先週の日経平均は連騰記録を7日営業日に伸ばし、7万円の大台も突破、7万1,250円まで上値を伸ばしました。オプション市場でもさらなる上値を期待するコール買いが目立ち、先高観も感じられますが、週末にはイランによるホルムズ海峡再封鎖の報道が入り、今週の市場は緊張が高まる中で迎えることになります。


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7万円突破の日経平均、限界はどこ?業績の上振れと金利動向がカギ
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買い意欲が目立った先週の日経平均

 先週末6月19日(金)の日経平均株価は7万1,250円で取引を終え、前週末の終値(6万6,020円)比で5,230円高の大幅上昇となりました。


<図1>日経平均の5分足チャート(2026年6月15日~6月19日)
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出所:MARKETSPEEDII

 図1は先週1週間の日経平均の値動きを5分足チャートにまとめたものです。


 あらためて先週の日経平均の推移を振り返ると、階段状に株価水準を切り上げていったことが確認できます。前日終値からマイナスに沈む場面があっても、すぐさま買い戻される展開が多く、前週11日(木)からの連騰記録を7日間に伸ばして週末を迎えるなど、買い意欲の強さが目立つ印象となっています。


相場の先高観は維持されるか?

 実際に、日経平均の先高観の強さは、日経225オプション取引(7月限)のコールの買い玉の状況からも感じ取れます。


<図2>日経225オプション(7月限)コール買い建玉残高の状況(2026年6月20日夜間取引終了時)
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出所:Bloombergデータを基に作成

 図2は、20日(土)の朝に夜間取引を終えた、日経225オプション取引(7月限)のコールの買い建玉の状況です。


 前週末13日(土)の状況と比べても、現在の株価よりも高い権利行使価格の建玉が増加しており、相場の先高観がうかがえます。特に建玉が増えているのは、7万2,250円、7万5,000円、8万円です。


 5月25日公開のレポートでも指摘したように、現在の株価よりも高い権利行使価格のコール買い建玉が増えているということは、その分だけ「売り方」も増えていることを意味します。


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2026年5月25日: 日経平均、最高値更新。ソフトバンクG急騰の背景と、メジャーSQに向けた「上値追い」の可能性


 今後の株価が上昇するほど、コールの売り方は損失が発生するため、コール買い建玉の保有者が権利を行使した時に備えて、あらかじめ日経225先物を買っておくという行動に出ます。こうした動きはオプション取引の満期(SQ)が近づくにつれて、加速度的に強まる傾向があり、「ヘッジ買い」が増長する可能性があります。


 つまり、「株価上昇 → ヘッジ買い → さらに上昇 → さらにヘッジ買い」といった連鎖が働くことで、株価がスルスルと上昇していく展開が起こりやすくなります(これをガンマ・スクイーズと呼びます)。


 そのため、相場の地合いに大きな変化がなければ、日経平均が一気に7万5,000円台や7万8,000円台、そして8万円を目指していくことも考えられます。

ただ、目先については、上値が重たくなる、もしくは売りが優勢となる展開の方に注意を向けた方が良いかもしれません。


見えてきた日経平均の上値メド

 現在までの日経平均は、「中東情勢の不安後退」と「AI・半導体相場の継続」の両輪によって、3月末の5万1,000円台から、わずか2カ月半のあいだに約2万円も上昇してきました。


 意地悪な見方をすれば、「ほぼ同じ材料によって2カ月以上も株価が上昇してきた」ため、さすがにこのままの勢いで上値を追い続けるのは難しく、そろそろ息切れしてもおかしくはないです。さらに、週末20日(土)に飛び込んできた、「イランが再びホルムズ海峡を封鎖」という報道も、週初22日(月)の取引に影響を与えそうです。


 今週の株式市場は、「まずは、中東情勢に対する楽観的な見方が維持されるのか?」を見極めていくことになりそうですが、それ以外にも、日経平均の上昇がそろそろピークを迎えそうな兆候もいくつか出始めています。


 ひとつめの兆候は、テクニカル分析における「目標値」計算です。


<図3>日経平均(週足)と目標値計算(2026年6月19日時点)
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出所:MARKETSPEEDII

 図3は、週足の日経平均における上値の目標値計算です。過去にトレンドを作った際の「上昇幅」や「下落幅」、「下値の切り上げ幅」をベースに今後の株価の目安を探っていく手法です。


 この目標値計算の図は半年前の昨年12月頃のレポートでも紹介しており、当時は「V計算値(5万4,060円)」や「E計算値(5万9,191円)」が、上値の目安として想定されていました。


 ただ、現在の株価は当時の想定をはるかに上回るところまで上昇していて、足元では「E計算値の2倍」の7万5,956円が次の目標値として視野に入っています。


 実は、この目標値(E計算値の2倍)は、アベノミクス相場の最初のピーク時でも出現しており、その後、上値を抑える株価水準として約半年間にわたって調整局面が続きました。


<図4>「アベノミクス相場」時の日経平均(週足)と目標値計算
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出所:MARKETSPEEDII

 したがって、日経平均が今後も上昇したとしても、7万5,000~7万6,000円あたりで達成感が出て、いったん天井をつける動きになるかもしれません。


割高感(許容できるPER)による上値の目安

 そして、もうひとつの兆候は「許容できる株価収益率(PER)」の視点です。


 5月22日公開「3分でわかる!今日の投資戦略」のレポートでも指摘しましたが、金利(債券の利回り)の上昇は株式市場にとってネガティブに働きます。実体経済への影響と同時に、許容できるPERも引き下げる効果があります。


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2026年5月22日: いまさら聞けないPER低下と金利上昇との関係(土信田雅之)


 先週までの日経平均は大きく上昇してきましたが、その一方で日米の金利(10年債利回り)はあまり低下していません。


<図5>日米の10年債利回り(日足)の推移(2026年6月19日時点)
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出所:Bloombergデータを基に作成

 さらに、先週の日米の金融政策イベント(日本銀行の金融政策決定会合と米国の連邦公開市場委員会(FOMC))では、今後の金融政策のスタンスが利上げに向いていることが確認されました。


 そのほか、先ほども述べたように、「イランがホルムズ海峡を再封鎖」という報道もあり、中東情勢の不安がインフレ警戒を高め、金利が上昇する事態になると、許容できるPERが引き下げられた株式市場の割高感が意識される展開には注意が必要です。


<図6>日経平均とPERとEPS(予想ベース)の推移(2026年6月19日時点)
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出所:日経新聞掲載データを基に作成

 図6は、日経平均と予想1株当たり利益(EPS)、予想PERの推移を示していますが、日米の金利上昇が意識され始めた5月半ばのタイミングで、これまで19~20倍で推移していたPERの水準が17倍台まで引き下げられていました。


 それが先週末19日(金)時点で18.64倍まで上昇してきていますが、図5でも見てきたように、日米の金利があまり低下していないことを踏まえると、ここから先の株価上昇は、PER面での割高感が重石になってくることも考えらえます。


 先週末19日(金)時点の日経平均の予想EPSは3,822.43円です。これを基にすると、PER19倍までの上昇で7万2,626円、20倍で7万6,448円となります。そのため、7万2,000円を超えてからの株価上昇は割高感との勝負になるため、上値が急に重たくなる、あるいは利益確定売りが優勢になるかもしれないことは想定しておく必要がありそうです。


 なお、先週末19日(金)時点の日経平均の株価と移動平均線との乖離率を見ると、25日移動平均線でプラス8.40%、75日移動平均線でプラス19.38%、200日移動平均線でプラス32.99%と乖離が進んでいることもあり、今週の株価が下落した際には、これらの移動平均線がサポートとなれるかが注目されそうです。


 また、その場合、バリュー株に資金が向かい、東証株価指数(TOPIX)が堅調に推移できるかもポイントになりそうです。


 もちろん、業績の上振れ期待によるEPSの上昇がPER上昇による割高感を打ち消すことも考えられますが、来月半ば以降に控える決算シーズンまで時間があります。


 もっとも、今週の米国株市場で予定されている半導体メモリ関連のマイクロン・テクノロジー(MU)や、物流大手のフェデックス(FDX)の決算の内容次第では、さらに業績期待を先取りして株価が上昇していくシナリオも考えられ、「業績期待の先取りによる上値追い」と「金利動向による割高感」との綱引きが今週の焦点になりそうです。


(土信田 雅之)

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