東証REIT指数が約1年ぶりの安値を更新しました。金利上昇の逆風下でも、分配金利回り5%台という水準は長期投資の視点では魅力的です。
日銀利上げ決定! REITへの影響は?
6月16日、日銀は政策金利を0.75%から1.0%に引き上げることを決定しました。1995年以来、約31年ぶりの高水準です。原油高に伴うインフレリスクを重視した判断とみられます。
利上げが確実視される中、東証REIT指数は発表前の午前中から軟調な展開となりました。金利上昇はREITにとって借入コスト増加につながるため、短期的には逆風となります。また、「金利がもらえる預金や債券で十分」という投資家心理から、相対的に売られやすくなる面もあります。
ただし、東証REIT指数はすでに約1年ぶりの安値水準にあり、分配金利回りは5%台まで上昇しています。金利上昇局面でも、REITの分配金利回りが長期金利を上回っている限り、利回りを重視する投資家にとっては引き続き魅力的な選択肢と言えるでしょう。
5~6月中旬の東証REIT指数は1年ぶり安値を更新、下落の要因は?分配金利回りは5%台に
5月下旬から6月上旬にかけて、国内の不動産投資信託(J-REIT)市場は軟調な展開となりました。東証REIT指数は5月22日に1,800ポイントを割り込むと、6月2日には一時1,751ポイント台まで下落。およそ1年ぶりの安値水準を更新しました。
背景の一つは、日本の長期金利上昇です。
なぜこの金利が重要なのでしょうか? REITは銀行などからお金を借りて不動産を買っています。金利が上がると、その借入金の利息負担が増え、利益が圧迫されます。だから金利上昇はREITにとって逆風になりやすいのです。
一方、下落によって分配金利回りは上昇しています。6月12日時点でREIT平均分配金利回りは5.07%。長期投資の視点では、現在の利回り水準に期待する投資家も増えています。実際、6月第2週に入ってからは底打ちの兆候も見え始めており、今後の値動きが注目されます。
J-REIT投資、知っておきたい基本知識
連載第3回目は、「REITには用途で三つのタイプがある」を解説します!
前回は、REITが投資する不動産の用途(オフィス、ホテル、商業施設、レジデンス、物流施設、ヘルスケア施設)を紹介しました。今回は、これらの用途をどう組み合わせて運用しているかによる「タイプの違い」を見ていきましょう。
REITには用途で三つのタイプがある
投資対象用途により、REITは次の三つの型に分類されています。
- 特化型:一つの用途だけに投資する
- 複合型:2種類の用途に投資する
- 総合型:3種類以上の異なる用途に投資する
飲食店に例えると分かりやすい!
REITの三つのタイプは、飲食店に例えるとイメージしやすくなります。
【特化型 = うどん専門店】
こだわりを持ってうどん一筋。メニューはうどんのみ。うどん人気が高まれば大繁盛しますが、うどん離れが起きると苦戦します。
【複合型 = うどんとカレーを出すお店】
うどんとカレーの2本柱。うどんの売上が落ちても、カレーでカバーできる可能性があります。
【総合型 = ファミリーレストラン】
うどん、カレー、ラーメン、定食、デザートまで幅広いメニューを提供。特定のメニューに依存しないため、安定した集客が見込めます。
三つのタイプの特徴
【1】特化型
オフィスビル特化型、ホテル特化型、物流施設特化型など、一つの用途に絞って投資するREITです。銘柄ごとの特徴が明確で、その用途の市況が好調なときには高いリターンを狙いやすいのがメリットです。一方で、特定の不動産市況が悪化すると、影響を直接受けやすい面があります。
【2】複合型
「オフィス+住宅」「ヘルスケア施設+住宅」など、2種類の用途を組み合わせて運用するREITです。特化型よりもリスク分散効果があり、一方の用途が不調でも、もう一方でカバーできる可能性があります。
【3】総合型
オフィス、住宅、商業施設、ホテルなど、3種類以上の用途に幅広く分散投資するREITです。
どのタイプを選ぶ?
【特化型が向いている人】
特定の用途の成長性に期待したい人、銘柄の特徴を理解して投資したい人
【複合型が向いている人】
特化型と総合型の中間でバランスを取りたい人
【総合型が向いている人】
安定性を重視したい人、1銘柄で分散効果を得たい人
自分の投資スタイルやリスク許容度に合わせて、タイプを選んでみましょう!
「総合型」と「複合型」REITの特徴が分かる!今月の注目J-REIT2銘柄!
今回は、REITの「タイプ」による違いを理解していただくため、対照的な2銘柄をピックアップしました。
[1]野村不動産マスターファンド投資法人(3462):5用途に分散投資する「総合型」
[2]NTT都市開発リート投資法人(8956):オフィス+住居の「複合型」
幅広く分散する総合型と、二つの用途でバランスを取る複合型。同じJ-REITでも、タイプによって特徴が異なります。それぞれ、詳しく解説していきましょう!
【銘柄紹介[1]】野村不動産マスターファンド投資法人(3462)大手総合型REIT
▼どんなリート?銘柄の特徴野村不動産マスターファンド投資法人は、大手総合型REITの一つです。時価総額は約7,000億円。J-REIT全体でもトップクラスの規模を誇ります。
最大の特徴は、五つの用途に分散されたポートフォリオです。オフィス約39%、物流施設約22%、居住約20%、商業施設約17%、ホテル約3%という構成になっています。
景気の影響を受けやすいオフィスやホテルと、景気に左右されにくい住居や物流施設をバランスよく組み合わせています。
旗艦物件は、新宿駅西口に位置する「新宿野村ビル」。鑑定評価額は約439億円で、ポートフォリオの中核を担っています。
エリアも東京圏に約83%が集中しており、立地の優位性が安定した収益を支えています。
スポンサーは野村不動産ホールディングス。マンションブランド「プラウド」で知られる大手デベロッパーが物件供給をバックアップしています。
▼詳細データ
投資口価格:15万700円(6月12日時点)
単元株数:1口
年初来高値:17万6,400円(1/19)
年初来安値:14万6,800円(6/2)
時価総額:約7,002億円
分配金利回り:4.92%
決算回数:年2回(2月/8月)
▼メリット&デメリット
メリット:五つの用途に分散投資しているため、特定の不動産市況が悪化しても他の用途でカバーできます。時価総額が大きく流動性が高いため、売買しやすいのも利点です。野村不動産グループからの継続的な物件供給が期待できます。
デメリット:幅広く分散しているため、特定の用途が好調なときの恩恵を受けにくい面があります。特化型に比べると、大きなリターンは期待しにくいかもしれません。
【銘柄紹介[2]】NTT都市開発リート投資法人(8956)通信大手グループが支える複合型
▼どんなリート?銘柄の特徴
NTT都市開発リート投資法人は、オフィスと住居を組み合わせた複合型REITです。
ポートフォリオ構成は、オフィスが約7割、住居が約3割。景気に敏感なオフィスを主軸としつつ、景気に左右されにくい住居で収益を安定させています。
エリア戦略も特徴的です。東京経済圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)への投資比率は90%超。都心の優良立地に厳選投資しています。
旗艦物件は、JR田町駅近くの大型オフィスビル「グランパーク」。鑑定評価額は約263億円で、ポートフォリオの約8.9%を占めます。
最大の強みは、NTTグループがテナントとして入居している物件の多さです。グループテナント比率は約33%。通信大手という優良テナントが収益の安定を支えています。
スポンサーはNTT都市開発。NTTグループの不動産事業を担う中核会社であり、グループの遊休不動産の有効活用や物件取得機会の提供が期待できます。
▼詳細データ
投資口価格:13万1,700円(6月12日時点)
単元株数:1口
年初来高値:14万9,800円(1/20)
年初来安値:12万7,600円(6/8)
時価総額:約1,934億円
分配金利回り:4.71%
決算回数:年2回(4月/10月)
▼メリット&デメリット
メリット:NTTグループがテナントの約33%を占めており、賃料収入の安定性が高いです。東京経済圏に95%超を集中投資しており、空室リスクを抑えています。オフィスと住居の組み合わせで、攻めと守りのバランスが取れています。
デメリット:オフィス比率が約7割と高いため、オフィス市況が悪化した際の影響を受けやすい面があります。時価総額が約1,934億円と、大型REITに比べると流動性がやや劣ります。
初めての方も丸わかり!リート用語辞典
「スポンサー」とは?
今回の銘柄紹介で「スポンサー」という言葉が登場しました。J-REITを理解する上で重要なキーワードです。
▼スポンサー=REITを支える「親会社的な存在」
スポンサーとは、J-REITの運営を支援する大株主的な企業のことです。多くの場合、REITの資産運用会社に出資している不動産会社やデベロッパー、金融機関などがスポンサーとなっています。
野村不動産マスターファンドなら「野村不動産HD」、NTT都市開発リートなら「NTT都市開発」がスポンサーです。
▼スポンサーの三つの役割
【物件の供給】自社開発物件をREITに売却し、成長を支援
【運営のサポート】物件管理や運営のノウハウを提供
【信用力の付与】スポンサーの知名度・財務力がREITの信用力に直結
▼なぜスポンサーが重要なのか?
J-REITが成長するには、優良な物件を継続的に取得する必要があります。しかし、不動産の取得競争は激しく、良い物件がいつでも手に入るわけではありません。
大手デベロッパーや財閥系企業がスポンサーのREITは、スポンサーが開発した物件を優先的に取得できるルート(パイプライン)を持っています。これが成長力の源泉になります。
また、スポンサーの信用力は、REITが銀行から借り入れを行う際の金利条件にも影響します。信用力の高いスポンサーがついていれば、低い金利で借りられ、分配金を増やす余地が生まれます。
REIT投資家・かつさんどさんってどんな人?インタビューをチェック!
(かつさんど)

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