はヨーロッパ発なんですね。
そんなわけでサウジアラビアには次々と海外のカルチャーが浸透して、社会も変化してきています。少し前までは女性の権利が厳しく制限されていましたが、女性も車を運転できるようになっているし、エンタメに対する規制も緩くなってきてる。だから、アニメとかゲームとか、そういう産業が育ってきてるんです。
日本人としては、これって間違いなくチャンスですよね。日本のアニメやゲームのノウハウを、中東に輸出できる。そして、中東の市場を取れる。そのことに、早く気づいてもらいたいです。
ここから読み取ってほしいのは、文化の伝播ってどこから始まるかわからないということです。ヨーロッパで観られていた日本のアニメが移民を通じて中東に広まるなんて、誰も予測できなかったでしょう。
あなたの会社の製品やサービスだって同じです。
思いもよらない国で、思いもよらない理由で受け入れられる可能性がある。日本国内だけを見ていたら、その可能性に永遠に気づけません。

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福田 淳(ふくだ・あつし)

スピーディ 代表取締役CEO(現任)、STARTO ENTERTAINMENT社 創業CEO

ソニー・デジタル エンタテインメント 創業CEO。日本最大のタレントエージェント経営、世界19カ国での出版事業、ロサンゼルスでアートギャラリー運営、カリフォルニア全域・日本の沖縄・富士山麓でリゾート開発、無農薬ファーム運営、エストニアでのデジタルコンテンツ開発、スタートアップ投資など世界中でビジネスを展開。受賞歴にカルティエ「チェンジメーカー・オブ・ザ・イヤー」受賞(2016年)など。月刊誌『GOETHE』連載中。著書に『好きな人が好きなことは好きになる』(Speedy Books)、『結局、熱狂できる人がうまくいく。』(PHP研究所)などがある。

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(スピーディ 代表取締役CEO(現任)、STARTO ENTERTAINMENT社 創業CEO 福田 淳)
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