現実を突きつけられた アジアは後れを取っている

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優勝したスペインが唯一勝てなかったのが初出場カーボベルデ。アフリカ勢の躍進は目覚ましかった

長かった北中米W杯はスペインの優勝に終わりました。アメリカらしくお祭り、ショー、エンターテインメントを感じる大会でした。

まずは単純に楽しませていただきました。いまは終わっちゃったなぁという感覚でいます。

それぞれの国のカラーが見えましたが、とくに中堅国が大会を盛り上げてくれました。カーボベルデ、スイス、ノルウェー、コロンビア……。これらの国が印象に残りました。私はやはりSBが気になるのですが、コロンビアのホアン・モヒカ、ダニエル・ムニョスの両SBはどちらも攻撃的で、もっと見たかったですね。ムニョスはクリスタル・パレスで鎌田大地とプレイしているので、馴染みのある方も多かったと思います。

ビッグネームたちによる得点王争いは華があったし、経験ある選手たちも華を添えてくれました。リオネル・メッシを筆頭に、クリスティアーノ・ロナウドハメス・ロドリゲスルカ・モドリッチ、さらには個人的にハカン・チャルハノールなど……。こうした選手たちの偉大さを感じられて楽しかったです。若い選手ではモロッコのジャシム・ヤシン(20歳)、ウズベキス

タンのアボスベク・ファイズラエフ(22歳)が活躍したことがうれしかったです。両者ともにアンダー代表だった若いころから見ている選手で、力があるなと感じていました。
ヤシンは年齢を感じさせない落ち着いたプレイでハイチ戦で1得点、ファイズラエフは積極的にゴールを目指し、グループリーグ3戦目のコロンビア戦で1得点してみせました。

いまにはじまったことではありませんが、アフリカ勢の躍進も光っていましたね。カーボベルデ、エジプトはアルゼンチンと互角に戦い、DRコンゴも含めて実に9カ国がラウンド32に進出しました。モロッコやセネガルに関しては言わずもがなで、この結果に私はかなりの危機感を抱いています。

なぜなら、出場枠が増えたなか、アジア勢は日本、オーストラリアの2カ国だけしかグループリーグを突破できませんでした。前回カタール大会を下回る数字で、アジアはちょっと後れを取っているなと現実を突きつけられました。やはり世界はすごい。優勝を目指すとかベスト16の壁を越えるとか言ってるどころではない。危機感を持って取り組んでいかないと、より後れを取ることになると痛感しています。

そうしたなか、中堅国や初出場国の躍進もあり、FIFA(国際サッカー連盟)は次のW杯の出場国を64に増やそうとしています。私はさすがにこれには反対です。48カ国でも多いと感じたのに、これ以上増やすとW杯の価値、重要性が低下してしまいます。
結局はお金が関わってくるのだと思いますが、FIFAが自らW杯のブランドを軽視するのはどうなのでしょうか。北中米W杯もそうでしたが、出場国が増えれば選手に負担がかかります。

前後半の途中に設けられるハイドレーションブレイクもいらないと思います。これもCMを挟むことで放映権を持つ企業が儲かるということなのでしょうが、視聴者にはストレスしかありません。従来の飲水タイム程度の時間を取れば十分だと思います。

森保一監督は捨てゴマ? 監督人事に危機感あり

[名良橋晃]話題満載の北中米W杯は育成年代の差が出た大会 日本代表には危機感あり

ブラジル戦の敗戦が、どこか“フワッと”終わってしまいそうな危機感がある photo/Getty Images

日本代表は残念ながらラウンド32で敗退しました。それでも、間違いなくレベルアップしています。ブラジルを相手にひょっとしたらという戦いをみせ、セレソンに選手交代、戦術変更を強いるところまでいきました。着実に距離は縮まっていると思います。ただ、追いつき、追い越すために埋めなければならない距離は短いかもしれませんが、どう埋めるかとなると難しく、前述したとおり危機感を抱いています。

実際に戦ってその差を肌で感じた選手たちこそが、すごく危機感を感じていると思います。久保建英は「4年後も同じメンバーなんじゃないですかね」と言葉を残しました。

その裏には、新しい選手に出てきてほしいという気持ちがあるのではないでしょうか。私はこうした危機感をJFA(日本サッカー協会)の上の方々にも持ってほしいと考えています。

日本は4試合を戦い、1勝しかできませんでした。なにが良くなかったのか、どこが良くなかったのか検証することなく日々が過ぎ、どこかフワッと終了し、グレーのまま次に進もうとしています。W杯が終わったことで、よりそうした雰囲気を感じます。

森保一監督の半年間の続投が決まりましたが、個人的に消化不良となっています。「本当にW杯で優勝したいの?」と思います。JFAの上の方々は、危機感を持って監督選びをやっているのでしょうか。言葉を選ばなければ、森保監督は捨てゴマかと感じてしまっています。いまは誰もいないから、一時的につなぎで……ということなのでしょうか。

森保監督は勝つためのチーム作りをしてくれました。良い雰囲気のなかで戦う良いチームだったと思います。
それでも勝てませんでした。三笘薫、南野拓実、久保建英がいたらというタラ・レバはありますが、ブラジル戦の後半をみると細部のクオリティが大事だと痛感させられました。

いい守備からのいい攻撃。これが日本のコンセプトでしたが、いい守備はできていたとして、いい攻撃ができていたかはクエスチョンが浮かびます。いや、守備においても跳ね返す力、守り抜く力が
もっと必要だったのは明白です。

優勝したスペインを真似しろとはいいませんが、育成年代からボールを握るサッカー、状況に応じて立ち位置を的確に取るサッカーを浸透させないといけないと感じています。そこを疎かにすると、目をつぶってしまうとトップになって差が出てきます。

サッカーに正解がないのと一緒で、今後いろいろなことにチャレンジして日本サッカーを確立してもらいたいです。時間はかかると思います。スペインに限らず世界の強国は、幼少期から自国のスタイルをみて育ち、受け継がれています。日本の良さは結束力、組織力といったところにあり、そこを残しながら「個」をいかに高められるか。

日本は選択肢が多く、ポテンシャルの高い選手がサッカーを選んでくれるとは限りませんが、クリーンに戦うのは当たり前で、なおかつうまくて、強くて、勝てる人。
それこそ大谷翔平さんのような選手を育成年代から育てていかないと、勝ち上がれない。北中米W杯は育成年代の差が出た大会だったという印象を持っています。

A代表にクオリティの高い選手を輩出するためには、底辺の強化が大事です。スペインはもちろん、勝ち上がった国々は逆算した強化ができていると感じました。目の前の勝負も大事ですが、焦らずに育成していく。日本サッカー界全体が一枚岩になって取り組まないと、レベルアップは望めないです。そのために、なによりも指導者のレベルアップが不可欠だと感じた大会でした。

構成/飯塚 健司

※電子マガジンtheWORLD322号、7月22日配信の記事より転載

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