4~6月のメモリー株主導の超高速ラリーは自律反落の場面を迎えています。私のモデルは、5月中旬、6月初旬に続く最近の急落を含む乱高下は、7月の相場へ余波を残す一方、相場の下地は固いとも示唆しています。
サマリー
●超好業績が下支えと信じられたメモリー株であっても、速く高まる相場の自律反落は免れない
●7月は最近の波乱相場の余波で、シンプルにサマーラリーに向かうようには見えない
●しかし想定される相場リズムは決して悲観的ではなく、銘柄ごとのリズムに基づく勝ち筋がある
メモリー株でも調整反落
速く高く上伸する相場に相応に大きな反落は付き物です。相場は波動の力学が基本です。最近の相場ラリーのけん引役だったメモリー株のマイクロン テクノロジー(MU)は、まだまだ上昇が続くかのような業績が囃(はや)されながら、足元では調整反落を免れていません(図1)。これは、もっぱら相場波動の力学であり、リズム、あるいはテクニカルの現象として捉えられるべきものです。
<図1>MU(2026/4~ 20・50・100日移動平均、出来高)
相場高の時には、ハイパースケーラーの巨額設備投資からの需要がいかに旺盛かについて語られがちです。相場安になると、巨額設備投資の採算性や高債務への懸念が指摘されます。つまり相場が上がったか下がったかの結果を受けて、それに都合の良い材料を並べる相場追認論です。これを真に受けるようでは、相場変調の兆しに対する対応では後手に回るだけです。
筆者は、「トウシル」の動画、レポート、あるいはそれを補足するX投稿など折に触れて、5月半ば、6月初め、6月末から7月初めに起こりうるメモリー・半導体相場の反落リスクを指摘しました。「全体下がる」と予言したわけではありません。
相場の急落をピンポイントで予測する技術は存在しないのです。しかし、相場になだれが生じるかもしれない力学的な兆候はあるのです。
不確実性そのものである相場を相手にする以上、解答のようなズバリ予想や、絶対もうかる奥義のようなものは存在しません。それでも、人の強欲と恐怖が相場の上げ下げで交互に現れる相場には、集団心理の性(さが)ゆえの兆しが垣間見えます。速く高い相場でうまく立ち回るには、こうした微妙な兆候への感度と観察眼が必要です。
リズムから見る7月相場
筆者は自社モデルで相場のリズム解析をしています。前段で述べた5月と6月の調整反落リスクはこのモデルの示唆に基づいて、筆者自身がタイミングを計って対応したものです。
ただ、モデルで解析可能なキャパシティは6~8社です。このため当社に近い結果を算出することが多い二つの外部モデルの助けを得て、100銘柄ほどをウオッチし、そこから6~8銘柄を選出して、自社モデルで精査します。
最近の相場は明らかにメモリー関連株がリード役でした。そして、半導体の周縁銘柄として部品・部材・装置銘柄が相場ラリーの脇を固める構図でした。このため、この中からの6~8社に焦点を当てて、相場のリズムを計算してきました。
先週土日に7月相場のシミュレーションを更新しました。最新の結果は、半導体相場には堅調リズムが下地として続くとしつつも、リード役の銘柄には、5~6月に急伸と急反落を繰り返した余波が残り、リズムが安定しないことが示唆されます。
メモリー・半導体の個別銘柄間でリズムが一致しておらず、相場波動のタイミングと持続期間がバラけているため、銘柄選別も難しい状況です。企業の業績見通しが素晴らしくても、相場が急伸からひどい自律反落になり、波乱展開になることは高リスクを意味します。好業績であっても、高リスクが投資マネーを遠ざける場面があります。
もっとも、7月相場に悲観的なわけではありません。リズムに一定の底堅さも示唆されているのです。ただし、7月上旬もダレる銘柄がある他、上・中・下旬のどこかで反発を見せても、吹き値反落になりそうなど、一本調子に進めない様相です。とりあえず「サマーラリー」という季節の決まり文句をいったん使うのをやめるべきか思案もしました。
7月への戦術
メモリー・半導体相場について、弱気ではないが、銘柄間で不均衡が強く、値動きも不安定化しやすい地合いというのが、7月相場の目下のイメージです。
実は、昨年7月もモデルの示唆は同様に、捉えどころのないものでした。4月初頭のトランプ関税ショックでの相場急落から、4月後半、5月、6月と続く相場復調についてはかなり良い示唆を提示していました。
筆者はそれに沿ったポジションを6月末前後に手じまい、7月は様子見としました。しかしAI関連では強烈な好ニュースが相次ぎ、そのまま7月後半からの決算集中発表で好業績が確認され、相場はまさにサマーラリーの様相で活況を呈しました。
同じわだちを踏む可能性(リスク)を踏まえて、筆者は、慎重に前向きに戦術を組み立て中です。
短期のスイング投資では、相場の高下リズムにメリハリが効いて、波動をつかみやすそうな銘柄について、押し目取りと利益確定売りを1週間程度に短くすることが可能かを検討しています。昨年7月と同様に、そのままサマーラリーの様相へつながるなら幸いという構え方で臨みます。
中期投資なら、主に押し目を生かした時間分散買いを地道に継続するのが、常道でしょう。対象銘柄は、下振れリズムが小さそうな半導体周縁の銘柄を物色中です(図2)。率直なところ、この中期アプローチでは、リズムが安定しない米国株より、日本株の方が狙い目かもしれないと考えています。
<図2>米AI相場における周縁銘柄(2026/4~)
また、最近のローテーション相場を生かせる場面があるかもしれません。半導体などAIハード株が高い時、AIソフト株やビッグテックが安くなりがちです。AIテック全般が高い時に景気・バリュー株がしっかりしがちという巡り合わせも多くなっています。もっとも、メモリー・半導体相場の速さに慣れた目には、ローテーション先の相場の実入りはかなり地味に感じるでしょう。
やはり、筆者のような相場好きは、波乱含みでも、否、波乱含みだからこそ、メモリー・半導体に醍醐味(だいごみ)を感じるでしょう。保守的に中長期投資を志向する読者は、上述の中期投資までを基本視座としていただくのが良いでしょう。
*本稿は個別銘柄を推奨するものではありません、投資はご自身の判断と責任において行ってください。
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(田中泰輔)

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