立ち姿の美しさで二枚目を得意としつつ、敵役など個性的な役でも味わいを見せる大谷桂三(76)。演じるだけではない。
児童文学や童話を“歌舞伎朗読”し、子どもたちに歌舞伎を身近に感じてもらうための「プチカブキ」を創案。次回が30日(東京・歌舞伎座タワー5階の歌舞伎座ホール)で第14回を数える。
芥川龍之介「杜子春」が予定されている。
そもそものきっかけは息子(大谷龍生、19)が幼いときにやっていた絵本などの読み聞かせにさかのぼる。「結婚したのが56歳で、子どもが生まれたのが57歳でした。読み聞かせが、歌舞伎のセリフのように自然と本格的な表現になってしまう。『走れメロス』だと“飛び六方”が使えるな、と盛り込んでみたり」。おもしろいお父さんだ。それを見た知人が「もったいない。外でもやってみては」となり「プチカブキ」が誕生。創作歌舞伎的な要素も多く含まれている。
2024年スタート。
これまで「泣いた赤おに」「三ねんねたろう」「道成寺」、インドの「ラーマーヤナ」などを上演。「親子で度々来てくださる方もいます。誰に言われるでもなく、踊り始めたりする子もいます」。一方的な観劇でなく、一緒に楽しめる参加型。歌舞伎で使われる太鼓や刀など本物の小道具に触れられる機会もある。子どもたちは目を輝かせ、興味津々だ。「自由にその世界で気持ちを解放し、歌舞伎を好きになってもらえれば。私のほうも学ぶことは多いので、出来る限り続けていきたいと思っています」(内野 小百美)
◆大谷 桂三(おおたに・けいぞう)1950年6月11日、東京都生まれ。76歳。新派の名脇役だった春本泰男の三男。56年初舞台。2代目尾上松緑の部屋子となり59年尾上松也を名のる。
64年14代目守田勘弥の芸養子となり4代目坂東志うかを襲名。73年大谷桂三に改名。長男・大谷龍生。屋号は十字屋。