■優待&配当利回りで、約9%
先日、保有する近鉄グループHDの株主優待が届きました。
近鉄グループHD(以下、近鉄)とは、大阪と奈良を地盤とする営業キロ数で国内最大の私鉄で、その株主優待のメインは、近鉄電車全線に乗り放題(1枚につき片道1回)となる「招待乗車券」です*。
前述のとおり、近鉄は営業キロ数で国内最大の私鉄なので、この招待乗車券は使いようによっては、相当な値打ちとなります。たとえば、大阪から名古屋までの運賃は片道2860円なので、この招待乗車券を使えば、1枚2860円もの値打ちとなるわけです。
*当原稿での株主優待の内容は、すべて100株保有時のもの。
この招待乗車券が年間8枚届くので、(もし、そのすべてを大阪から名古屋への移動に使えば)その価値は約2万3000円。現在、近鉄の株価は約3400円(100株で約34万円)ですから、その優待利回りは7%弱もの高水準となります。そして、近鉄の配当利回りは2%超なので、それと合わせれば約9%もの利回りとなるのです。
■物価高で、株主優待の実質的価値がアップ
そんな高水準な利回りもスゴイのですが、特筆すべきは、昨今の物価高により、この株主優待(招待乗車券)の「実質的な」価値が上がっていることです。
たとえば、大阪から名古屋までの運賃は、以前は片道2410円だったのが、3年前の運賃値上げによって、現在の片道2860円となりました。
そして、昨今の物価高の流れを鑑みれば、今後、さらなる運賃アップの可能性も高く、そうなれば、近鉄の株主優待(招待乗車券)の実質的価値は、さらに上がっていくことが期待できるわけですね。
■物価高で実質的価値は下がるが…
ちなみに株主優待とは、企業が株主に対して定期的(通常、年1回もしくは2回)に自社商品やお食事券・買物券などを贈るもので、日本独特の制度です。
株主優待の実施は任意ですが、外食、小売、そして鉄道会社など、我々消費者に身近な企業の多くが実施しており、そんな株主優待を目当てに株式投資をしている人も少なくありません(私もその一人です)。とくに昨今の物価高においては、定期的に送られてくる株主優待(商品や金券等)は家計の大きな助けにもなり、優待投資は、物価高対策の1つとも言えるでしょう。
ただ、株主優待の多くは、「○○円分相当の自社商品」や「○○円分のお食事券」など、その内容が商品であれ、金券の類であれ、「○○円分」と、金額ベースとなっています。ですので、この物価高(お金の価値が下がる)において、多くの株主優待の実質的な価値は下がっているのが現状なのです。
そんな状況を受けてか、最近は、「これだけ物価が上がっているのだから、株主優待の金額も上げてよ」といったボヤキをよく見ますが、残念ながら、株主優待の金額が増額されるケースは稀です。
■物価高に強い優待とは
そのような状況ですから、「○○円分」と金額ベースではなく、(冒頭に紹介した近鉄の優待のように)商品そのものの株主優待は、数は少ないものの、この物価高においては非常にありがたく、そして頼もしいでしょう。物価高となれば、その実質的な価値は上がるのですから。
ちなみに、近鉄をはじめ、東急(株主優待乗車証)や九州旅客鉄道(鉄道株主優待券1日乗車券)など、交通系の株主優待に、そのようなタイプの優待(金額ベースではなく商品そのもので、物価高においては実質的価値が上がるタイプ)は比較的よく見受けられます。
また、オリエンタルランド(1デーパスポート/東京ディズニーランドまたは東京ディズニーシー)*やサンリオ(電子チケット/テーマパーク共通優待券)など、レジャー系の株主優待にも、そのようなタイプの優待は見つけやすいです。今、東京ディズニーランドなどレジャー施設の入場料は、とくに大きく値上がりしていますから、注目かもしれませんね。
*オリエンタルランドの株主優待は500株以上保有時だが、100株保有でも3年以上継続保有であれば受け取れる。なお、2026年9月末に限り、継続保有条件なしで100株株主でも受け取れる(上場30周年特別優待として、通常優待に追加)。
ただ、これら交通系・レジャー系の株主優待は、株主の住んでいる地域や行動範囲に縛られるので、優待目当ての投資対象としては、その選択肢はかなり限られます。その優待がどれだけ魅力的でも、自身が活用できなければ意味がないですからね。
■自身の興味関心を、考えて
住んでいる地域や行動範囲に縛られにくい(多くの人が使うことができる)ものとして、極楽湯(無料入浴券)や東京テアトル(映画ご招待券)など、全国展開しているような企業の株主優待が挙げられますが、「自身が使える」ことと、「自身が使いたい」こととは別物です。
ただただ、「物価高に強いから」と、たいして興味のない(でも、使えそうな)優待銘柄に投資をして、その株主優待を手に入れても意味がありません。ましてや、「せっかく手に入れたのだから」と、ムリヤリ消化するべく、時間や労力を無駄にしては、むしろ大きなマイナスです。
と言いながら、私自身、かつて東京テアトルに投資をして、年間8枚もの映画ご招待券を手にして喜んでおりましたが、たいして映画好きでもない(むしろ苦手な)私はすぐに持て余しました。そして、その優待をムリヤリ消化しようと、一時期、かなりの頻度で映画館に足を運び、恥ずかしながら、身も心も大きく疲弊した記憶があります。
物価高に強い株主優待(金額ベースではなく、商品そのもの)は数少ないだけに、「せっかく見つけたのだから」と、自身の興味関心を考えず買ってしまう可能性は高いだけに、気を付けたいところです(私自身も、以後、気を付けています)。
■物価高に強い、外食優待は?
ちなみに、外食企業の株主優待は、そのほとんどが「○○円分の食事券」などと金額ベース(物価高に弱い)なのですが、そんな中でも探せば、金額ベースではない、商品そのものの優待(物価高に強い)もあります。
たとえば、日本マクドナルドホールディングス(以下、マクドナルド)の株主優待は、お好きな(一部除く)バーガー類・サイドメニュー・ドリンクの引換券6枚セットが年2回もらえます。高額なメニューを選ぶほどお得度は増すことから、メニュー価格が年々値上がりする中で、この優待の価値は上昇しています。
そして、松屋フーズホールディングス(以下、松屋)の株主優待は、全メニュー(一部除く)の中から1品どれでも選べるお食事券が年間10枚(継続保有3年以上で12枚)もらえます。こちらも、メニュー価格の上昇にしっかり対応できる優待ですね。
マクドナルド、松屋のいずれも全国展開している人気チェーン店で、非常に使い勝手の良い優待と言えるでしょう。私自身も、普段からマクドナルド、松屋はよく利用しており、これはムリなく使える、というか、ぜひとも欲しい優待です。
ただ、マクドナルドの株価は約8200円(100株で約82万円)、松屋の株価は約5200円(100株で約52万円)と、いずれもかなり高額な水準にあります。そして、いずれもPERやPBRといった指標面からも決して割安とは言い難い水準で、配当利回りはいずれも1%未満と、少々魅力に欠けます。
そんなことから、いずれも、現在の株価は(私の判断では)納得できる水準ではないことから、残念ながら、購入には至っておりません。
■割引優待でも、物価高に対応できる
つまり、金額ベースではなく商品そのものである株主優待は「物価高に強い」ものの、そもそも、そのようなタイプの株主優待は数が少ない上に、「多くの人が使える(使いやすい)」「諸々の指標面で、納得できる株価水準である」といった条件を付けると、かなり限られてくるのが現状と言えるでしょう。
しかし、少し視点を変えると、「物価高に対抗できる」株主優待は、他にもたくさんあるのです。
それは、「買物○○%割引」や「お食事○○%OFF」といった、割引優待です。
たとえば、1万円の商品が1万5000円に値上がりした場合、「買物20%割引」優待なら、その割引金額は2000円から3000円となり、優待によって得する金額はアップすることになります。ですので、この割引優待も、「物価高対応型」の株主優待と言えるでしょう。
■割引優待の、落とし穴
ただし、割引優待を利用するには、必ず「持ち出し(自らの資金の支払い)」が発生します。
ですので、「せっかく割引があるのだから」と、普段なら買わないような商品やサービスをポンポンと買っていては、それはムダな出費となる可能性が高いです。ましてや、「値上がりしたけど、割引額が増えて、むしろお得だ」との発想に囚われてしまうと、買物への絶好の言い訳ができてしまい、浪費体質まっしぐら、これは危険です。
そこで、割引優待で心がけたいのは、「割引優待を手に入れたから、その商品やサービスを買う」ではなく、「普段からよく利用している商品やサービスだから、その割引優待を手に入れる(その優待銘柄を買う)」ことです。
と言いながら、私自身、かつてアゴーラホスピタリティグループ(ホテルなどの割引優待)に投資をして、「この優待割引を使えば、かなりお得になるぞ」と、出張時に、お高めのホテルに泊まったことが何度かあります。ただ、普段の使い慣れたビジネスホテルに比べ、場所は遠く、また、使い勝手は分からず、かなり疲れました。また、割引優待を使っても、(そもそも、元の値段が高いだけに)かなりの金額となり、ムダな出費だったと後悔した記憶があります。
そんな反省を活かし、現在、高島屋(買物10%割引)や愛眼(メガネ30%割引)、ゼビオHD(買物10%・20%割引)などの割引優待銘柄を保有していますが、そのいずれも、普段からよく利用する店舗であることをしっかり見極めてから購入しました。
割引優待は多くの企業が実施しており、様々な銘柄の中から選ぶことができるので、自分に合ったもの(普段からよく利用している商品やサービスであること)、そして納得できるもの(諸々の指標面で、納得できる株価水準であるもの)を存分に選ぶことができることでしょう。
----------
藤原 久敏(ふじわら・ひさとし)
ファイナンシャルプランナー
1977年大阪府大阪狭山市生まれ。大阪市立大学文学部哲学科卒業後、尼崎信用金庫を経て、2001年に藤原ファイナンシャルプランナー事務所開設。現在は、主に資産運用に関する講演・執筆等を精力的にこなす。また、大阪経済法科大学経済学部非常勤講師としてファイナンシャルプランニング講座を担当する。著書に『株、投資信託、FX、仮想通貨… ファイナンシャルプランナーが20年投資を続けてみたらこうなった』(彩図社)など。
----------
(ファイナンシャルプランナー 藤原 久敏)

![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 昼夜兼用立体 ハーブ&ユーカリの香り 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Q-T7qhTGL._SL500_.jpg)
![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 就寝立体タイプ 無香料 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51pV-1+GeGL._SL500_.jpg)







![NHKラジオ ラジオビジネス英語 2024年 9月号 [雑誌] (NHKテキスト)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Ku32P5LhL._SL500_.jpg)
