◆プロボクシング ▽WBA世界バンタム級(53・5キロ以下)王座決定戦12回戦 〇同級1位・増田陸―同級2位・比嘉大吾●(7月20日、東京・両国国技館)

 WBA世界バンタム級王座決定戦は、世界初挑戦の同級1位・増田陸(28)=帝拳=が、同級2位の比嘉大吾(30)=志成=を2-1の判定で下し、12戦目で新王者に輝いた。ジャッジ2人がともに117-111で増田を、1人が115ー113で比嘉を支持した。

 勝ち名乗りを受けた増田は「世界チャンピオンになりました」とリング上で報告。「目標を達成してとてもうれしいんですが、今日の試合で改めてボクシングの厳しさを教わりました。またすぐに練習を再開して上を目指して頑張りたいと思います」とすぐに前を見据えた。

 前に出てくる比嘉の攻撃をしのぎ、終盤から攻勢に出た。「とにかく前に出て、手を出そうという気持ちで行きました」。

 悲願のベルトを腰に巻いた。「まだまだこのベルトに見合うボクシングができていないですね。それが正直な気持ちです。でも絶対にもっと強くなって真のチャンピオンになりたいと思います」と反省が口に出た。

 立大出身初の世界王者となった。ボクシング部は国内の大学で最古の1923年創部だが、入学当初は関東大学リーグ3部と低迷していた。増田はチームの2部昇格に貢献し、4年時には主将も務めた。

「しっかりと結果を出して盛り上げていきたい」と母校への思いも背負ってリングに上がった。

 一撃必殺の左ストレートを武器とし、ジムの先輩で元WBC世界バンタム級王者・山中慎介氏の「神の左」の継承者とされる。山中氏も指導した大和心トレーナー(51)は「山中は体重を乗せて1点に力が集中するアイスピックのような左。増田は、どの角度から当てても力が加わる日本刀で斬るような左」と「シン・神の左」のパンチの質を評した。

 比嘉戦に向け、大和トレーナーは「比嘉選手が角度を変えて打ってきても、サウスポーの陸は右構えに対して幅(距離)が作れる。そこがポイント」と分析していた。前の手(右手)を多彩に使い、「パンチをもらわずに当てる」意識も強化。インファイトでの乱打戦も想定し「いろいろな展開を奥深く考えている。A、B、C(プラン)だけじゃ通用しない。(大和トレーナーの)一言一言で作戦を変えていく」と万全の対策を整えていた。

 所属する帝拳ジムは今年、創立100年の節目を迎えた。昨年1月1日、70年以上にわたり同ジムをマネジャーとして支えた長野ハルさんが、99歳で死去した。

「それは本当に自分の中で大きい。今は亡きマネジャーにベルトを掲げた姿をお見せしたいと思っていた」と話していた。天国で見守る恩人にささげるベルトとなった。

 WBAバンタム級には、3人の世界王者が並び立つ。6月13日にジェシー“バム”ロドリゲス(26)=米国、帝拳=が同級転向初戦で正規王座を獲得。その後、スーパー王者に認定された。さらに負傷の影響で休養王者となった堤聖也(30)=角海老宝石=も、復帰へ向けて練習を再開している。

 初防衛戦は、堤と団体内統一戦で戦うことが濃厚だ。増田は23年8月、当時の日本王者・堤に挑んだが判定で敗れ、プロキャリア唯一の黒星を喫した。「自分のパンチ力を過信していた」。この敗北からボクシングとの向き合い方を見つめ直し、世界を目指す覚悟を固めた。世界王者となった両者が、再び拳を交える日が近づいている。

 チャンピオンとして次戦への気持ちを聞かれ「もっともっと練習して本当に強くなります」ときっぱり。観衆に「ありがとうございました!」と感謝を捧げた。

 ◆増田 陸(ますだ・りく) 1997年9月23日、広島市生まれ。28歳。広陵高、立大を経て21年2月にB級プロテスト合格。アマチュア戦績は52勝14敗。22年7月にプロデビュー。23年8月、日本バンタム級王者・堤聖也(角海老宝石)に挑戦するも判定負け。24年7月、日本同級王座獲得(2度防衛)。26年3月、WBA同級挑戦者決定戦で元世界5階級制覇王者ノニト・ドネア(フィリピン)を8回TKOで下し王座挑戦権を獲得。身長169センチの左ボクサーファイター。

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