食後の血糖値上昇を抑えるには、どんな食べ方をするといいか。医師の池谷敏郎さんは「血糖値スパイク対策の心強いパートナーとして、低糖質・低カロリーで糖の吸収をブロックしてくれる食物繊維を豊富に含む食材がある。
毎日の味噌汁やスープにはもちろん、みじん切りにしてハンバーグやつくねに練り込むと、独特のぷりぷりとした歯ごたえが加わる」という――。
※本稿は、池谷敏郎『血管の専門医が30年間欠かさない すごい習慣』(エクスナレッジ)の一部を再編集したものです。
■血糖値の上昇を抑える主食の色
血管を守るためには、糖質の量を控えることと同時に「血糖値コントロール」を意識することも大切です。血管ダメージを防ぐためには、急激な血糖値の変動「血糖値スパイク」を起こさないことが重要でしたね。
血糖値スパイク予防に必要なのは、ゆる糖質制限に加えて、血糖値を上げないための「賢い選択」が必要です。
つまり、毎日口にする食材を、血糖値を上げにくいものに「置き換える」、あるいは「足す」こと。このちょっとした戦略の違いが、将来の健康と若さに大きな差を生み出します。
ゆる糖質ライフの第一歩は「主食を半分」です。それプラス、「茶色い主食」に置き換えると、さらに血糖値の上昇を抑える効果が高まります。
例えば、真っ白に精製された白米はおいしい反面、消化吸収が非常に早く、食べたそばから血糖値を急上昇させてしまいます。対して、未精製の玄米やもち麦などの雑穀は、その豊富な食物繊維で糖の吸収スピードを緩やかにしてくれます。
■パスタは「全粒粉」、ではパンは何を選ぶか
いきなり全量置き換えは食べにくいかもしれないので、白米に半分~3分の1ほどの雑穀を混ぜて炊くなどして、まずは始めてみるととり入れやすいでしょう。

ご飯だけでなく、パスタやパンについても同様です。
パスタであれば小麦の表皮や胚芽が含まれている「全粒粉パスタ」を選ぶ。パンも真っ白な食パンやロールパンより、ライ麦パンや全粒粉パン、ふすま(ブラン)パンのほうが食物繊維が豊富なので食後の血糖値上昇が緩やかになります。
市販のそばを購入する際は、小麦粉の割合に注目してください。成分表示を見て、「そば粉」が「小麦粉」よりも先に書かれているもの(五割そば以上)、できれば「十割そば」や「二八そば」を選びましょう。
最近は、「豆腐そうめん」や「こんにゃく麺」など、糖質ゼロもしくは低糖質めんをうたう商品が豊富に販売されているので、それらを活用するのもおすすめです。
■「ベジファースト」より推奨の一口目の食材
「ベジファースト」という言葉が、最近ではすっかり一般的になりましたね。私自身も、食事をするときにはひとつかみ分の野菜を最初に食べることが習慣になっています。
私は患者さんたちに「大豆ファースト」もよくおすすめしています。次の上のグラフの通り、大豆を先に食べることで、野菜と同等以上の食後血糖値上昇抑制効果があることがわかっています。
大豆ファーストのメリットは、野菜よりも少量でその効果が得られること。また、満腹感が長時間継続するので、食べ過ぎを予防する効果もある点です。

これは、大豆が食物繊維やタンパク質を多く含んでいること、咀嚼回数が多くなることから、満腹感が得やすくなると考えられているからです。
ちなみに、私は茹で大豆よりも蒸し大豆推しです。なぜなら、その調理過程で水溶性食物繊維が失われてしまう茹で大豆に対して、蒸し大豆はそのまま残るから。
それに加えて、食べ比べるとはっきりわかると思いますが、蒸し大豆のほうが味も香りも濃厚でおいしいのが最大のメリットです。
最近ではスーパーでパック入りのものが販売されていますし、乾燥大豆を一晩水に浸してから40~50分蒸し器で蒸し上げて、自家製蒸し大豆をつくってもよいでしょう。
蒸し大豆を野菜サラダに加えて、「野菜&大豆ファースト」にすれば、血糖値上昇抑制効果は確実になるでしょう。
また、ご飯に混ぜ込むのもおすすめです。血糖値上昇を抑えるのに有効です。大豆は「畑の肉」と呼ばれるほどタンパク質が豊富で、糖質はごくわずか。
ご飯のかさ増しになるだけでなく、噛み応えもアップするため、自然と早食いを防ぎ、満腹感を持続させる効果も期待できます。
■糖の吸収をブロックする常備したい食材
血糖値スパイク対策の心強いパートナーとして、冷蔵庫に常備しておきたいのが「キノコ類」。キノコは低糖質・低カロリーであることはもちろん、糖の吸収をブロックしてくれる食物繊維の塊です。

なかでも、マイタケには血糖値上昇を抑える水溶性食物繊維「β(ベータ)グルカン」が豊富。胃腸の中で水分を吸ってゼリー状になり、一緒に食べた糖質やコレステロールを包み込んで、吸収スピードを劇的に緩やかにしてくれます。
加えて、ダイエットのサポート役としてもキノコはとても頼りになる存在。低糖質かつ超低カロリーでありながら、繊維質でしっかりとした噛み応えがあるため、料理の「かさ増し」に使うことで、物理的に満腹感を高めてくれます。
私は、カレーにはシメジやエノキをたっぷり入れるのが習慣です。毎日の味噌汁やスープにはもちろん、みじん切りにしてハンバーグやつくねに練り込むと、独特のぷりぷりとした歯ごたえが加わります。
実際、キノコは料理をおいしくする影の立役者としてとても優秀。何しろ、キノコに含まれる「グアニル酸」は、昆布やカツオ節と並ぶ三大うまみ成分の一つ。
肉や魚、野菜と一緒に調理することで、うまみの相乗効果が起き、料理の味が劇的に深まります。出汁や塩分を控えめにしても十分に満足できるため、高血圧対策としての減塩もサポートしてくれるでしょう。
■習慣にしたい「大豆ファースト」の効果
ノーマル食は食後15分で血糖値がピークとなり、30分後にはインスリンの作用によって摂取前と同レベルに戻っています(図表4)。しかし、大豆ファーストの方では、食後の血糖値のスパイク状の上昇が抑えられています。
Aさんは食後の血糖値の上昇は正常範囲内ですが、140mg/dl以上に高くなる食後高血糖となる人も少なくありませんので、大豆ファーストはぜひ習慣にしていただきたいと思います。

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池谷 敏郎(いけたに・としろう)

池谷医院院長、医学博士

1962年、東京都生まれ。東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科に入局。97年、医療法人社団池谷医院理事長兼院長に就任。専門は内科、循環器科。現在も臨床現場に立つ。生活習慣病、血管・心臓などの循環器系のエキスパートとしてメディアにも多数出演している。東京医科大学循環器内科客員講師、日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会循環器専門医。

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(池谷医院院長、医学博士 池谷 敏郎)
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