先週はAI株が急落、中東情勢悪化や「骨太ショック」と呼ばれる金利上昇で景気敏感株もさえませんでした。今週は台湾積体電路製造の決算や米国市場に上場した韓国半導体メモリのSKハイニックスの株価動向で、半導体製造装置メーカーを軸にAI株が見直し買いされる可能性もありそうです。

米国の6月物価指標や中東情勢も物色動向に影響しそうです。


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今週のトピック:米国ウォーシュFRB議長の議会証言。米国の2026年4-6月期決算スタート

日付 イベント 7月13日(月) ・台湾積体電路製造(TSMC:TSM)が2026年4-6月期売上高発表 7月14日(火) ・ビックカメラ(3048)、サイゼリヤ(7581)などが決算発表
・米国でJPモルガン・チェース(JPM)など2026年4-6月期決算発表がスタート
・米国で6月CPI
・米国ウォーシュFRB議長が14~15日、議会証言 7月15日(水) ・オランダASMLホールディングス(ASML)、米国モルガン・スタンレー(MS)が決算発表
・米国で6月PPI 7月16日(木) ・TSMCが決算発表
・米国で6月小売売上高
・米国でネットフリックス(NFLX)が決算発表 7月17日(金) ・米国で7月ミシガン大学消費者態度指数・速報値

・15日(水)のオランダ最先端半導体製造装置メーカー、ASMLホールディングス(ASML)、16日(木)の半導体受託製造世界一、台湾積体電路製造(TSMC)の決算発表で人工知能(AI)株、特に半導体株は上昇の勢いを取り戻す?


・中東情勢が沈静化すれば景気敏感株など非AI株が上昇、緊張が続けば消去法でAI株が上昇する二極化の展開に?


・米国の6月消費者物価指数(CPI)、卸売物価指数(PPI)で物価高が加速すれば早期利上げ懸念で株価下落も? 米連邦準備制度理事会(FRB)のウォーシュ新議長の議会証言に注目集まる


7月13日(月)の日経平均

 前営業日比147円安の反落スタート。一時はプラスに転じましたが、前場は前営業日比770円安の6万7,786円で終えました。キオクシア・ホールディンスグ(285A)が一時10%近く下落するなど半導体株の下げも重しとなり、後場では一時1,700円安まで下げ拡大しています。(7月13日14時半現在)


キオクシアは一時「10%超」下落も…TSMC・ASML決算で半導体株に「見直し買い」期待?
日経平均株価のチャート

先週(7月6~10日)の主要株価指数   終値 前週末比 前週末比率 日経平均株価 6万8,557円 ▲1,186円 ▲1.70% TOPIX 4,036.0pt ▲28.5pt ▲0.70% ダウ 5万2,637ドル ▲263ドル ▲0.50% S&P500 7,575pt +92pt +1.23% ナスダック 2万6,281pt +448pt +1.74% 注:▲はマイナスを示す

今週のマーケット:TSMC決算や中東情勢で「AI株vs非AI株」と「AI株内」の明暗がくっきり分かれる?

 今週は企業業績や米国の利上げ見通しに直結するイベントが盛りだくさんで、好材料が出れば株価の反発上昇に期待できそうです。


 中でも、15日(水)にはオランダのASML HD、16日(木)にはTSMCが決算発表。


 AI株は約3週間にわたって調整してきただけに、半導体市場に多大な影響を与える世界的企業の両社が予想以上の好業績を発表すれば、特に半導体関連株の見直し買いに期待できそうです。


 先週10日(金)には韓国の世界的な半導体メモリメーカー、SKハイニックス(SKHY)が米国ナスダック市場に米国預託証券(ADR)を上場。


 初値が公募価格を14%上回り、上々の滑り出しになったことも追い風で、同社のAIデータセンター向け高帯域幅メモリ(HBM)製造に欠かせない半導体製造装置のディスコ(6146)、封止装置のTOWA(6315)など日本の半導体製造装置メーカーの株価に好影響を与えそうです。


 また米国半導体メモリメーカー、マイクロン・テクノロジー(MU)が米国内の新工場建設に2,500億ドル(約40.6兆円)の巨額資金を投じる報道もあり、市場では半導体の原料となるシリコンウエハ不足が懸念されています。


 そのため、7月に入って前月末比30.2%も急騰している半導体ウエハメーカー、SUMCO(3436)など半導体製造向けの部材、素材メーカーの株価は今週も続騰しそうです。


 ただ、先週の日本のAI株はAIデータセンター向け巨額投資のピークアウトや半導体価格高騰による需要減少に対する懸念から大きく下落。


 半導体メモリの人気株キオクシア・ホールディングス(285A)は前週末比7.6%安、AIサーバー向けコンデンサー株の太陽誘電(6976)は28.4%安でした。


 一方、米国のAI半導体株の覇者、エヌビディア(NVDA)は8.3%高、キオクシアHDと提携関係にある半導体メモリのサンディスク(SNDK)は9.8%高。


 日米のAI株の動きが相反し、AI株内部でも株価の勢いに差が出ています。


 全体的に見ると、これまで急騰してきたAIデータセンター関連株が売られやすく、本家本元といえる高速半導体メーカーのエヌビディア、ブロードコム(AVGO)などが「寄らば大樹の陰」的に買われる展開が続くかもしれません。


 日本でいえば世界的な半導体工場新設ラッシュで潤う半導体製造装置メーカーのアドバンテスト(6857)や東京エレクトロン(8035)が王道といえるでしょう。


 日本では今週前半、内需小売・サービス企業の2027年第1四半期(3-5月期)決算発表が続きます。


 14日(火)には家電量販店のビックカメラ(3048)、外食のクリエイト・レストランツ・ホールディングス(3387)、サイゼリヤ(7581)、15日(水)にはITコンサルのベイカレント(6532)、東宝(9602)などが決算発表。


 先週は吉野家ホールディングス(9861)が6.5%高となるなど、値上げ効果による好決算を発表した内需株が上昇しているだけに、今週も期待が持てそうです。


 米国でもJPモルガン・チェース(JPM)など金融株を皮切りに2026年4-6月期決算発表がスタート。


 金融株以外にも15日(水)には医療機器・製薬大手のジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)、16日(木)には航空機エンジンのGEエアロスペース(GE)など、AI株変調の中、株価上昇が続いた非AI株も決算発表。


 株価上昇には個別企業の好決算という「燃料」が必要になりそうです。


注目イベント:米国の6月CPIとウォーシュFRB議長の議会証言

 今週14日(火)には米国の重要物価指標である6月CPI、15日(水)には6月PPIが発表されます。


 前回の5月CPIはイランとの戦争でガソリン価格が高騰した影響で前年同月比4.2%と高い伸びでしたが、6月は3.8%上昇に多少なりとも鈍化する予想。


 予想通りだと7月29日(水)終了の米連邦公開市場委員会(FOMC)での早期利上げ懸念が後退するので、株価にとって追い風でしょう。


 また米国FRBの新議長に就任したウォーシュ氏が14日(火)に下院金融サービス委員会、15日(水)に上院銀行委員会で初めて議会証言を行います。


 先週公開された6月FOMC議事録では一部の参加理事たちがただちに利上げすべきと意見していたことが判明。


 ウォーシュFRB議長が議会証言で物価高抑制を強調するようだと、早期利上げ懸念の台頭で株価が下落する可能性もあります。


市場別マーケット動向

日本市場

 先週の日本市場は東証株価指数(TOPIX)連動型の上場投資信託(ETF)の分配金捻出にともなう売り圧力や中東情勢の緊迫化による原油価格の上昇もあり、AI株や景気敏感株を中心に下落しました。


 しかし、AI株は米国新興AI企業のオープンAIに巨額投資するソフトバンクグループ(9984)が前週末比3.3%高、半導体検査装置の主力株アドバンテストが1.7%高となるなど、週後半に盛り返しています。


 今週13日(月)発表のTSMCの6月月次売上高や2026年4-6月期の売上高が前回1-3月期に次いで四半期として過去最高を更新すれば、AI株への疑心暗鬼が後退し、AI株一極集中相場になるかもしれません。


 その場合、自動車、鉄鋼、化学、建設など非AIの景気敏感株は低迷する恐れもあります。


米国市場

 米国では先週、開発者向けAIソフト「Muse Spark」の低価格での提供プランが高評価を得たフェイスブックの親会社メタ・プラットフォームズ(META)が前週末比14.8%も急騰。


 同社はAI向け巨額投資に成果がともなわない「負け組」と見なされ株価が下落していましたが、ようやく2026年の株価が前年末比1.38%高のプラスに回帰しました。


 今週もAIサービスや半導体メモリ分野の競争激化で、上がり過ぎた株が売られ、下がり過ぎた株が見直し買いされるAI二極化相場が続きそうです。


 メタやマイクロソフト(MSFT)など巨大IT企業やオラクル(ORCL)などソフトウエア企業、対するマイクロン・テクノロジーなど半導体メモリ企業、アプライド・マテリアルズ(AMAT)など半導体製造装置メーカーといった、上がるAI株のジャンルが激しく入れ替わる展開になりそうです。


業種・銘柄の動き

銘柄 先週の
騰落率 ポイント アドバンテスト(6857) 1.70% AI株下落の中、先週はプラス維持。今週も強い? ファーストリテイリング(9983) ▲2.8% 業績上方修正も利益確定売りで下落。
今週は見直し買い? エヌビディア(NVDA) 8.30% AI半導体の覇者として見直し買い続く? マイクロン・テクノロジー(MU) 0.40% ライバルのSKハイニックス米国上場で競争激化懸念 注:▲はマイナスを示す

先週までの振り返り:コンデンサー株など「AI周辺株」が急落!骨太ショックで景気敏感株も停滞

 先週の週間業種別上昇率上位には1位の証券・商品先物取引、3位の銀行業など金融セクターがランクインしました。


 高市政権の「骨太の方針」原案に日本銀行の利上げを暗にけん制するような表現が盛り込まれたことを受け、長期金利の指標となる10年国債の利回りが30年ぶりに一時2.9%を超える「骨太ショック」が発生。


 それを受けて金利上昇が収益向上に貢献する三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)が前週末比4.1%高、積極財政による株価上昇期待で野村ホールディングス(8604)が4.9%高と上昇しました。


 また中東で米国・イランが再び戦闘を始めたことで米国の原油先物価格が1バレル71ドル台まで上昇。


 INPEX(1605)が3.7%高と反発するなど、鉱業セクターが上昇率2位でした。


 一方、下落率下位にはAIデータセンター向け素材・部材を提供するガラス・土石製品、非鉄金属、電気機器セクターなどが並びました。


 半導体向けガラスクロスの日東紡(日東紡績:3110)は5.0%安、半導体向け静電チャックを手掛けることで一時的に買われた住友大阪セメント(5232)も9.1%安、光ファイバーの古河電気工業(5801)は6.9%安。


 さらにAIサーバー向け積層セラミックコンデンサー株が激しく売り込まれ、アルミ電解コンデンサーの日本ケミコン(6997)が28.8%安、人気株だった太陽誘電が28.4%安と急落しました。


 総じて「AIデータセンター、サーバー向け」「AI半導体関連の周辺株」として買われてきた銘柄の急落が目立ちました。


 また中東情勢悪化や長期金利上昇を懸念して空運業、建設業、鉄鋼、化学、輸送用機器といった景気・金利敏感セクターもマイナス圏で推移。


 先週末の為替相場では一時1ドル162円70銭台(終値は161円60銭台)まで円安が進んでおり、今週、もし為替介入があるようなら、こうした景気敏感株が続落する恐れもあります。


セクター・業種(上昇・下落)

銘柄 騰落率 備考・要因 証券・商品先物取引 4.38% 今週の米国金融株の決算発表への期待感も追い風に 鉱業 3.33% 原油価格上昇で反発 銀行業 2.68% 長期金利上昇を好感 非鉄金属 ▲4.46% 光ファイバー株が続落 ガラス・土石製品 ▲6.35% AI関連周辺株が続落 注:▲はマイナスを示す

(トウシル編集チーム)

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