東洋医学の思想を、スマートフォンで実践できるセルフケアへ。
画面に表示される図形に指先で触れながら、鼻・目・喉の不快感と向き合う「My Relief(マイリリーフ)」。
最大の特徴は、このサービスを「完全無料」で提供していること。
そもそも、なぜ無料で運営できるのでしょうか。
収益化を目指さずにマイリリーフを提供し続ける理由や、サービスを持続可能に続けていくための“鍵”について、特定非営利活動法人(NPO)ミンイーの代表理事を務める矢作さんに話を伺いました。
マイリリーフを「完全無料」で提供する背景
── マイリリーフはなぜ、ユーザーが"ずっと無料"で利用できるのでしょうか?マイリリーフを無料で提供しているのは、収益を目的としない仕組みの上に成り立っているからです。
運営元であるNPO法人ミンイーの設立背景には、トレンドマイクロ創業者であるスティーブ・チャンの「ビジネスを通じて培った知見やスキル、得られた成果を社会課題の解決に活かし、より良い社会の実現に貢献したい。」という強い想いがあります。
My Reliefはまさに、その想いを形にした社会貢献活動の一つです。
「無料なのは何か裏があるのでは?」と不安に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、マイリリーフは最初から対価をいただく必要のない事業構造として設計されています。
何か隠された理由があるわけではなく、この健全な仕組みそのものが私たちのサービスの原点なのです。
【マイリリーフを見る】
サービス発展のために重要な「透明性」と「プロセスエコノミー」
── マイリリーフを運営していくための「財源」や「運営の仕組み」について具体的に教えてください。
マイリリーフは広告収入やユーザー課金などの収益ポイントが一切ないので、財源については台湾の「ミンイーファンデーション」による基金からの拠出が基盤になっています。この組織はスティーブが台湾で設立した「NPOを支援するための財団」で、マイリリーフをはじめ、さまざまな社会課題に取り組む活動へ継続的に支援を行っています。
その中で、年間の寄付総額があらかじめ定められていますが、日本市場における資金については、基本的に日本独自の枠組みとして運用する体制をとっています。
── サービスを持続可能に続けていくための"鍵"は何ですか?
大前提として、私たちは今後も「ユーザーからの収益化」を目指すことはありません。理由はシンプルで、「不調を感じたとき、誰もがためらわずに使えること」こそがサービスの存在意義になっているからです。
お金の壁を作った瞬間に、いちばん届けたい人に届かなくなってしまう。無料であることは、私たちにとって戦略ではなく前提なんですね。
その上で、このサービスを持続可能にしていくための鍵は2つあると考えています。一つは、現状や課題も含めて正しく伝える「透明性」。もう一つは、ユーザーの皆様にサービスづくりの一員として参加していただくことです。
現在、私たちが大きな課題として認識しているのが、サービス自体の科学的なエビデンスがまだ十分ではないという点です。「本当に効果があるのか」という問いに対しては、エビデンスの解明に向けて、私たち自身も強く向き合いたいと考えています。今後、より多くの利用データが集まれば、本格的な研究フェーズへと進み、新たな展開が見えてくるはずです。
ユーザーからの疑問に向き合い、一緒にサービスの理解と検証を深めていく。
その過程そのものを分かち合う「プロセスエコノミー」を大切にしたいのです。そのためにも、現在分かっていること、まだ検証段階であることをオープンにし、透明性を高めていくことが大事になるでしょう。
また、無料で提供するサービスだからこそ、私たちは「誇張しないこと」を徹底しています。
2年以内に100万人のユーザーを目指す
── マイリリーフの普及がどのような社会的貢献につながるとお考えでしょうか。
ミンイーファンデーションでは、「誰もが自分のポテンシャルを最大限に発揮できる社会をつくること」をフィロソフィーとして掲げています。
その中で、マイリリーフがどのような役割を果たしているのかというと、春のムズムズや年間を通じた鼻・目・喉の不快感は、知らず知らずのうちに仕事や勉強の集中力を削ぎ、本来のパフォーマンスを阻害する大きな要因となっています。
しかも多くの方は、忙しさの中で自分のメンテナンスがどうしても後回しになってしまい、なかなか不快感から解放されない“悪循環”に陥っているのです。
マイリリーフは、スマートフォンの画面に表示された図形に、指先で触れるだけというシンプルなアプローチです。特別な道具も費用も一切かからないため、不調を感じたその瞬間に、いつでも手軽に取り組むことができます。そういうセルフケアの選択肢が誰にでも開かれている社会をつくりたいんです。
── その実現に向けて、現在どのような取り組みを進めているのでしょうか。
現在、累計登録者は約20万人ですが、「2年以内に100万人のユーザーを目指す」という大きな目標に向かって、サービスの使いやすさや、日々のセルフケアを続けやすくする工夫の向上に取り組んでいます。
そのために欠かせないのが、サービスを心から支持してくださるユーザーの存在です。実際にお話を伺うと、マイリリーフを気に入ってくださっている方々の熱量の高さを強く感じます。
今後は、こうしたユーザーの皆さまと直接交流できる機会を増やし、ご意見やアイデアを取り入れながら、一緒にサービスを育てていけるコミュニティをつくりたいと考えています。
コミュニティを設計するうえでは、年齢や性別だけで分類するのではなく、生活スタイルや価値観、サービスを利用する目的や使い方など、一人ひとりの特徴を捉えることを重視しています。同じような価値観や生活スタイルを持つ方々がつながることで、それぞれに合った活用方法を共有したり、新しいアイデアが生まれたりするからです。
将来的には、地域ごとの特性も踏まえながら、それぞれのコミュニティが自発的に学び合い、支え合える仕組みへと発展させていきたいと思っています。
同時に、ユーザーのリアルな声をサービス改善に生かす取り組みも続けています。
マイリリーフは、どのようなときに使われ、なぜ使われなくなるのか。すぐに変化を感じられないときでも、使い続けようと思える理由は何なのか。こうした声を一つひとつ拾い上げるため、私たちは毎年、ユーザーインタビューを実施しています。
インタビューを通じて見えてきたのは、特に春先をはじめとする季節の変わり目に、「できるだけ自然な方法で自分をケアしたい」「日常生活に無理なく取り入れられる方法を選びたい」というニーズが強いことです。
ユーザーの皆さまからいただいたフィードバックやリクエストをもとに、改善と検証を繰り返し、サービスをより良いものにしていく。そして、その試行錯誤のプロセスもできる限りオープンにし、ユーザーの皆さまと共有していく。今後は、そうした“共につくる姿勢”をより大切にしていきたいですね。
「完成形ではないからこそ面白い」ユーザーとの共創で見出す科学的エビデンス
── 最後にマイリリーフへ共感しているファンや読者に向けてのメッセージをお願いします。マイリリーフは、まだまだ改善の余地はたくさんありますし、完成形ではありません。でも、だからこそ“伸びしろ”のある面白いサービスだと思っています。
目下の目標は、100万人のユーザー体験データとともに、バイオマーカー研究(※)に到達すること。
※病気の有無や進行度、治療効果などを定量的に評価するための生体指標(バイオマーカー)を見つけ出し、医療や創薬に役立てるための科学的な取り組み
図形に触れることで、なぜ体に変化が起きるのか。これは私たち自身が、科学的な観点から解明したいと心から願っていることなんです。たくさんの方にご利用いただくことで、利用のエビデンスから科学的なエビデンスを一緒に見つけていく。このプロセスエコノミーのサイクルこそが、今のマイリリーフの現在地です。
「変化を感じた」「何も感じなかった」「2~3回目で日常が過ごしやすくなった」といった声のすべてが、次の一歩の材料になります。
もしこの記事を読んで、少しでも「試してみようかな」と思っていただけたら、その一歩がマイリリーフを支える大きな力になります。「いつでも必要なときに手軽にできるセルフケア」を一緒に育てながら、より健やかな社会を作っていけたら嬉しいです。
さらに、マイリリーフは鼻・目・喉の不快感に対するセルフケアサービスとして展開していますが、そこで培っているメソッドや考え方は、実は他の領域にも応用可能なんです。
台湾では先行して、眠りに関する悩みに寄り添うサービスや、気持ちを落ち着かせたり、感情を整えたりするための「エモーション」というサービスを提供しています。
今後は、こうしたさまざまな悩みに寄り添うサービスを、日本でも展開していきたいと考えています。新たなサービス開発に挑戦し続け、お届けできる価値をさらに広げていきたいですね。
【マイリリーフを見る】