※本稿は、黒田昭彦『15分スケジュール すぐに成果を出す人の時間術』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
■商談先であえて待ち時間を作る効果
業務は大きく分けると付加価値の高い業務、必要業務、低付加価値業務の3つがあります。低付加価値業務はなるべく減らしたいのですが、その中でも移動時間は廃止不可能な事項で、効率化がなかなか難しい項目になります。
WEBミーティングにすれば移動時間は0になりますが、金額が大きい商談などでは、リアルな打ち合わせが望ましい場合が多いのも事実です。
移動時間への対処としては、営業であれば取引先に別の部署を紹介してもらうのがベストです。同じ移動先に複数の打ち合わせ先があれば、1件当たりの移動時間は半分以下になります。
また、取引先の担当者が社内を移動することが多い場合は、あえて待ち時間を作ることも有効です。待ち時間に廊下で知っている担当者の方に会う場合もあります。
「犬も歩けば棒にあたる」ではないですが、人は顔を見ると用事を思い出すことがあります。「あれ、ちょうどいいところに、少しお時間いいですか?」となれば、さらに1件当たりの移動時間は短くなります。
そしてうまくいけば、「そういえばこんな案件があった」などラッキーな受注に巡り合えることもあります。
■成果を生み出す「移動時間」の使い方
他にも電車での移動なら、移動中の沿線上に別の取引先があるなら、途中下車して、その取引先に寄るのも有効です。取引先が1件から2件になれば1件当たりの移動時間は半分になり、50%もの効率化が図れます。
これは営業以外の方にも応用できる話で、総務、経理の方は役所へ用事で行ったり、商品企画の方なら工場に打ち合わせへ、法務の方なら弁護士事務所へなど業務上、移動時間は発生するかと思います。
そんな時は行き先の他の部署や人にも用事がないかを考えてみる。沿線上についでがないか検討してみる。移動時間や待ち時間にできること(返信できるメール、メモ整理、スケジュール確認など)をあらかじめ考えておく。
このような工夫をすれば、移動時間も待ち時間も成果が上がる時短へとつながっていきます。
移動は避けられない業務時間ですが、「まとめる」「ついでをつくる」「待ち時間を活かす」という意識を持てば、時間効率は大きく改善します。
移動時間はコントロールできないように見えて工夫次第では成果を生み出せる時間なのです。
移動時間は、ついでの用事も考える!
■あまりに打ち合わせが多すぎてイライラ
商談、会議以外に自分の仕事時間を一番侵食するのは、打ち合わせかも知れません。私は会社員時代営業でしたが、取引先から帰って来て早く自分の業務に取り掛かりたいのに、なぜか次々に打ち合わせの予定が入って「何でこんなに打ち合わせが必要なんだ!」とよくイライラしていました。
思い返してみれば営業から仕事を依頼されるスタッフの人はスタッフの人で、「内容がよく分からない!」とイライラして、とりあえず打ち合わせして聞いてみようと思っていたのかもしれません。
実際にコーヒーブレイクの際に、話をしていたWEB制作部門のリーダーは、「とにかく打ち合わせが多くて困る。Googleカレンダーが空いているからといって、暇な訳ではない。これでは、いったいいつ企画を考えて企画書を作ったり実際の制作業務をするんだ!」と言って怒っていました。
もちろん、打ち合わせは方向性を合わせて業務を円滑に進行させるのに必要なことです。認識のズレを防ぎ、情報を共有して、信頼関係を築き、次のアクションを明確にするためにも重要になります。
しかし、あまりにも打ち合わせに時間を取られてしまうと本来の業務に支障をきたしてしまいます。
■不要な議論を削減するための事前準備
打ち合わせを効率化するには事前にアジェンダを出して目的を決めておくこと、仕事を依頼する相手への依頼事項を明確にしておくこと、が有効になります。
特に案件のスタートであるキックオフでは、案件が決定した経緯など説明時間の削減には、事前にメールで送る資料での情報共有が有効です。
また、打ち合わせにかける時間を決めておくことで不要な議論を削減することもできます。
打ち合わせは口頭での確認ですので、万一の取り違い防止のためにも、メモ程度の簡易的な議事録で決定事項を確認しておくことも有効です。
ただ、取り違いを防止するレベルですのでメモ程度で十分で、構えて作成して時間を無駄にしないように注意は必要です。
打ち合わせがない会社はないかと思います。
ただ、打ち合わせは戦略的な意思決定や重要な問題解決を目的としたものでなければ、必要業務であって付加価値業務ではありません。
打ち合わせは会議のように構えて準備するものではないような雰囲気がありますが、回数を考えれば会議以上に時間を取る存在です。
自分自身の付加価値業務に充てる時間を守るためにも、打ち合わせを行う際は事前に準備をしておきましょう。
そして、打ち合わせの目的と仕事をお願いする相手への依頼事項を明確にして、効率的に行っていきましょう。
さらに、アジェンダに「持ち帰りの宿題」と」「次回までの期限」を書いておけば、打ち合わせは端的に終わるだけでなく、成果へとつながっていきます。
打ち合わせは依頼事項を明確にしておく!
■タスクの切り替え=思考の切り替えコストに
似ている業務をまとめて処理すると、切り替えコストが減り、作業スピードが向上して、準備の手間も省けて時短につながります。
これは「タスクのグルーピング」と呼ばれる考え方で、次のような理由で効果が見込まれます。
違う種類の仕事を行き来するには、頭を切り替えるのにエネルギーが必要です。
しかし、似た作業をまとめてやると、脳の切り替えが減って集中しやすくなり、切り替えコストが減ります。
また、似た作業を連続してやっていると、集中状態(フロー)に入りやすくなり、パフォーマンスがアップします。
さらには、道具・資料の切り替えも減って、作業にどのくらい時間がかかるのか、時間見積りをしやすくなり、スケジュールも組み立てやすくなります。
人は異なる種類のタスクを切り替えるたびに、意識しないで思考の切り替えを行っていますが、この切り替えコストが意外に大きく、集中力の低下や無駄な時間の発生につながっています。
ですので、同じような作業をまとめて行えば、切り替えの負担が減り、結果として作業スピードは向上します。
さらに、資料やツールの準備・片付けの手間も一度で済むためトータルでの効率も高まるのです。
■キーエンスの営業のスケジュール法
実際に、高い生産性と収益性で知られる企業・キーエンスの営業スタイルでもこの考え方が活用されています。キーエンスの営業担当者は商談のための外出日と、資料作成などの内勤日を明確に分けてスケジュールを組んでいます。
これにより、外出に集中する日には顧客との接点を最大限に活かし、内勤日は資料作成や事務処理に没頭できる環境を整えているのです。
私が以前、営業研修を担当させていただいたメーカーでも、同様の傾向が見られました。現場で結果を出している優秀な営業の方々は、外出する日と内勤する日をしっかりと分けて、似た業務をまとめて処理していました。
一方、普通の営業の方は、同じ1日の中で外出と資料作成を交互にこなし、結果的に「現場に出る時間が足りない」と悩んでいました。
我々は、社内外において資料作成から会議や打ち合わせなど多岐にわたる業務をこなす必要があります。
このような多岐にわたる業務を効率的にこなそうとすれば、業務を意図的にグルーピングして「今はこの作業に集中する時間」と区切ることが、効率化と成果の両立には必要となります。
業務の性質が似ているものをまとめて処理することは、単なる時短ではなく、仕事の質そのものを高める手段でもあります。
予定を立てる時は〆切や優先順位はもちろんですが、似ている業務をなるべくまとめて処理できるように考えてみましょう。
そうすれば、みなさんの時間効率、時短は確実に進みます。
似ている業務はまとめる!
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黒田 昭彦(くろだ・あきひこ)
営業コンサルタント、営業改善 代表取締役
1971年生まれ大阪府堺市出身、甲南大学卒。マーケティング会社にて企画営業として23年間多数の企業の営業支援に携わる。会社員時代のある晩、チームメンバーが「明日は徹夜をしても業務が終わらない!」と泣きじゃくり始めて手が付けられない状態になった時に、業務を分解して15分単位で予定に落とし込む方法を実践。短時間で業務を前に進める手応えを得たことから、再現性のある手法として体系化した。2019年、営業コンサルタントとして独立。現在は15分スケジュール、週間スケジュールを活用した営業の生産性向上と販売促進などを支援している。
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(営業コンサルタント、営業改善 代表取締役 黒田 昭彦)

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