31日公開予定の映画「開戦前夜」(石井裕也監督)の製作会社が17日、公式サイトを更新。19日に予定していたプレミア上映会の中止理由について発表した。

 太平洋戦争へと突入する数か月前、実在した「総力戦研究所」が「日米戦のシミュレーション」に挑む姿を描く今作だが、作中で登場する所長の遺族がNHKや演出・脚本を担当した石井裕也監督らを相手に「名誉毀損(きそん)」で東京地裁に提訴している。

 公式サイトでは「製作委員会としては司法の場で決着がなされると想定していたところ、7⽉14⽇、本作の試写会会場⼊⼝付近の公道において、上記訴訟の原告ら数名から、拡声器を⽤いて、本作ドラマ版及び映画版を批判する演説やビラ配布等が⾏われました」と報告。「これを受けてプレミア上映会でも同様の事態が⽣じた場合に、お客様や登壇者、映画館その他の関係者に対してご迷惑をおかけする可能性を考慮し、やむなく同上映会を中⽌することにいたしました」とプレミア上映会の中止理由を明言した。

 今作は昨年8月に放送のNHKスペシャル「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」のドラマパートに未公開シーン・追加映像を加えた完全版。劇中で登場する「総力戦研究所」は、「日米戦は日本必敗」というシミュレーション結果を出すものの、これを所長が圧力をかけて捻じ曲げようとする描写があり、これに対して、所長の孫・飯村豊氏が「史実と真逆の卑劣な人物として描かれており、祖父の名誉を傷つけている」とNHKに抗議・修正を求めていた。

 NHKは、ドラマ冒頭に「登場人物はフィクション」とお断りのテロップを入れるなどの対応を行ったが、ドラマ本編の描写は変更されず。遺族は2月にNHKや演出・脚本を担当した石井裕也監督らを相手に「故人(原告の祖父)の名誉毀損(きそん)」で東京地裁に提訴を起こした。

 6月11日には製作委員会が公式Xなどで声明を発表。原告の訴えを「一方的な見解に基づくもので、本製作委員会として断じて受け入れられない。原告を含む、第三者の権利を不当に侵害するものでないと確信している」としている。

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