今後も株式市場ではイラン戦争の終結を織り込む動きが続くと考えられますが、これに伴ってAI関連株の一極集中相場は是正されてくるとみられます。米国での利上げ観測の強まりも、AI関連株からバリュー株など出遅れ銘柄への資金シフトにつながっていく公算です。
アナリスト評価◎の割安高配当株TOP15
コード 銘柄名 現在値 配当利回り コンセンサス
レーティング 移動平均線
乖離率 月間
騰落率 2815 アリアケジャパン 5020.0 5.98 3.7 ▲7.76 ▲7.55 7278 エクセディ 5870.0 5.96 3.5 0.01 ▲0.34 3002 グンゼ 3810.0 5.67 3.5 0.56 4.24 7283 愛三工業 1786.0 5.32 3.7 ▲3.06 1.48 2181 パーソルホールディングス 238.0 5.26 3.5 ▲0.14 ▲1.33 6436 アマノ 3577.0 5.08 4.0 ▲3.41 ▲1.24 8252 丸井グループ 2778.5 5.00 3.9 ▲5.32 1.98 3231 野村不動産ホールディングス 927.0 4.88 3.7 ▲5.11 2.77 2124 ジェイ エイ シー リクルートメント 851.0 4.78 4.5 ▲0.46 ▲1.05 7994 オカムラ 2250.0 4.78 3.5 ▲6.75 ▲1.92 2127 日本M&Aセンターホールディングス 644.1 4.61 3.5 ▲1.14 ▲2.69 3612 ワールド 1533.0 4.57 4.0 0.36 1.93 2154 オープンアップグループ 1885.0 4.55 4.2 3.98 2.11 5021 コスモエネルギーホールディングス 3775.0 4.55 3.5 ▲5.64 2.00 9757 船井総研ホールディングス 1057.0 4.54 3.5 ▲4.59 ▲2.49 ※データは2026年6月19日時点。単位は配当利回りと月間騰落率、移動平均線乖離率は%、時価総額は1,000億円以上。配当利回りは予想、移動平均線乖離率の基準は13週移動平均線。
※コンセンサスレーティング…アナリストによる5段階投資判断(5:強気、4:やや強気、3:中立、2:やや弱気、1:弱気)の平均スコア。数字が大きいほどアナリストの評価が高い。
※移動平均線乖離(かいり)率…株価が移動平均線(一定期間の終値の平均値を結んだグラフ)からどれだけ離れているかを表した指標。この数値がマイナスならば、移動平均線よりも現在の株価が安いということになる。
表は、長期投資に適した銘柄の高配当利回りランキングと位置付けられます。
6月19日時点での高配当利回り銘柄において、一定の規模(時価総額1,000億円以上)、ファンダメンタルズ(コンセンサスレーティング3.5以上)、テクニカル(13週移動平均線からの乖離率20%以下)などを楽天証券の「スーパースクリーナー」を使ってスクリーニングしたものとなっています。配当利回りはアナリストコンセンサスを用いています。
なお、上場市場は各社ともにプライム市場となっています。
中東和平合意期待の高まりで日経平均は7万円の大台突破
5月22日終値~6月19日終値までの日経平均株価(225種)は12.5%の大幅上昇となりました。
6月13日にトランプ米大統領が、イランとの戦闘終結に向けた合意が14日に署名される見通しであることがSNSで示され、中東情勢の改善を期待した買いが優勢となりました。
その後、中東和平交渉の難航が意識されだしたことや、雇用統計が想定以上の上振れとなったことで、米国の利上げ懸念が浮上しました。加えて、日本銀行の6月利上げ観測が強まったこともあり、いったん調整する場面も見られました。
ただ、14日にはトランプ米大統領が、イランと戦闘終結で合意したとSNSで発表。ホルムズ海峡開放に伴う原油供給の正常化期待が高まり、あらためてAI関連株を中心としたリスクオンの流れが強まりました。16日には初の7万円の大台乗せを果たしています。
こうした中、ランキングTOP15は高安まちまちで、7銘柄が上昇した一方、8銘柄が下落となりました。半導体・AI関連銘柄への集中物色が続く中、引き続き、高配当利回りなどバリュー株への資金流入は限定的な状況が続いています。
総じて小幅な値動きにとどまる中、上昇が目立った銘柄としてはグンゼ(3002)が挙げられます。プラスチックフィルム製品の価格改定実施を発表したことで収益の改善期待が高まったほか、一部国内証券による投資判断格上げの動きなども買い材料視されました。
一方、アリアケジャパン(2815)の下げが目立ちました。決算発表直後は自社株買いや記念配当の実施を発表して急伸しましたが、その後は反動安の動きが強まることとなりました。
記念配当実施でアリアケジャパンの配当利回りが上昇
今回、新規にランクインしたのは、アリアケジャパン、エクセディ(7278)、グンゼ、日本M&Aセンターホールディングス(2127)、船井総研ホールディングス(9757)の5銘柄。除外となったのは、石原産業(4028)、住友ゴム工業(5110)、関西ペイント(4613)、王子ホールディングス(3861)、いすゞ自動車(7202)でした。
アリアケジャパンは決算発表時に2027年3月期の記念配当実施を発表しており、それがコンセンサスに反映されて利回りが上昇しました。記念配当120円を実施、年間配当金は前期比120円増の300円を計画しています。
エクセディも2027年3月期の年間配当金を前期比50円増の350円を計画しており、予想配当利回りの上昇につながっています。グンゼは投資判断格上げの動きを受けてコンセンサスレーティングが基準に達しました。日本M&AセンターHDと船井総研HDは株価下落で相対的に利回りが上昇しました。
一方、石原産業、住友ゴム工業、関西ペイントは株価が10%以上の大幅上昇となったことで、配当利回りが低下することとなりました。いすゞ自動車も株価上昇でランキングが下がりました。王子HDは国内証券が買い推奨から「中立」に格下げしたことで、コンセンサスレーティングが基準未達となっています。
アナリストコンセンサスと会社計画の配当予想で乖離が大きい(0.2ポイント以上の開き)銘柄は、愛三工業(7283)、パーソルホールディングス(2181)、ジェイ エイ シー リクルートメント(2124)、ワールド(3612)です。
会社計画ベースの配当利回りは、愛三工業が4.48%、パーソルHDが5.46%、ジェイ エイ シー リクルートメントが4.47%、ワールドが4.37%となっています。
ジェイ エイ シー リクルートメントは第1四半期好決算からも、コンセンサス水準に近づく可能性があるでしょう。パーソルHDはコンセンサス水準が会社計画ベースにまで高まることが見込まれます。一方、ワールドはややコンセンサス水準が高いとみられ、愛三工業に関してはコンセンサス水準が高すぎる印象があります。
中東情勢改善に伴う物色のシフトを想定したい
6月20日にホルムズ海峡再封鎖の報道を受け、中東情勢の動きに改めて不透明感が増しています。ただ、今後も戦争の終結を織り込む動きが続くと考えられます。
この場合、これまでのようなAI関連株の一極集中相場は是正されてくるものとみられます。米国で今後の利上げ観測が強まっていることも、ハイテク株の利益確定売りにつながる公算が大きく、逆に、リバランス買いの対象となりそうな出遅れ銘柄には、押し目買いのチャンスが到来することになります。
AI関連株は一般に指数寄与度の高い銘柄が多いため、同関連銘柄から出遅れ銘柄への資金シフトが強まった場合、日経平均株価の調整は避けられないでしょう。なお、日経平均は1989年高値3万8,957.44円からその後の安値6,994.90円までの下げ幅の倍返し水準、7万0,919.98円を突破している状況にあります。
(佐藤 勝己)

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