「日経平均が歴代5位の下げ幅」というニュースに、思わずご自身のNISA口座を開いた方も多いのではないでしょうか。ところが残高を見て「思ったほど減っていない」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。

実は、その感覚には理由があります。配分を見直す必要が本当にあるのか、順番に整理していきます。


日経平均急落でもNISA残高が意外と大丈夫な理由。「パニック...の画像はこちら >>

 連日のように「日経平均株価が歴代5位の下げ幅」といったショッキングなニュースが報じられ、慌ててご自身のNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)口座を開いてみた方も多いのではないかと思います。


 しかし、いざ口座を確認したとき、「あれ、思ったほど減っていないな」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。実は、その感覚には明確な理由があります。


 相場が大きく動いたときに、私たちは何を確認し、どこまでポートフォリオに手を入れるべきなのでしょうか。本記事では、パニックになる前に知っておきたい「三つの視点」を順番に整理してご説明します。


視点1. まず、市場で何が起きたのかを整理する

 2026年6月25日に7万2,366円の終値をつけた日経平均は、7月17日に6万4,141円まで下落しました。終値からの下落率は11.4%に達します。


 とくに7月16~17日の2営業日で4,610円(約6.7%)が失われ、17日の下げ幅「前日比2,694円安」は終値ベースで歴代5位の記録となりました。下げの中心となったのは、ここまで相場を大きくけん引してきたAI・半導体関連株です。


 半導体メモリー大手の一角では、6月下旬につけた上場来高値から1カ月足らずで株価が半値以下になる銘柄もありました。信用取引を使っていた個人投資家の処分売りが、さらなる下げを増幅したとも指摘されています。


 その後、日経平均は7月21日には6万6,000円台まで反発を見せましたが、7月24日には再び6万4,000円台まで下落するなど、依然として値動きの荒い状態が続いています。


視点2. 「指数の下落率」と「あなたの下落率」は違う

 ここで確認しておきたいのが、急落した7月17日の「下落率の中身」です。


 日経平均が4.03%下落したのに対して、東証株価指数(TOPIX)の下落率は2.72%にとどまりました。日経平均は、指数への影響が大きい「値がさのハイテク株」の比重が高いため、今回のようにAI・半導体株に売りが集中する局面では、市場全体よりも下げが大きく出る傾向があります。


 つまり、ニュースで目にする「日経平均○%安」という数字は、全世界株式インデックスのような、幅広く分散されたポートフォリオが実際に受けたダメージよりも、大きく見えているということなのです。


視点3. 円安が「円建ての評価額」を支えている

 もう一点、NISA口座の残高を考える上で見落とせないのが「為替」の存在です。


 2026年7月21日には「1ドル=163円台」という歴史的な円安水準をつけました。全世界株式や米国株式のインデックスファンドを保有している場合、円建ての評価額には、現地通貨建ての値動きに「為替の影響」が上乗せされます。円安が進んだ分だけ、円建てでの下落幅は緩和される計算になるのです。


 ご自身の口座を見て「思ったほど減っていない」と感じた方は、この為替の影響がクッションとして機能している可能性が高いでしょう。ただしこれは、今後円高に振れたときには「反対に働く(評価額を下げる要因になる)」ということでもあります。


それでも見直しを検討したい「三つのケース」

 以上の市場動向を踏まえると、NISA口座で全世界株式や米国株式のインデックスファンドをコツコツ積み立てている多くの方にとって、今回の下落を理由に配分を急いで変える必要性は高くないといえます。


 一方で、次のようなケースに当てはまる場合は、一度立ち止まって投資方針を確認しておくのも選択肢になります。


1.成長投資枠で特定のテーマ(AI・半導体など)に集中投資している

 今回、個別銘柄では「1カ月で株価が半値になる」という激しい値動きが現実に起きました。ご自身の総資産が特定のテーマに偏りすぎていないか、リスク許容度の範囲内かを確認してみてはいかがでしょうか。


2.数年以内に使う予定のお金まで投資に回している

 教育費や住宅購入の頭金といったライフイベントで、近い将来に使う時期が決まっているお金は、値動きのある資産(株式など)とは分けて安全資産(円預金や個人向け国債など)で持っておくのが基本です。


3.相場の動きが気になって夜も眠れない・落ち着かない

 これは配分の問題というよりも、ご自身の許容度を超えて「リスクを取りすぎている」明確なサインかもしれません。(2)で確認したライフイベントとは別に、資産全体について、安全資産とリスク資産の配分比率を見直しておくことが必要かもしれません。


NISAで慌てて売ると陥る「落とし穴」

 急落局面では、「これ以上損をしたくないから、いったん売って下がったら買い直そう」と考える方もいらっしゃるかもしれません。ただ、NISA制度には知っておきたい特有のルールがあります。


 まず、売却によって空いた非課税保有限度額(総枠)が再利用できるのは「翌年以降」です(その年の年間投資枠がまだ残っていれば、その範囲内での買付自体は可能です)。


 また、NISA口座で生じた損失は、課税口座の利益との損益通算や、翌年以降への繰越控除ができません。急落時に慌てて売却をすると、こうした制度上の制約が不利に働いてしまう可能性があります。


 行動に移す前に、一歩立ち止まってご自身の口座の状況について確認しておきましょう。


相場ではなく「自分自身」を確認する

  • 7月の急落はAI・半導体関連への集中的な調整であり、市場全体が一様に下げたわけではありません。
  • ニュースで取り上げられる「指数の下落率」は、分散投資をしている人が実際に受けた影響より大きく見えやすい傾向があります。
  • 歴史的な円安が円建て評価額の下支えとなっていますが、円高局面では逆に働くことになります。
  • 全世界株式などのインデックスファンドの積み立てを続けている多くの方にとって、下落を理由に配分を変える必要性は低いといえます。
  • ただし「テーマへの集中」「使う時期が近いお金」「リスクの取りすぎ」には見直しの余地があります。

 相場が大きく動いたときこそ、毎日の価格(株価)そのものではなく、「自分の資産配分」とライフプランを考慮した「お金の使い道」を確認する。

こういったチェックを習慣にしておけば、次に同じような局面が来たときも慌てずに済むのではないかと思います。


 フツーの人がフツーに資産形成を続けていく上で大切なのは、相場の上下を当てることではありません。ハラハラドキドキすることなく、自分が安心して、長く投資を続けられる状態を維持、継続していくことなのです。


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