株式購入に最適なタイミングはどこか。投資家の配当太郎さんは「配当株投資で『できるだけ安く買いたい』という気持ちに縛られすぎると、購入機会を逃すことになる。
株価の動きを必要以上に気にせずに株を買い進めるために、比較すると安心材料になる指標がある」という――。
※本稿は、配当太郎『仕事をやめるまでに年間120万円の配当金を手に入れる最強の株式投資』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
■目の前の株価で買うタイミングを判断しない
配当株投資を進める際に、誰もが頭を悩ませるのが、「どのタイミングで株を購入するか?」という問題です。
「いつ買うか?」、「いくらで買うか?」を判断することは、最大の関心事であり、一番の悩みのタネでもあります。
本稿では、株を購入するタイミングについて、私の考え方をお伝えします。
株価というのは、企業が利益を伸ばし続けていれば、基本的には上昇します。
株式投資の世界には、「株価が下がったときこそ買え!」という考え方がありますが、配当株投資の観点で見ると、半分は正解で、残り半分は不正解となります。
「株のかたまり」ができるまでは、できるだけ安く株を買うに越したことはありませんが、企業の増配の受け皿となる土台ができてしまえば、少しくらい株価が上がっても、大きな影響を受けることはありません。
配当金からの再投資や自己資金の追加投資によって、さらに配当金を増やしていくことができます。
「株価の受け止め方は、配当株投資の進捗状況によって変わってくる」ということを理解した上で、この章を読み進めていただきたいと思います。
1カ月あたり10万円の配当金を手に入れるためには、株価の動きに振り回されない「自分流の判断基準」を持つことが大切です。
大事なポイントは、目の前の株価で購入のタイミングを判断しないことです。

自分なりの判断基準に照らし合わせて、購入のタイミングを決めることを習慣化することで、生活に支障がないペースを保ちながら、淡々と株を買い続け、持ち株数を増やしていくというスタイルを手に入れることができます。
■株価ができるだけ安いときに買うには
「高値で買いたくない」という心理が強すぎると、過去の安値ばかりに執着する「安値覚え」の状態に陥ります。
こうした考え方を続けていると、投資対象が株価が安い銘柄ばかりに偏ってしまい、結果として管理しきれないほどに銘柄数が増えることになります。
自分が優良と判断して保有している銘柄であれば、必要以上に目先の株価を気にするのではなく、過度に割高な状況でなければ、淡々と買い進めることが大切です。
高値で株を購入すると、結果的に「平均取得単価」が上がるため、それを嫌がる人もいるかもしれません。
平均取得単価とは、「株の購入総額」÷「株数」で割り出される指標で、同じ銘柄を買った際の「1株あたりの平均購入金額」のことをいいます。
高値で株を買い続けると、平均取得単価が上がるため、株価が安いときに買ったことで発生した「含み益」が目に見えて減少することになります。
これが株価が高いときに買いづらくなる原因の一つですが、平均取得単価が上がったり、含み益が減ったとしても、必要以上に気にすることはありません。
なぜならば、株を買って、持ち株数を増やし、企業の増配を存分に享受できる状態を作れば、結果的に利回りを上げることになるからです。
■「利回りの上昇」を見据える
私の実体験を通して、その具体例を紹介します。
私が配当株投資を始めたのは、2008年のリーマンショックの後ですが、その当時、三菱UFJの株を1株500円以下で購入して、そのまま持ち続けているだけでなく、今でも継続的な買い増しを繰り返しています。
現在の株価は、その頃の約6倍に上昇しています。

その後も買い増しを続けていることで、平均取得単価はそれなりに上昇していますが、仮に平均取得単価が2000円になったとしても、1株配が96円であれば、取得金額に対する利回りは約5%になるのです。
大事なポイントは、目の前の株価だけで判断したり、平均取得単価が上がることに神経質になるのではなく、増配が期待できる銘柄を買い進めて、その先にある「利回りの上昇」を見据えて考えることです。
きちんと簿価の利回りを把握しておけば、株価が上昇する場面でも、買い増しの判断ができるのです。
■「買い待ち」をすることも有効な選択肢
平均取得単価が上がることを、過度に恐れる必要はありません。
企業の業績が株価に見合っており、割高でないと判断できるならば、自分に無理のない範囲で買い進めてほしいと思います。
一時的に平均取得単価が上がったとしても、企業の業績が堅調で、将来的に配当金が増配されれば、自然と元の状態に落ち着きます。
もし現在の株価に割高感を覚えて、一度様子を見たいと思うのであれば、その感覚を大事にして、「買い待ち」(安値を待つ)をしてもいいと思います。
配当株投資の一番のリスクは、途中でやめてしまうことです。
中途半端な状態でやめてしまうと、配当金ダルマの成長速度に急ブレーキがかかり、持ち株を手放してしまえば、その成長は完全にストップします。
現在の株価が割高と感じたり、自分の財政事情では厳しいと思うならば、一呼吸を置いてみるのも、大事な選択肢となります。
三菱UFJの株を1000株持っているケースで考えるならば、業績の伸長によって、株価が大きく上昇したら、現在の株価で買うことを見送るのも、一つの手段です。
購入を見送った後に、来期の増配が決定したら、その段階で改めて買い増しを検討すればいいのです。

1000株という「株のかたまり」を持っている状態であれば、すでに増配の恩恵を享受する「受け皿」はありますから、株価が上がっても焦ることなく、購入のタイミングを待つという戦略が成立します。
配当株投資の重要なポイントは、自分に無理のないペースで、淡々と持ち株数を増やしていくことで、配当金を得るための「土台」を作ることにあるのです。
■銘柄を初めて買う場合、「足跡を残す」
配当株投資を続けていると、いくら魅力的な銘柄であっても、「現在のような高値で買っていいのか?」と判断に迷う局面が何度となく訪れます。
そんなときは、どのように考えればいいのか?
初めてその銘柄を買う場合と、すでに保有している場合に分けて、私が実践している対処法や考え方をお伝えします。
その銘柄を初めて買う場合、私は「足跡を残す」という発想をしています。
足跡を残すとは、実際に株を買ってみて、買った時点の株価を起点にすることで、株価に対する一つの判断基準を作ることを意味しています。
言い換えるならば、「自分なりの株価の軸を持つ」ということです。
あらかじめ株価の軸を作っておくと、その後の株価の動きに対する考え方に変化が生まれます。
その企業の成長に引き続き期待が持てる状態で、自分が買ったときよりも、株価が10?20%ほど下がっているならば、「今は積極的に買うタイミングだな」と判断することができるのです。
■株価が高いときは下がるのを待つべきか
株の購入を検討する際には、「もう少し株価が下がってから買いたい」と考えがちですが、自分なりの株価の軸を持っていなければ、いつまで経っても「もう少し」が見える化することはありません。
実際に株を買って、自分なりの「株価の軸」を持つことは、次に自分が取るべき行動を見極めるための「指針」の役割を果たしてくれます。
足跡を残すことは、株価に対する判断基準が明確になるだけでなく、その銘柄に対する解像度を高めることにも役立ちます。

自分で株を持っていないと、決算内容を確認しなかったり、「なぜ株価がこんな動きをしているのか?」など、その背景にまで目を向けることはないと思います。
実際に自分で株を所有していれば、リアリティのある「株の管理」ができるようになります。
すでに自分が保有している銘柄であれば、自分なりの株価の軸で判断して、現在の株価が過度に割高ではないと判断できる限りは、無理のない範囲で株を買い進めることが大切です。
配当株投資は、長期投資が前提ですから、わずかな株価の違いにこだわる必要はありません。
「できるだけ安く買いたい」という気持ちに縛られすぎると、購入機会を逃すことになります。安値で買うことに固執するよりも、自分が納得して持ち続けられるタイミングで確実に買い続けていくことが重要です。
株価の高い安いに、どこまでこだわるかは個人の考え方次第ですが、わずかな違いに固執するあまり、本来の配当株投資の目的を見失わないことが大切です。
■安心材料になる「指標」の比較
株価の動きを必要以上に気にせずに株を買い進めるためには、現在と過去の「バリュエーション指標」を比較することが安心材料になります。
バリュエーション指標とは、企業の利益や資産などの「企業価値評価」のことです。
本来の企業価値と現在の株価を比較することで、株価が相対的に「割安なのか?」、「割高なのか?」を判断することができます。
例えば、バリュエーション指標には、次のようなものがあります。
・「株価収益率」(PER)=「株価」÷「1株あたり純利益」(EPS)

・「株価純資産倍率」(PBR)=「株価」÷「1株あたり純資産」(BPS)

・「自己資本利益率」(ROE)=「当期純利益」÷自己資本×100

・「配当利回り」=「1株配」÷「株価」×100
株価が割高な水準にあるときに、無理して買う必要はありませんが、10年前と現在を比較して、バリュエーション指標が同じ水準に留まっているならば、業績の成長に伴って株価が上昇していることがわかります。

そうした銘柄は、安心して購入することができます。
最近では、金利の上昇や円安、インフレといったマクロ経済環境の変化によって、株価が上昇し、PERが高くなっている企業が増えています。
こうした企業に共通するのは、収益伸長や価格転嫁力があるため、マクロ経済環境が変わっても、今後の成長性に期待して株が買われているということです。
現在は、過去のPERと比較して、高い状態が許容される状況ですから、PERの数値が上がっていることを理由に購入を見送ってしまうと、後になって、「もったいなかったな」と感じるケースが増えてくるように思います。

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配当 太郎(はいとう・たろう)

投資家

学生時代に株式投資を始め、リーマン・ショックを経て、配当株投資に目覚める。大型株を中心に投資し、保有銘柄の9割は配当金が年々増える「増配銘柄」が占める。Twitterのフォロワーは7万5000人超。毎日、配当株投資に関する情報を発信している。本書が初の著書となる。

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(投資家 配当 太郎)
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