糖尿病の寛解を目指すには何を食べるといいか。佐久市立国保浅間総合病院の糖尿病センター長の西森栄太さんは「糖尿病の寛解を目指すには、血糖値がゆっくり上がり満腹感を得られる炭水化物や野菜などのほか、カロリー控えめで食べやすいたんぱく質を選ぶことが重要だ」という――。

※本稿は、西森栄太『2型糖尿病は寛解する!』(新星出版社)の一部を再編集したものです。
■糖尿病の寛解を目指すための「食事の7原則」
これまでの糖尿病寛解に関する研究と、私が診療させていただいた患者さんの実践から得られた知見をもとに、糖尿病の寛解を目指すための「食事の7原則」をまとめました。
この順番は、「今日からできること」から始まり、「習慣になれば大きな効果が期待できること」へとつながるように構成しています。
また、先の記事で紹介したDさん、Bさんのように「自分に合ったやり方を選び、継続すること」が成功のカギであることもぜひ忘れないでください。
1.甘い飲み物、お菓子はやめる
飲み物は水やお茶、ブラックコーヒー、炭酸水に置き換えるだけでも血糖値は安定しやすくなります。間食に飴やせんべい、まんじゅうなどは「食べない」と決め、どうしてもおなかがすいたときは血糖値の上がりにくいナッツやチーズ、生野菜を選びましょう。間食は食事の一部とし、量を決めて摂ります。
2.毎食、野菜を「主役」にする
味噌汁にキャベツや大根、きのこなどを加えて具沢山にしたり、サラダやもずく・めかぶを添えたりといった小さな工夫で、野菜の摂取量は大きく増やせます。1日3食すべてに野菜を取り入れることを目指しましょう。
3.毎食、たんぱく質を意識的に摂る
納豆、豆腐、ゆで卵、サラダチキンや豆腐バーなど、すぐに取り入れられる食材から始めましょう。まずは「1食に1品、たんぱく質源を加える」ことを意識するだけで十分です。
4.“朝はしっかり、夜は控えめ”が基本
欧米の格言に「朝食は王様のように、昼食は王子のように、夕食は貧者のように食べよ」というものがあります。
朝や昼にしっかりとエネルギーを補給し、夕食は控えめにすることで血糖値の安定につながります。夕食のご飯を半量にする、あるいは主食を抜くだけでも大きな改善効果があります。
5.主食(ご飯・パン・麺類)は“決めた量だけ”食べる
ご飯は「軽く1杯」や「茶碗に半分(70~100g)」がおすすめ。麺類だけの食事は避けましょう。日常の中で「いつもよりひと口少なく」を意識することが大切です。芋類やかぼちゃも主食と考えます。これらを食べる場合は、主食を減らして調整しましょう。
6.定番メニューを決めて、“迷わない食事”にする
選択肢が多いと、つい食べ過ぎてしまいます。「朝はこれ、昼はこれ」というように、自分の定番メニューを決めておくと悩まず続けられます。この「No Doubt(迷わない)食事スタイル」は、寛解への近道です。
7.1日の摂取カロリーは800~1200kcalを目安に
最初から厳密なカロリー計算をする必要はありません。上記の実践を積み重ねることで、自然とこのカロリー範囲に近づいていきます。
カロリーの目安を意識することで、無理のない減量が可能となり、寛解の土台が築かれます。
■血糖値がゆっくり上がる“おすすめ食材”
【糖尿病の寛解を目指すおすすめの食材】
●炭水化物(主食)……血糖値がゆっくり上がり満腹感を得られるものを選ぶ
根拠……血糖値がゆっくり上がる食品を選ぶことで、食後に血糖値が急に上がるのを防ぎ、体が無理なく血糖をコントロールできるようになります。
[食材……おすすめの理由・根拠]

もち麦……食物繊維(β-グルカン)が豊富で、血糖値の上昇を抑える。白米に混ぜるだけでGI値が下がる。

雑穀米(白米+押し麦、きびなどを混ぜたもの)……ビタミンB群・ミネラル・食物繊維が豊富で、インスリン抵抗性を改善する効果が期待される。

玄米……精白米に比べて食物繊維・ビタミン・ミネラルが多く、血糖値の上昇がゆるやか。腸内環境改善にも良い。

オートミール……食物繊維(β-グルカン)を含み、食後血糖値の上昇を抑える。たんぱく質含有量も多い。特に朝食に向いている。
●たんぱく質……カロリー控えめで食べやすいものを選ぶ
根拠……高たんぱく質食はGLP-1分泌や満腹感を高め、体重・ヘモグロビンA1cの改善に寄与します。炭水化物より先に食べることで、血糖値の上昇を抑えることが期待できます。

[食材……おすすめの理由・根拠]

納豆・豆腐(高野豆腐含む)……大豆イソフラボン・食物繊維を含み、低糖質。満腹感もあり、毎日の摂取に向く。

卵……ビタミン・ミネラルも豊富で血糖値に影響を与えにくい。1日1~2個までなら安全性が高い。

鶏むね肉・ささみ……高たんぱく・低脂質でダイエットや体重管理に有効。血糖値に直接の影響なし。

白身魚(たら、カレイなど)……低脂肪・高たんぱく。EPAやDHAを含む青魚も良いが、調理法に注意(揚げ物は控える)。
■低カロリー・高食物繊維、満腹感を高める食材
●野菜……血糖値の上昇を抑え、食物線維が多くて栄養素密度が高いものを選ぶ
根拠……糖質の少ない野菜の摂取はヘモグロビンA1cの改善に寄与します。炭水化物より先に食べることで、血糖値の上昇を抑えることが期待できます。
[食材……おすすめの理由・根拠]

キャベツ、白菜、大根、ブロッコリー……食物繊維が豊富。キャベツと白菜は、加熱するとカサが減って摂りやすい。
血糖値の上昇を緩やかにする。

きのこ類(しめじ、えのき、舞茸など)……低カロリー・高食物繊維で、満腹感を高めながらエネルギー制限に貢献。

ほうれん草、小松菜……ミネラル(鉄・カルシウム)や抗酸化成分を含む。温野菜にも向いている。

トマト、きゅうり……生でも食べられ、ビタミン・水分が豊富。見た目や彩りもよく、満足度が高まる。
●果物……適量で自然な甘味と栄養を取り入れる
根拠……果物はビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富で、適量であれば血糖コントロールや満足感の向上に役立ちます。ただし、過剰摂取は糖質過多となり、血糖値上昇や体重増加のリスクとなるため、量と種類に注意が必要です。
[食材……おすすめの理由・根拠]

みかん……ビタミンC・食物繊維が豊富で、1個で適量の糖質と栄養が摂れる。

りんご……食物繊維(ペクチン)が豊富で腸内環境改善に寄与。ただし、1╱2個程度に量を抑える。

ベリー類(いちご、ブルーベリー)……抗酸化成分が豊富で、糖質が比較的少ないため適量であれば血糖値に与える影響が小さい。


キウイ……ビタミンCや食物繊維が多く、適量であれば血糖値への影響はゆるやか。
■調理法は「ゆでる・蒸す・焼く」が基本
●間食……血糖値に影響を与えにくい低糖質・低カロリーのものを選ぶ
根拠……間食は余分な糖質やカロリーの摂取源となりやすく、習慣化すると血糖管理や体重管理の妨げになります。血糖値を急上昇させない低糖質・低カロリーの食品を選ぶことが重要です。
[食材……おすすめの理由・根拠]

無糖ヨーグルト……乳酸菌・たんぱく質が含まれ、血糖値への影響が小さい。間食として100g以内ならOK。

ナッツ(無塩・素焼き)……少量で満腹感が得られるが、脂質が多いため1日10粒程度にとどめる。

チーズ(プロセスチーズなど)……糖質が非常に少なく、たんぱく質とカルシウムが摂取できる。少量で満足感が得られるが、脂質・塩分が含まれるため1~2個(20~30g程度)までが目安。
実践のコツ
・調理法は「ゆでる・蒸す・焼く」が基本、揚げ物は控える。

・野菜・たんぱく質→主食→果物の順で食べると血糖の急上昇を防げます。

・果物・間食は量を決め、食事の一部としてとらえるのがポイントです。

・「1日800~1200kcal」を意識し、栄養バランスを整えましょう。

■“糖を足して満足感を出す”発想から脱却する
【糖尿病寛解のための調味料の選び方】
「糖尿病の寛解」を目指す食事においては、主食やたんぱく質・野菜の内容だけでなく、調味料の選び方と使い方もとても重要です。調味料は少量でもエネルギーや糖質が意外と多く含まれており、使い方次第で血糖値や体重に影響を及ぼします。また、塩分の摂り過ぎで血圧が高くなることもあります。
以下に、「糖尿病の寛解」+減塩に適した調味料の使い方・アドバイスを具体的にまとめました。
●調味料の使い方 7つのアドバイス
1.「かける」より「つける」

しょうゆ・ソース・ポン酢などはかけずに「つける」ことで摂取量を半分以下に抑えられます。特に豆腐や肉・魚料理などには小皿での「ちょい付け」が効果的。
2.「ドレッシング」より「酢+オイル少量」

市販のドレッシングは糖質・脂質・塩分が高め。手作りなら、酢・オリーブ油などで十分風味豊かになります。
3.「みりん・砂糖」など甘味は極力控えめに

甘味を使うなら、本みりんを少量のみ、または料理全体の量を減らすこと。煮物は「薄味+香り(しょうがなどの香味野菜、だし)」で満足感を出しましょう。
4.味付けは「だし」や「香味野菜」を活用

こんぶ・かつお節・いりこなどの天然だしを使うと、塩分控えめでもうまみが出ます。市販だしは、食塩無添加や減塩タイプがおすすめです。しょうが、にんにく、ネギ、しそ、ごま、カレー粉などで風味を足すと、薄味でも満足感アップ。コショウや酢を使うとパンチが効きます。
5.調味料も「糖質量表示」で選ぶ

みそ・ソース・ケチャップなどには意外と糖質が多く含まれています。栄養成分表示の「糖質」「炭水化物」欄をチェックしましょう。
6.「無意識の塩分」に注意(1日6g未満を基準に)

しょうゆ・みそ・めんつゆなど、1回の使用量は少量でも積もると高塩分に。スプレー式のしょうゆや、減塩調味料も活用すると便利です。
7.「うまみは足す、甘みは減らす」

だし、酸味、香辛料で満足感を出しつつ、“糖を足して満足感を出す”発想から脱却しましょう。

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西森 栄太(にしもり・えいた)

佐久市立国保浅間総合病院 内科部長(糖尿病内科)、糖尿病センター長、地域医療部長

1997年 東京大学大学院農学生命科学研究科修士課程修了。2005年 琉球大学医学部医学科卒業。沖縄県立中部病院での研修を経て、2008年より沖縄県立南部医療センター・こども医療センター附属粟国診療所に勤務。粟国島あぐにじまの島医者としてプライマリ・ケアに従事。2011年から佐久市立国保浅間総合病院に勤務し、糖尿病診療を中心とした地域医療に取り組んでいる。日本糖尿病学会専門医・指導医、日本内科学会総合内科専門医・指導医、 日本プライマリ・ケア連合学会家庭医療専門医、日本医師会認定産業医。

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(佐久市立国保浅間総合病院 内科部長(糖尿病内科)、糖尿病センター長、地域医療部長 西森 栄太)
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