千葉県の進学校で野球部に所属する男子高校生のエピソードです。最後の夏の大会直前に肩を壊し、ベンチ入りすら危ぶまれる事態に。
最後の夏の大会を前に悲劇。肩を壊した高校球児の悲痛な叫び
千葉県内の進学校に通う高校3年生の男子生徒。彼は野球部でサードのレギュラーとして活躍し、高校生活の集大成である「最後の夏」の大会に向けて、日々厳しい練習に励んでいました。しかし、大会を目前に控えた大事な時期に、無情にも肩を壊してしまいます。ボールを投げるたびに激しい痛みが走り、このままではベンチ入りすら外されてしまう絶望的な危機に直面しました。さらに彼を苦しめたのは、周囲の反対でした。進学校ということもあり、彼の両親は大学受験を強く意識していました。「もう部活は諦めて、これからは勉強に専念してほしい」と、治療を続けることに対しても難色を示していたのです。しかし、彼にとって野球はこれまでの青春の全てでした。誰にも理解されない孤独と痛みを抱えたまま、彼は私の鍼灸院に駆け込んできました。
大人になっても野球を楽しんでほしい。治療家としての決断と両親の涙
彼の「これで野球が終わってもいい」という悲痛な思いは痛いほど分かりました。しかし、私もかつてスポーツに打ち込んだ経験があり、ケガの辛さを知っています。「今はそう思っても、大人になったら絶対にまた草野球でもやりたくなる時が来る。だから完全に壊してしまうような投げ方はさせられない」と、私は彼を真っ直ぐに見て説得しました。そして、リスクを最小限に抑えるための制限付きの出場を提案しました。私は彼の思いを無駄にしないため、直接監督にも事情を説明して頼み込みました。私がベンチ裏に控えて毎イニングごとに彼の肩の状態をチェックし、テーピングやアイシングでケアをしながらの出場という、異例の決断を下したのです。
迎えた夏の大会。彼は痛みを堪えながらも、グラウンドで躍動しました。結果として、チームは2回戦で惜しくも敗退してしまいましたが、試合を終えた彼の顔には、全てを出し切った清々しい表情が浮かんでおり、少しの悔いもないようでした。そしてスタンドには、あんなに野球を続けることに反対していた両親の姿がありました。懸命に白球を追いかけ、泥だらけになってグラウンドに立つ息子の姿を見た両親は、感動の涙を流していました。一人の球児の情熱が、周囲の大人たちの心を動かした、熱い夏の記憶です。
【体験者:50代・男性、回答時期:2026年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
Qolyコラムニスト:おかもとたかひで
鍼灸師の国家資格を保有し、スポーツにおける故障の治療を中心に活動している。特に高校生の部活動でのケガからプレー復帰までの道のりや、ケガ予防を含めたコンディショニング指導に注力しており、過去にはオリンピック選手の治療に携わった経験も持つ。また、自身も千葉ロッテマリーンズの試合観戦に頻繁に足を運んでおり、球場での熱気や、ファンと選手の間で生まれるリアルなエピソードを交えたコラム執筆も行っている。

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