6月はAI関連株への資金集中で二極化が深刻化し、中小型株は低迷しました。しかし、7月に入りAI株の揺り戻し(リターンリバーサル)の兆しが見えています。

夏枯れ相場を控え、これまで売られていた「非AI・低ベータ株」への見直し買いが期待される局面です。今回は、出遅れた中小型株の中から上昇余地のある16銘柄を提案します。


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<指数パフォーマンス比較~バリュー株orグロース株どっち優勢?~>
NISAで中小型株:「非AI」株16選、夏枯れとAIブームの一服で巻き戻し期待!
26年6月 中小型主要指数の月間騰落率

6月の中小型株ハイライトは「AI株好きすぎて滅」

 4月、5月、そして6月も、世界的な「AI株ラリー」は続くよ、どこまでも…そんな地合いでした。東京エレクトロン(8035)やアドバンテスト(6857)など半導体株のウエートの高い日経平均株価(以下:日経平均)は、AI株ラリーに相性抜群な指数です(米国のSOX指数、アジアでは韓国KOSPI指数のような)。


 終値ベースの史上最高値は6月25日に7万2,366円まで切り上げ、月間騰落率も+5.6%と3カ月連続の大幅上昇になりました。


 AI株については、「さすがに割高」「そろそろ天井」が盛んに議論されましたが、米SOX指数も6月前半下げてもそれを全部取り返し、後半下げた分もラスト2営業日で取り戻しに行くなどしぶとい動き。AI株かAI株じゃないか…これが明暗の分かれ目になる相場が続き、次第に投資家間で広がったのはFOMO(乗り遅れる恐怖)でした。


 業績モメンタムが日本企業の歴史上類を見ないレベルで強く、アナリストの目標株価引き上げ合戦にも発展していたキオクシアホールディングス(285A)(以下:キオクシア)。株価上昇で時価総額も膨張し、ついにトヨタ自動車(7203)を抜いて時価総額トップに躍り出ました。


 キオクシアを触るか触らないかで運用成果に天地の差…これは個人も機関投資家も一緒。短期マネーがキオクシアに大挙し、6月24日に記録した1日の売買代金4兆6,883億円は東京証券取引所の歴代トップです。キオクシア相場に乗っていないことで広がるFOMOもすごいことになっていました。


NISAで中小型株:「非AI」株16選、夏枯れとAIブームの一服で巻き戻し期待!
キオクシアの売買代金vsスタンダード+グロース市場の売買代金(年初来)

 6月のキオクシアの1日当たり売買代金平均は3兆2,706億円。

これ、一頃のプライム市場全体に相当するレベルです…。それに対して、中小型株市場であるスタンダード市場、グロース市場の合算で同3,662億円。2市場で約2,160銘柄の合計分の約9倍に相当する流動性を誇る個別株、それがキオクシア。


 一時、株価は10万円台を超え、最低投資額で1,000万円超の超値がさ株となりました。その株で短期売買する投資家がここまで多くなるとは。これに魅了された投資家達が、中小型株とか低位株にシフトする日など来るんでしょうか…。


 AI株ラリーの蚊帳の外の東証スタンダード指数、東証グロース指数は、日経平均7万円台をよそに月間マイナス。とくに東証グロース指数は月間マイナス12.7%と悲惨でした。6月12日、米ナスダック市場にスペースX(SPCX)の株式の新規公開(IPO)がありました。


 すると、手前で関連株として盛り上がっていたアストロスケールホールディングス(186A)やQPSホールディングス(464A)など宇宙関連株は出尽くしという理由で急落(その後も下げっぱなし)。


 大型分割が裏目に出たかパワーエックス(485A)も大幅下落、防衛関連で物色されたTerra Drone(278A)などドローン関連株もイラン戦争の終結期待の高まりとともに人気が離散するなど散々な1カ月に。


新NISAで中小型株!今月の銘柄アイデアは…「非AI株のリターンリバーサルに期待」

 日経平均7万円台で突入する7月相場。

なかなかこの値段から新規買いで入りたくない…そんな投資家が多そうですが、7月は1年の後半戦に入る月でもあり、「下半期相場入り」なんて表現がなされます。月、四半期、半期の節目などで物色がガラッと変わることも多い株式市場。


 上半期(1-6月期)でいえば、AI株が市場の流動性を根こそぎ持っていき、驚くべきパフォーマンスも記録した「超・二極化相場」でした。


 AI株か非AI株か…これだけで区別された地合いが下半期も継続するのか? それとも機関投資家の運用方針に見直しが入り、リターンリバーサル(買われた株が売られ、売られた株が買われること)が進むのか? これが最大の注目点になりそうです。


 中小型株のメインプレーヤーである個人投資家については、何を売買しているか? 短期資金の出入りでいえば、信用買い残でチェックできます。キオクシアが唯一下落した6月第4週は、キオクシアの信用買い残が激増していました(金額ベースで1.3兆円と過去最高規模、信用倍率も27倍)。


 現時点では、個人も、おそらくヘッジファンドなど機関投資家も、機会損失や他者(他社)とのパフォーマンス差を回避するため、キオクシアを代表とするAI株から急には降りることが難しいと考えられます。


 売買代金などでいえば、キオクシアなどAI株が引き続き上位を占める構図は変わらなさそう。ただ、パフォーマンス面では、非AI株にも注目したいのが7月相場。7月初日、米SOX指数が6%超の下落となり、いち早く米株市場でリターンリバーサルが起こりました。


 すると、それを受けた7月2日の東京市場で強烈なリターンリバーサルが発生。売買の多いAI株が一斉安する中で、売買の少ない非AI株やバリュー株、中小型株は値上がりする銘柄が続出(ほぼ全面高)しました。


対日経平均90日ベータ値1.0以上/未満の市場別銘柄比率(6月末時点)   プライム
市場 スタンダード
市場 グロース
市場 対日経平均90日ベータ値1.0以上 8.8% 4.2% 4.4% 対日経平均90日ベータ値1.0未満 91.2% 95.8% 95.6%

 極端なAI株ラリーだっただけに、その揺り戻し(AI株を売った資金がそれ以外に流れるとか、AI株ロング/非AI株ショートの巻き戻しが起きること)はかなり魅力的なリターンを、中小型株にももたらしてくれるのでは?と期待しています。


 先月まで、投資家の資金は勢いのあるAI株にばかり流れ込みました。上がるから買い、買うから上がる…これを続けた結果、AI株ばかり輝き、AI株の影響の大きい日経平均ばかり強い日々。結果、日経平均という指数より強く動く、ハイベータ株が激減しました。


 日経平均の90日の値動きに対するベータ値(感応度)が1.0(日経平均が1%上がれば1%上がるというような)以上の銘柄が、プライム市場でも全体の10%にも満たず、スタンダード市場やグロース市場に至っては約4%に。


 手っ取り早く日本株で収益をあげたい個人やヘッジファンドなどは、あえてAI株や日経平均より動かない中小型株などに行く必要がない…それは合理的な判断です。


 ただ、そのローベータ株からも、プライム市場ではエムスリー(2413)(ベータ値0.1)、サンリオ(8136)(同0.1)など6月にいち早く、猛烈な見直し買いが入った銘柄が出てきました。


 7月後半は「夏枯れ相場」と呼ばれる薄商いにもなりやすい時期。これまで株価が低調だった銘柄に関しては、「閑散に売りなし」な展開も期待したいところ。その上で、AI株ラリーが一服し、リターンリバーサルの動きから買いが入るなら、想像以上に強い動きになることにも期待ができます。


夏枯れ&AI株一服なら巻き返しに期待できる中小型株

【条件】
(1)スタンダードorグロース銘柄
(2)対日経平均90日ベータ値0.5未満
(3)時価総額300億円以上
(4)売買代金25日平均3億円以上
(5)過去1カ月騰落率マイナス、3カ月同+10%未満
※6月30日終値時点、時価総額大きい順


コード 銘柄名 ベータ値 4716 日本オラクル 0.24 2702 日本マクドナルドHD 0.06 8572 アコム 0.31 2782 セリア 0.28 7906 ヨネックス 0.31 7685 BuySell Technologies 0.27 3222 ユナイテッド・スーパーマーケットHD 0.05 4478 フリー 0.42 4293 セプテーニHD 0.15 5253 カバー 0.41 446A ノースサンド 0.47 7412 アトム ▲0.34 6993 大黒屋HD 0.08 4972 綜研化学 0.31 3491 GA technologies 0.28 6085 アーキテクツ・スタジオ・ジャパン 0.15

 スタンダード市場、グロース市場に上場する銘柄の中から、日経平均に対するベータ値が0.5未満のローベータ株をピックアップ。その中で時価総額、流動性ともある程度の基準を満たしつつ、これまでの株価が低調で出遅れ感のある銘柄を残しました。


 日本マクドナルドホールディングス(2702)などベータ値が0.1未満の株でいえば、日経平均(AI株)が上がろうが上がらなかろうが関係ないという意味。マイナスベータのアトム(7412)にいたっては、日経平均(AI株)が下がってくれれば上がるという意味です。AI株ラリーの被害者のような銘柄に見直し買いが入る展開に期待したいところです。


(岡村 友哉)

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