55歳、初めての海外旅行に「ファーストクラスで世界一周ひとり旅」を選んだ藤川里絵さん。ビクビク始めた旅は藤川さんを「旅する投資家」として成長させた。

子育てや勤労など、人生の大仕事を終えた「大人」こそが人生を全力で楽しむべき理由を伺った。


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旅する投資家・藤川里絵さんプロフィール

大人こそ自分にお金を使うべき!55歳、ファーストクラス世界一周ひとり旅で見つけた自分の「伸びしろ」。旅する投資家・藤川里絵さんインタビュー
青山学院大学経済学部卒業。株式投資を主軸に、資産運用に関する講演、執筆を行う。デビュー本「月収15万円からの株入門 数字オンチのわたしが5年で資産を10倍にした方法」は、投資本としてベストセラーに。近年は、資産運用を含めたライフスタイル全般について、積極的に発信。YouTube: 藤川里絵の女子株CH『はじめの一歩』 X: 藤川里絵 / 【重版出来!】知識ゼロでも週3,000円の投資でで勝手に100万円が貯まる本 藤川里絵の勝ったり負けたり「赤裸々」株ノート 藤川里絵の楽しい投資生活 Instagram: 藤川里絵/Rie Fujikawa

初めての海外旅行、「ファーストクラスで世界一周」に踏み切ったワケ

 実は怖がりで臆病者。決めたものの、直前までテンションが上がらず、半ば嫌々準備を進めたが、投資仲間や運営している投資サロンメンバーの応援や後押しもあり、朝もやの中、空港までタクシーに乗った。緊張のあまり寝不足のまま、1.5畳はある「ファーストクラス」席に人生で初めて座ると、機長が席まであいさつに来た。


 贅を尽くした食事に舌鼓を打ち、リクライニングどころかフラットに倒せる座席で爆睡。映画を4本見終わる頃に、ロンドン・ヒースロー空港に到着し、藤川里絵さんの「ファーストクラスで世界一周ひとり旅」はスタートを切った。


大人こそ自分にお金を使うべき!55歳、ファーストクラス世界一周ひとり旅で見つけた自分の「伸びしろ」。旅する投資家・藤川里絵さんインタビュー
ロンドン・ヒースロー空港に向けて飛行機が飛び立つ。旅がいよいよ始まった!

 日本大好きで海外旅行に全く興味がなかった藤川さんが、初めての海外旅行でいきなり「世界一周」に踏み切ったのは友人との雑談がきっかけ。


「ビジネスクラスで3大陸を世界一周できるフライトチケットの価格が110万円、と聞いて、案外安いなと思ったのが発端です。インフレ円安の昨今、普通にロンドンと日本を往復するだけでも数十万円かかるのに、3大陸を周遊して110万円…。面白そう、と思って調べてみたら、ファーストクラスだと130万円だということが分かりました。20万円しか違わないなら、ファーストクラスに乗ってみたい、と好奇心がムラムラと湧いてきたんです」


大人こそ自分にお金を使うべき!55歳、ファーストクラス世界一周ひとり旅で見つけた自分の「伸びしろ」。旅する投資家・藤川里絵さんインタビュー
「欧州に行けばスーツケースなんて全部男性が持ってくれるから大丈夫」と聞いてきたのに、初日ロンドンでは誰も助けてくれず、エレベーターナシのホテルの3階まで自分でスーツケースを運ぶ羽目になり…など、トラブルや予想外のコトも赤裸々に語るYouTube「 藤川里絵の女子株CH『はじめの一歩』 」が人気に

 


 中学生レベルで止まったままの英語に自信がなく、ロンドン→パリあたりまではレストランにも入れずスーパーマーケットで食事を買い、ホテルに戻って一人で食べる日々が続いた。徐々に度胸がついてきたのはフランス・ニースやマルタ島以降。


 ギリシャではフレンドリーで気さくな地中海の雰囲気に背中を押され、Googleでおいしいと評判のレストランに入り、食事をとった。

レストランのスタッフとも片言ながらも話が通じ「なんだ。私、やれんじゃん…」と知らない街中を歩く足取りが軽くなる。


 あたふたする姿も全て赤裸々にYouTubeで配信しているが、次のポルトガル・リスボンあたりから画角が広がり、旅行を心から楽しみ始めたのがよく分かった。ラストのニューヨークでは生き生きとした笑顔でタイムズスクエアに立ち、世界の中心に立った感激が伝わってくる。


「世界を回って、日本企業が世界で頑張ってる様子をこの目で見られたのは、日本株投資家の私にとって刺激になりました。どこの国でもメイン通りに大きな店を構えているユニクロ(ファーストリテイリング:9983)、逆に街並みになじんで溶け込んでいる無印良品(良品計画:7453)。ハイブランドストリートに、セイコーグループ(8050)オニツカタイガー(アシックス:7936)が堂々と並んでいました。世界は今、抹茶ブームでどこの国にも抹茶スイーツがある。日本発のラーメン店も多数あり、逆にこれは日本である程度ブランディングができていなければ、海外参入の障壁は高いのかもと考えたり…。熱波の欧州のホテルで、東芝など、日本製のエアコンが使われているのを見て、海外での日本製品の評価の高さを実感したりもしましたね」


「転落」から視界が開けた――資産形成の原点と投資スタイル

 ファーストクラスで優雅に世界一周旅行をするマダム。ただし、もともと富裕層だったわけではない。20代で結婚した時は、自身はパート的な収入で仕事を続けながら、高収入な自営業の夫が購入した品川の豪華タワマンに住んでいた。


 しかし、リーマンショックで経営が揺らぎ、経営を補填(ほてん)するため、たった数年でタワマンを売却、古いアパートへ家族4人で引っ越した。

普通なら「転落」と受け止めて落ち込むところ、逆に肩の荷が軽くなった、と藤川さんは言う。


「豪華なマンションは35年ローン。老後に入っても住宅ローンを返済し続けるのって、そもそも身の丈に合わない状況で、心の底では相当不安だったんだなと実感しました。家賃を払い続けられるアパートに引っ越して、ああ、私はどこにでも住めるな、って視界が広がった気がしました」


 その後、お金の不安を解消するためにFPの資格を取得。仕事の延長で株式投資のセミナーを紹介しているうち、「門前の小僧」として徐々に興味と知識がついていく。当時は全世界株式に投資するインデックス(オール・カントリー)などもなく、自分で探した投資信託を20年後、30年後のためにコツコツと積み立てていた。


「インデックス投資の積み立てをしてる人なら分かってくださると思うんですが…正直、動きがなくてつまらないんです(笑)。積み立ては続けます。でももっと、目先のお金を増やすためのアクセルを踏みたい、と思って、日本株の中小型成長銘柄投資の勉強を始めました」


 最初は娘たちの学費には手をつけず、100万円くらいを恐る恐る売買をしていた。しかしちょうどアベノミクスが追い風になり、右肩上がりに資産が増えた。こうなると学費を寝かせておくのももったいない、と学費用の資金も投資に回し、資産がぐいぐい膨らんだ。


「タイミングが良かっただけでなく、四季報を読み込んだり、独自の強みがある中小型銘柄を定点観測して買い時を逃さないなど、勉強は怠りませんでした。

アベノミクスに陰りが出た時も、25日移動平均線を下回ったら容赦なく売る、という損切りを発動させたのでうまく逃げ切れたのも大きいと思います」


大人こそ自分にお金を使うべき!55歳、ファーストクラス世界一周ひとり旅で見つけた自分の「伸びしろ」。旅する投資家・藤川里絵さんインタビュー
キオクシアホールディングス(285A)の株価が乱高下し、AIやIT株がつられて大きく動く昨今。「持っていれば利益になったな」とは思うものの、いつくるか分からない〇〇ショックに振り回されるのはメンタルが持たない。どうしても気になる、ブームに乗りたい、という、自身が運営するサロンメンバーの相談には、「一株だけ買って、はやりにいっちょかみする」という方法をアドバイスしている

 時価総額が大きいディフェンシブ株は、機関投資家が買えばいい。それよりも時価総額が1,000億円以下の、まだ誰にも見つかっておらず、これから伸びる中小型株を発掘するのが好き、と藤川さん。


 定点観測していた中小型株の決算時、次の決算までに伸びる!と読んだ銘柄を買い、次の決算で上がったら利益確定する、比較的短・中期の売買で利益を確実に増やし、次の投資の資金にするというのが藤川さんの投資スタイルだ。


 例えばカシオ計算機(6952)。AIロボットの「Moflin(モフリン)」が人気で抽選でないと買えない、という話題をキャッチし、業績を調べ上げた。次の決算が良くて次の日にすぐ購入。右肩上がりに伸びる株価をにらみ、3カ月後に利益確定して約20%の利益を取った。


 例えば三菱鉛筆(7976)。デジタル全盛のこのご時世でも手帳が売れている、というニュースをキャッチし、手帳が売れるなら書く方、つまり文房具も好調だろうとめどをつけ、文具銘柄を調べ上げた。


 三菱鉛筆とパイロットコーポレーション(7846)の株を決算後に仕込み、上がったところで売却。パイロットコーポレーションは目立った利益を得られなかったが三菱鉛筆はしっかりと利益をゲットした。


 コロナ禍で利益を上げられたのは、家具メーカーのオカムラ(7994)

家で仕事をすることが増え、いいデスクやイスが欲しいとショールームに行ったところ「すごく売れ行きが伸びている」と店頭スタッフからヒアリング。早速業績を調べ上げ、決算を確認して購入。利益が出たところで売却して確実に利益を積んだ。


「景気敏感株が嫌いで、外的影響をあまり受けない堅実な銘柄の成長の芽をいち早く見つけて仕込むのが好きです。そして長く持たないでコツコツ売却して利益を取りに行く。これを繰り返して、老後の不安がなくなる程度まで資産を築きました」


大人が楽しむ姿こそが、次世代への最高の「遺産」

 子どもの大学卒業まで見届け、教育費用の心配がなくなったとはいえ、これから迫りくる老後のために資金を残しておきたくなるのが人の常。そこを「ゴージャスにファーストクラスで世界一周」に逆張りし、自分の楽しみにお金を使ったのはなぜか?


「身長体重などを入力すると寿命を計算してくれるアプリがあるんですけど、そこで私は[93歳まで生きる]という結果が出たんです。これから40年近くある。今はお金も時間も体力もありますが、10年後だと、残りの人生に与える影響が違ってくる。長生きするなら早いうちに人と違う経験を積みたい。同年代の友達はどんどん亡くなってしまうだろうから、若い友達をつくらなきゃならない。そのためにも、自分だけが誇れる経験や話のネタを持っていたいと思いました」


 世界を旅してみて、さまざまな年齢、国籍の旅チューバーと出会った。

自撮りしながらイキイキと楽しそうに街を歩く彼らを見て、自分も楽しんでいる姿を見せたいと思うようになった。予想外の出来事や失敗すら、自分だけの経験とネタになる。


大人こそ自分にお金を使うべき!55歳、ファーストクラス世界一周ひとり旅で見つけた自分の「伸びしろ」。旅する投資家・藤川里絵さんインタビュー
資産も構築でき、娘も育て上げ、日本では怖いものナシ状態だったが、海外では空港のチェックイン一つでドキドキする、臆病な自分も再発見。「逆に、まだまだやれることがある、伸びしろがあると思いました」。この旅で発見できたのは、自分の成長余白。「やったことがないから」「自分には難しそう」という壁を取り払うことができた

「それまでは、自分自身で[投資家]を名乗るのはおこがましい、と思っていたんです。胸を張って[投資家]を名乗れるのはやはり、投資だけで生活している専業投資家だけ、という線引きがどこかにありました。旅に出るまでに、面倒見切れないので個別株は少し減らしましたが、世界を旅しながら、株価を見て売買を判断はしていました。専業投資家ではないにしろ、[旅する投資家]なら名乗れるんじゃないか、と思ったんです」


 童話『アリとキリギリス』に当てはめると、日本人は圧倒的に[アリ]派が多い。楽しむことが下手で、将来の不安におびえ、とにかく巣穴にためこみたがる。ためこんだ末に使わずに死ぬくらいなら、自分のためにお金を使い、楽しんだ方がいいに決まっているのだが、なかなか踏み切れない人が大多数だろう。


 だが藤川さんの提案は「仮でいいから、何歳で死ぬって自分で決めてしまおう」と、大胆だ。


大人こそ自分にお金を使うべき!55歳、ファーストクラス世界一周ひとり旅で見つけた自分の「伸びしろ」。旅する投資家・藤川里絵さんインタビュー
旅をする前は映像や知識でしかなかった風景も「行って、見て、感じた」という経験に変わる。友達との旅も楽しくてよいのだが、一人旅ならではの自由さはリスクを吹き飛ばすほどの解放感がある

「死ぬ年齢を決めたら、その年齢まで生活するのに必要な額が分かる。だったら、それ以外のお金は自分が楽しむために使っていいってことになります。それに年を取ると、食事量も少なくなるし都内だとバスも無料。

体力もなくなるから使うお金も減っていきます。だけど、その分を孫や子どもに遺そうなんて思わなくていい。この前、娘に[ママって本当に自分のことが好きだよね。それっていいことだよね]と言われたんですが(笑)、私も[それでいい]と本当に思います。だって、大人が楽しんでいる姿を子どもに見せないと、子どもが[大人になりたい]って思わなくなっちゃう」


 きゅうきゅうと生活を切り詰め、不安のあまり資金をためこむだけの大人たちを見て、子どもは「早く大人になりたい」と思わないだろう。それよりは全てを自分で選び、自分のためにお金を使い、毎日ワクワク過ごしている姿を見せることがいちばんの「遺産」になる。藤川さんの世界一周の旅は、次のステージの自分への投資として、さまざまな形で再生されるはずだ。


大人こそ自分にお金を使うべき!55歳、ファーストクラス世界一周ひとり旅で見つけた自分の「伸びしろ」。旅する投資家・藤川里絵さんインタビュー
『 知識ゼロでも週3000円の投資で100万円が勝手に貯まる本 』/著:藤川里絵/2026年04月23日発売/小学館

企画/取材/編集/執筆 金井雪子 


(トウシル編集チーム)

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