※本稿は、森本真理子『親子ではじめるAI学習法』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■「バカ」にならないためのAI活用法
わたしが子どもたち(当時小5・小2))にAIに依存しないような使い方の注意をした時、彼らにささった言葉は、次の2つです。
①「バカになりたかったら、AIの答えをそのまま写しなさい」
いきなり「バカ」とは何事かと思うかもしれませんが、子どもたちはハッとした様子でした。勉強ができるようになりたくてAIを使っているのに、AIに答えを出してもらってそのまま書き写すだけなら、何も考えずに手を動かすだけ。それは「バカへの近道」。
どんなにAIが優秀でも、AIが出した回答を採用するかどうかを判断するのは人間なんだよ。だから判断、ジャッジするために、人間も学び続ける必要があるんだよ、と言ったら、子どもは「確かに……」と納得していました。
子どもが「じゃあ、バカにならずにAIを使うにはどうしたらいいの?」と聞いてきたので(この質問が出ること自体、自分で考えているということ。賢くなっている! ←はい、親バカです〔笑〕)、「AIの答えに対して『どうして?』や『これはなぜ?』『僕はこう思う……』などと3回会話をするといいよ」と教えました。
小学校の低学年くらいだと質問すること自体が難しいので、親が横からサポートしてあげることも大事ですが、高学年なら自分で考えて自分の言葉で質問できるようになっていきます。
それを繰り返して習慣化することで、「AIに聞くために自分で考える、問いを立てる」ことの重要性が肌感覚でわかってきます。
②「AIを使う人とAIに使われる人、どっちになりたい?」
大人ならどこかで聞いたことがあるかもしれませんし、AIの話題でよく出てくる話ですよね。
わたしはこんなふうに答えました。
「AIに使われる側っていうのは、AIが出してきた答えをその通りにやる人。もちろん社会の中では、状況によってその通りにきっちりやることも必要だからね。ただ、いつも何の疑問も持たずに『AIがこう言ったからこうします』っていう人になりたい? それとも、AIを使いこなして新しい作品や仕事を生み出したり、目標達成の手助けに使って夢を実現したりする人になりたい? どちらになるかはAIへの問いかけ次第なんだよ。AIの答えをそのまま受け取るか、『僕はこう思う』と意見を言ってAIの答えから視野を広げていけるか、それにもよるんだ」
また、「どんなにAIが優秀でも、人間の『こうしたい!』『こうなりたい!』という想いがなかったら、AIは動かないんだ。だから、人間の想いを育てて伝えることもとても大事なんだよ」
■「AIを使う人・使われる人の違い」AI回答
この説明で、低学年の子どもも理解してくれました。もしうまく説明できそうになかったら、「AIを使う人とAIに使われる人、どう違う?」とAIに聞いてみて、親子で回答を見て一緒に考えるといいですよ。AIからはこんな回答が返ってきました。
【AIの回答】
いい問いだね。結論から言うと、「主導権を握っているかどうか」が一番の違い。
■AIを使う人
→AI=道具として扱う人
特徴はこんな感じ:
*目的が先にある(「何を達成したいか」が明確)
*AIの答えをそのまま信じず、判断・編集する
*「どう聞けばいいか」を考える(プロンプト力)
*AIの限界も理解している(間違う前提で使う)
例:
*文章作成→AIで下書き→自分で修正
*勉強→AIに解説させる→自分で理解チェック
*仕事→AIで効率化→最終判断は自分
→主役はあくまで「自分」
■AIに使われる人
→AI=思考の代わりになってしまう人
特徴:
*目的が曖昧(なんとなくAIを使う)
*出てきた答えをそのまま使う
*自分で考えるプロセスを省く
*「楽だから」で依存しやすい
例:
*レポート丸投げ(内容を理解してない)
*SNS投稿を全部AI任せ(自分の言葉がない)
*判断もAI任せ(自分の軸がない)
→主役が「AI」にすり替わる
■一番の違い(シンプルに)
*使う人:AIを自分の能力の拡張機能として使う
*使われる人:AIに代替される
■境界線はここ
この質問を自分にできるかどうか
*「この答え、正しい?」
*「他に選択肢は?」
*「自分はどう思う?」
これがある人は「使う側」、ないと「使われる側」に寄りやすい。
■ちょっと現実的な話
今後はほぼ確実に:
*AIを使う人→能力が増幅される
*AIに使われる人→平均化・置き換えられやすい
だから差は広がる。
回答を読むと、頻出する言葉があることに気づきますか? そう、「自分」です。「自分で修正」「最終判断は自分」「自分の言葉がない」「自分はどう思う?」というように、随所に「自分」が出てきます。
もし子どもが「主導権を握る」の意味がわからなかったら、AIの言葉を用いて「『主役は自分』という意味だよ」と説明してあげましょう。
AIを使う時に「主導権を握る」ことが大事なのは、AIはいつまででも会話を続けようとするからです。
■主導権を握るのはAIではなく人間
ここでは長いのでカットしましたが、たいていAIの回答の最後には、
「よかったらこんなことも調べられますよ」
「こんな視点でも分析できますよ」
「○○について教えてくれたら、もっといい答えを出しますよ」
とあります。
「わたしはもっとあなたの役に立てますよ!」というAIの機能なのですが(こういうサービス精神が旺盛なのです……)、中には役に立ちそうな内容もあります。わたしも「その視点はいいな、聞いてみよう」と思うこともあります。
ですが、提案されるままにずるずるやりとりを続けていくと、AIの後をついていく感じになって振り回されてしまい、気がついた時には、「あれ? 何を聞いていたんだっけ?」と当初の目的を見失っているのです。それは「AIに使われる側」に陥る入口だったりします……。
■「なぜ勉強しなくてはならないのか」AI回答は?
次男(当時小2)とChatGPTを使って調べ物をしていた時、出てきた回答を見て、わたしは次男にこう聞きました。
「この答えが正しいか正しくないか、自分でわかる?」
彼はしばらく考えて、パッと顔を上げてこう言いました。
「そっか、だから勉強が必要なんだ!」
わが子ながら、「すごい‼ 天才‼」と心の中で親バカ全開でした(笑)。AIが必ず正しいことを伝えるわけではないと、日常で実感している子どもたちには、「これ本当かな?」「調べてみよう」という思考や行動が見られるようになってきました。
AIの回答が正しいか正しくないか、受け入れるか受け入れないかをジャッジするのは自分。ジャッジするためには、自分の中に基準を持っていないといけません。その基準を持つためには、勉強して知識を溜めておくことが必要。
それに、AIに質問するためには、質問する側にもある程度の知識がないと何を聞いていいかがわかりません。
次男は自分なりにいろいろ考えて、「だから勉強が必要なんだ!」と、気づいたのだと思います(ここまで明確に言語化しませんでしたが、恐らくこういう思考の流れだったのではと感じています)。
「なぜ勉強しなくてはならないのか」、その答えを自分で得た瞬間でした。それまで親がいくら「勉強しなさい」と言っても納得しなかったのに、このことがあってからは「勉強なんて」と言わなくなりました。
AIを使うためには(=AIに使われないためには)、人間側の勉強が欠かせないのです。ただ、どんなに賢い子でも、一度は「どうして勉強しなくてはならないの?」という疑問は持つでしょう。答えは1つに限らないと思います。
■「勉強が必要な理由は?」AIの回答は
AIはどんな回答をしてくるか。ちょっと聞いてみました。
【AIに投げた質問】
小学5年生です。どうして勉強しなくてはならないんですか?
勉強すると何がいいんですか?
この質問は、ぜひ子ども自身の言葉で言わせてあげてください。その方が、リアルな思いが伝わります。
【AIからの回答】
いい質問だね。とても大事なことを考えているよ。
まず結論から言うと、勉強は「将来のため」だけじゃなくて、
「今の自分を強くするため」でもあるんだ。
■勉強すると何がいいの?
①できることが増えて、世界が広がる
たとえば――
*算数ができる→お金やゲームの仕組みがわかる
*国語ができる→本やマンガがもっと楽しめる
*理科がわかる→身のまわりの「なんで?」が解ける
→「わかる!」が増えると、毎日がちょっと面白くなる
②自分で考える力がつく
勉強って、ただ覚えるだけじゃなくて「どうして?」「どうやるの?」って考えること。
→これができると、
*困ったときに自分で解決できる
*人にだまされにくくなる
*やりたいことを自分で選べる
③将来の選べる道が増える
勉強しておくと、大人になったときに
* 好きな仕事を選びやすくなる
* やりたいことにチャレンジできる
→勉強は「自由に生きるための道具」みたいなもの
④「できた!」という自信がつく
問題が解けたときやテストでうまくいったとき、うれしいよね。
→小さな「できた!」がたまると自分に自信がつく
●でも正直に言うと……
「つまらないな」と思うときもあるよね。それ、すごく普通。
だから大事なのは
→全部を好きになることじゃなくて、ちょっとでも「わかる」を増やすこと
■まとめ勉強は……
*世界を広げるため
*自分で考える力をつけるため
*将来の選択を増やすため
*自信をつけるため
もしよかったら教えてほしいな。
→今、いちばん「つまらない」と感じてる教科はどれ?
そこから、少し楽にするコツも一緒に考えよう
「『将来のため』だけじゃなくて、『今の自分を強くするため』」という回答はいいですね。
「大人になった時のために勉強が必要」「大人になったら困るから」とよく言われますが、子どもはそんな先のことまで考えられません。
「今、勉強したくない」んですから。「今の自分」にフォーカスされると、興味が少しわいてきます。「できることが増える」「考える力がつく」も大人が言いそうなことですが、子どもがイメージしやすい言葉や例をつかって、色々な角度から丁寧に説明してくれると、どこか子どもに響くところがありそうですよね。
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森本 真理子(もりもと・まりこ)
AIコンサルタント・親子AI活用講師
東京生まれ・東京育ち。早稲田大学政治経済学部を卒業後、ネット求人広告会社に入社。その後、税理士試験に合格。出産を機に約10年間、専業主婦として子育てに専念。7年前、夫の転勤で広島へ移住。現在は広島観光大使としても活動している。
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(AIコンサルタント・親子AI活用講師 森本 真理子)

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