フランス・パリ近郊で6月に開催された防衛装備展示会「ユーロサトリ」において、ベルギーの防衛企業ジョン・コッカリル・ディフェンスは、旧式の主力戦車「レオパルト1」を大幅に近代化した車両を展示しました。
この車両の最大の特徴は、従来の砲塔を丸ごと取り外し、同社が開発した新型砲塔「Cockerill 3105」に換装している点です。
さらに、この砲塔は現代戦を強く意識した能力も備えています。偵察ドローンが発見した目標情報を受信し、自車から間接的に曲射し、直接見えない敵を攻撃するBLOS(Beyond Line of Sight:見通し線外)射撃に対応。戦車でありながら、直接射撃だけでなく、見通し線外への遠方射撃も可能となっています。
半世紀以上前に設計されたレオパルト1ですが、砲塔を換装するだけでドローンとの連携を含む現代戦への適応能力を獲得した点が、この近代化プログラム最大の特徴といえるでしょう。
担当者によれば、この仕様の車両はすでにウクライナで運用されているとのことでした。旧式兵器を近代化して活用するという考え方は、新型戦車の生産に時間がかかる現在、防衛産業が直面する供給不足への現実的な解決策として注目されています。
「新造」より「再生」を選んだ理由ジョン・コッカリル・ディフェンスは、25~120mm級の砲塔・兵器システムを主力製品とするベルギーの防衛企業です。一方で、軍用車両の整備・修理・近代化(MRO)やライフサイクルマネジメントも重要な事業として展開しています。
主に退役した戦車や装甲車をオーバーホールし、用途変更や能力向上を施して再び戦力化する事業を世界各国で展開しており、近年はウクライナ向け車両の再生・改修も手掛けています。
今回展示されたレオパルト1も、そのノウハウを生かした近代化プログラムです。
会場ではレオパルト1以外にも、M113装甲車の車体に同社製の新型砲塔を組み合わせた車両も展示されており、その改造の汎用性の高さもアピールされていました。
ロシアによるウクライナ侵攻は、「新しい戦車を造る」だけでなく、「既存の戦車をいかに短期間で戦力として再生するか」という課題も各国に突き付けました。レオパルト1のように実績ある車体を生かし、砲塔だけを最新化するという発想は、今後の戦車近代化における有力な選択肢となりえます。

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