1日付で日本将棋連盟所属の女流棋士となった小野花依(はなえ)女流2級(23)は異色の経歴の持ち主だ。中学卒業後にエンジニアとして働いた経験があり、現在はVTuberとしても活動する。

スポーツ報知の取材に、女流棋士になった思いと今後の抱負を語った。(中西 珠友)

 8月9日の研修会で小野は女流棋士になる条件を達成し、晴れてデビューが決まった。喜びもひとしおだが「楽しみより、不安が9割くらい。あまり自信がなくて、ちょっとでもマシな将棋を指したいな」と率直な心境を明かす。

 というのも、小野には約7年のブランクがある。将棋好きな父の影響で、3歳上の姉に続いて5~6歳の頃に、習い事として将棋を始めた。小学6年の2015年に第9回小学生女子名人戦で優勝し、大会でも結果を残したが「周囲からの期待もあり、勝ち負けを強く意識する環境だったこともあって、将棋を楽しめなくなってしまった。厳しい習い事という感覚」。

 中学進学と同時に将棋教室に通うことをやめた。盤駒に触れる機会はほとんどなく、「普通」の中学校生活を送った。勉強も苦労せず友人もいたが、高校進学よりも知人から紹介されたエンジニアの仕事に惹(ひ)かれたという。

 会社に入ると、16歳でオンラインかんたん買取サービス「オクリマ」を開発するなど、天性の才能を発揮した。

ただ、その後は会社を辞め、高卒認定試験を受験し、美容系専門学校に進学。波乱万丈ながら、将棋とは離れた生活を送っていた。

 ただ、在学中の23年、ふとしたきっかけで将棋の世界に戻ることになる。「(将棋は)嫌でやめたので、やるつもりは本当になかったけど、姉に誘われて将棋バーに渋々行ったら、自分が小学生の頃とは(環境が)全然違って、プレッシャーが全くなくて」。将棋を心から楽しむ人たちに囲まれ「仲間とワイワイ楽しむのがすごい楽しかった。『自由な将棋』が新しい感覚で、夢中になった」とのめり込んだ。自然と将棋の勉強も再開した。

 専門学校卒業後、再び社会人になったが「やっぱり将棋が好きだったのかなと。飽き性だけど、将棋は飽きない。夢中になってる」。会社を辞めて25年12月に関東研修会へ入会。自身のYouTubeチャンネル「なえの将棋ライブ配信」で配信も行い棋力を培って、1年足らずで「プロ」の資格を得た。

 今後については「目指しているものは特になくて、ただただ将棋が強くなりたいなという思い。タイトルを取りたいとか、誰に勝ちたいとかはない。とにかく棋力を上げていきたい」。まずは目の前の対局に全力投球する。

◆小野 花依(おの・はなえ)2003年5月16日、埼玉・和光市出身。23歳。24年、シモキタ女流名人戦で優勝。師匠は中村太地八段。趣味はボードゲーム。好きな棋士は渡辺明九段。11日に東京・新宿区の将棋カフェCOBINで女流棋士デビュー記念イベントを行う。

竹中歩美女流2級もデビュー

 〇…1日付では小野と共に、竹中歩美女流2級(24)も晴れて女流棋士となった。

2001年生まれの竹中は東洋大情報連携学部在学中で、同大将棋研究会にも所属。23日には東京・新宿区の「ねこまど将棋教室」で指導対局会を行うが、Xで「緊張しますが、精一杯頑張ります」とつづっている。

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