「講談界のニューヒロイン」と呼ばれる講談師の神田蘭が、NHK歴史教養番組「歴史探偵」(水曜・後10時)にも出演する歴史作家・河合敦氏とタッグを組み、「ドラマチック講談×最新歴史研究で一気にわかる 面白すぎる! 幕末史の授業」(あさ出版)を出版した。蘭が臨場感と迫力ある講談の語り口で幕末の歴史に迫り、河合氏が最新研究をもとに史実を解説。

異色の歴史本が誕生した。

 講談調でつづられた幕末の歴史や桜田門外の変、西郷隆盛…。読んでみるとリズムが心地いい。「パパン!」「パンパン」と再現された張り扇の音。まるで目の前で蘭の講談を聞いている錯覚を起こすほどだ。講談と文章化がここまで相性がいいとは。河合氏も「講談って、文字で読んでも頭の中にスッと入ってくる」と同書で記すほどだ。

 蘭は「私は講談調じゃないと書けないので。私の講談を聞いた方は、私の声が聞こえてくるって言ってました」と笑って振り返った。続けて「人物伝ではなく、幕末史を講談として書くことは挑戦でした。時代として描くと漠然としてますからね。ただ、流れで書く方が歴史ビギナーさんでも伝わる。

河合先生の解説も分かりやすくて良かったですよね」と話した。

 出版社から声をかけられ、講談師×歴史作家の異色のタッグが実現した。事実関係を調べるため、資料を読み込み、制作期間は2年半に及んだ。

 書き方も蘭流を貫いた。文章を紙に下書きし、それを蘭が読み上げ、その音声を編集者に送ってアプリを用いて文字起こし。起こされた言葉で違和感がある場所をさらに訂正する独特な方法をとったからこそ、講談の臨場感が書籍にそのまま宿った。

 特に気をつけた点は、幕末の感覚に寄り添うこと。「私は現代に生きている。その感覚を持って書くと真意が変わってしまう。難しいことではありますが、読む人も現代の感覚をいったんおいてほしい」と語った。

 来年放送されるNHK大河ドラマ「逆賊の幕臣」(松坂桃李主演)で描かれる小栗上野介忠順も登場するため、「大河の予習にも」とアピールする。数年前に群馬にある小栗の菩提寺にプライベートで訪問したことがある蘭。

「よく歴史上の人物のゆかりの場所には行きますよ。温泉行くついでに、とか。仕事とかではないです。歴史は好きですね。人間ドラマがあるから」。根っからの歴史好きだからこそ、熱量のある一冊に仕上がった。

 発売後から話題を呼び、蘭がトリを務めた日の池袋演芸場では同書が完売するほどだ。同書に登場するエピソードの講談化も検討中。「リチャード・ハリスとの日米修好通商条約締結へのやり取り、無血開城の裏にあった篤姫と和宮の働きかけもやりたいですよね」と力込めた。

 ◆神田 蘭(かんだ・らん)埼玉県生まれ。女優、ナレーターとして活動後、2004年1月に神田紅に入門し、08年6月に二ツ目、18年5月に真打ち昇進。古典ネタに加え、創作も得意とし“婚活3部作”が話題に。

レギュラーにJFN「恋する日本史」、産経ポッドキャスト「神田蘭の5分で恋する日本史列伝」など。特技は日本舞踊(吾妻流)、ピラティス。8月29日にアートスペース兜座、11月28日に東京・深川江戸資料館で独演会を行う。

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