「WAR」がメジャーリーグファンの共通言語に 大谷翔平3年連...の画像はこちら >>

データ文化が浸透したMLBではベンチでのiPad使用も当たり前になった photo/Getty Images

MLBでは当たり前になった「WAR」の現在地

かつては一部のデータ分析愛好家だけが使う専門用語だった「WAR(Wins Above Replacement)」。しかし今ではMLBのMVP論争や大型契約を語るうえで欠かせない指標となり、一般の野球ファンにも広く浸透している。

米『ESPN』は、「WARはいかにして野球界の共通言語になったのか」を特集している。

WARは、代替可能な平均的選手と比べて何勝分の価値をチームにもたらしたかを数値化する総合指標だ。打撃だけでなく守備や走塁、投手なら失点抑止能力まで含めて評価できるため、「選手の総合力」を比較する基準として広く用いられている。

かつてMLBでは打率、本塁打、打点、勝利数、防御率といった伝統的な数字が評価の中心だった。しかし2000年代以降、セイバーメトリクスの普及とともにWARの存在感は急速に拡大。現在ではMVPやサイ・ヤング賞の議論、さらにはFA市場での契約額を語る際にも欠かせない指標となっている。

その象徴が大谷翔平だ。二刀流として打者と投手の両面で価値を生み出す大谷は、WARでも毎年リーグトップクラスの数字を記録。MVP争いでは本塁打や打率だけでなく、「WARで誰が上回っているか」が大きな論点となるのがMLBでは当たり前になっている。

『ESPN』は、WARがここまで浸透した背景として、野球中継や専門メディアだけでなく、SNSやポッドキャスト、YouTubeなどを通じてデータ分析が一般ファンにも身近になったことを挙げる。いまでは試合後に「今日はWARが伸びた」「今季WARトップ」といった会話が自然に交わされるほど、MLBファンの間では共通言語となっているという。

その一方で、日本ではWARという言葉は以前より知られるようになったものの、MLBほど一般化しているとは言い難い。
NPBでも『DELTA』や『データスタジアム』、『NPB Basement』などが独自のWARを算出しているが、テレビ中継やニュースで頻繁に取り上げられる機会はまだ多くない。ファンの間でも打率や本塁打、防御率といった伝統的な指標が評価の中心となる場面が依然として多い。

とはいえ、日本でも近年はデータ分析への関心が高まり、WARをはじめとするセイバーメトリクスは着実に浸透しつつある。従来の成績だけでは見えなかった選手の価値を可視化する指標として、SNSや動画配信を通じて目にする機会も増えた。

MLBで起きた「WARの一般化」は、野球の見方そのものを変えた出来事の一つだ。『ESPN』は、かつては専門家だけが使っていた指標が、いまや野球ファン誰もが理解する"共通言語"へと成長した過程を振り返っており、その流れは今後のNPBのデータ文化にも少なからず影響を与えていくことになりそうだ。

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