まさかあのフランスが…… スペインがパスとプレスで完封

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ムバッペらフランス自慢の攻撃陣はほぼ封じ込められることに photo/Getty Images

ベスト4に進出したのはフランス代表、スペイン代表、イングランド代表、そして前回王者アルゼンチン代表。今大会は参加チーム数が増え、初出場国の健闘にも注目が集まったが、結局残ったのは押しも押されもせぬ“優勝候補”たちだった。

なかでも、大会最強の呼び声が高かったのはフランスだ。

ここまで16得点2失点。キリアン・ムバッペ、ウスマン・デンベレらを擁する前線の破壊力が凄まじく、大会全勝でここまで勝ち上がった。対するは、大会わずか1失点の堅守と、お家芸のパスワークが光るスペイン。この大会屈指の好カードには、事実上の決勝戦という声も上がっていた。

ゲームが始まると、支配したのはスペインの方。最高クラスの中盤を誇るだけに、ボールを握るのはスペインの方だという展開は十分に考えられたが、スペインはボールというよりも試合のペースをまるっと握ってしまった。

互いに様子見となった立ち上がりを終えても、スペインは決して急がない。きれいな三角形をいくつも作りながらフランスのプレスを回避し、ボールを失っても連動したハイプレスがフランスのペースにすることを許さなかった。特に中盤のロドリ、ファビアン・ルイスはフランスの縦パスのコースに幾度となく立ち塞がり、自慢のアタッカーたちもボールに触ることができない。フランスは今大会初めて、受けに回る試合を強いられた。

スペインは着実にボールを回しながらも、チャンスと見るや前線に素早くボールを出して決定機を作った。すると20分、マルク・ククレジャが大きくサイドチェンジしたボールをボックス内で拾おうとしたリュカ・ディーニュが、後ろから突進してきたラミン・ヤマルを蹴るような形でファウルを犯してしまう。

[北中米W杯・総集編05]準決勝は明暗くっきり 最強フランス、スペインに屈す! アルゼンチンは7分間の大逆転劇

PKによる先制点を挙げるオヤルサバル。冷静に右隅へ蹴り込んだ photo/Getty Images

スペインにPKが与えられ、ミケル・オヤルサバルがこれを落ち着いて決めてスペインに先制点がもたらされた。さらにフランスは、CBのウィリアム・サリバの負傷交代というアクシデントにも見舞われてしまう。

ビハインドの状況となったフランスは後半に入り、自慢のウイングにボールを預ける形で反撃に出るも、GKウナイ・シモンの好守もあり得点にはつながらない。そして58分、スペインは追加点を奪った。ペドロ・ポロの楔のパスをダニ・オルモがワンタッチで落とし、そのまま走り込んだポロがマイク・メニャンとの1対1を制して2-0と突き放すゴールを決める。

ドリブルやパスをことごとくカットされ、焦りが見えはじめるフランス。頼みのムバッペは時折シュートを放つも、「打たされた」という印象でスペインのゴールを脅かすには至らない。ラヤン・チェルキ、テオ・エルナンデスとフランスは交代カードを切って反撃に転じようと試みるものの、スペインの連動した守備はそれを許さなかった。

試合が終わってみれば、スペインはフランスにほぼ「何もさせなかった」と言っていい戦いで完勝。フランスはスペインの技術と組織力、そして練度の高い試合運びの前に牙をもがれた形となった。

イングランド先制も物議醸す交代策で流れ失う

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トゥヘル監督の守備的な采配は大きな批判を集めてしまった photo/Getty Images

もう1つのイングランド×アルゼンチンも、さまざまな因縁が渦巻く好カードとなった。

こちらは激しい立ち上がり。中盤ではエリオット・アンダーソンとエンソ・フェルナンデス、ジュード・ベリンガムとレアンドロ・パレデスが激しいコンタクトを伴うぶつかり合いで一歩も譲らない。前半のハイドレーションブレイクまで決定機は1つもなかったが、ライバル意識むき出しの激しい展開にスタジアムは異様な熱気に包まれた。

息つく間もなく、ファウル覚悟の激しいプレイが繰り広げられるなか、先手をとったのはイングランド。55分、こぼれ球を拾ったデクラン・ライスが右サイドのモーガン・ロジャーズに渡すと、逆サイドへのクロスに飛び込んだのはアンソニー・ゴードン。ダイレクトで合わせてネットを揺らし、待望の先制点を手にする。

しかし、そこからイングランドは急にペースを失い、クロスの嵐を浴びて防戦一方の展開となってしまう。トーマス・トゥヘル監督は72分に先制点のゴードンを下げて、DFのエズリ・コンサを投入、逃げ切りを図るが、この采配は試合後に物議を醸すことになってしまう。5バックとして中を固めるイングランドだが、これは裏目に出た。セカンドボールを拾うことも前線でボールをキープすることもできず、一方的に押し込まれるばかり。アルゼンチンのリオネル・スカローニ監督はDFのニコラス・タグリアフィコを下げてFWラウタロ・マルティネスを投入するなど、攻撃的な交代で圧力を高めた。

イングランドはダン・バーンやニコ・オライリーの投入も状況を改善させるには至らず、ついに守備が85分に決壊する。
リオネル・メッシからのパスを中央遠めの位置で受けたエンソが豪快なミドルシュートを沈め、試合終盤でアルゼンチンが追いつくことに成功する。

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後半アディショナルタイム、ラウタロのヘディングがネットを揺らしアルゼンチンは勝ち越した photo/Getty Images

さらに90+2分、またもメッシのクロスにラウタロが飛び込んで頭で叩き込み、土壇場で逆転に成功。逆転までは、わずか7分の出来事。ラウンド16のエジプト代表戦に続く大逆転劇に、スタンドは大歓声を超えた大絶叫で応えた。もはやイングランドに時間は残されておらず、1-2でアルゼンチンが前回大会に続いて決勝進出を決めた。

1点をリードしながらも、比較的早い時間に守備固めを選択したトゥヘル監督の采配は、イングランド国内で大きな批判にさらされることになった。ウェイン・ルーニー氏は「メッシにボールを持たせれば、トラブルを招くのは当然」、アシュリー・コール氏は「自分たちから殻に閉じこもった」「サッカーを続けようとする勇気が欠けていた」と采配を糾弾。イングランドはその後、3位決定戦でフランスを破って近年最高順位の3位を手にすることになったが、サポーターには不満が残る結果となってしまった。

文/前田 亮

※電子マガジンtheWORLD322号、7月22日配信の記事より転載

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