2020年代になって戦場で注目され始めたFPVドローンや自爆ドローンは、今や大量導入され、地上の車両や将兵にとって大きな脅威となっています。しかも、脅威であってもかなり安価な兵器であるため、高価な対空ミサイルで迎撃するのは費用対効果が悪く、「確実かつ安価な迎撃手段」の獲得が新たな課題となっています。
こうした流れを受けフランス・パリ近郊で開催された防衛装備展示会「ユーロサトリ」で、ドイツのラインメタルは「Last Line of Defence(最後の防衛ライン)」と題した展示を行いました。そして、同社がいうところの「最後の防衛ライン」の中核を担っていたのは、最新レーザー兵器でも電子妨害装置でもなく、7.62mmガトリングガン(回転式多銃身機関銃)を搭載した「RCWS 320C-UAS」でした。
これは小型ドローン迎撃に特化して開発された遠隔操作式銃塔(RCWS)になります。重量は弾薬込みでも約530kgと比較的軽量で、装甲車だけでなくトラックやピックアップトラック、固定施設など幅広いプラットフォームへの搭載を想定しています。
武装は7.62×51mm NATO弾を使用するガトリングガンで、毎分3000発を発射可能。最大3500発の弾薬を搭載し、有効射程は約600mです。
銃塔には昼間用カメラ、赤外線カメラ、レーザー測距機を備えた光学照準装置「SEOSS 320」に加え、小型AESAレーダーも組み込まれています。レーダーは小型ドローンを約1200mで探知し、約1000mで識別。その後はAIを活用した画像認識によって自動で目標を追尾し、即座に迎撃へ移行します。
ラインメタルでは、レーザー兵器や迎撃用ドローンなど多彩な対ドローン兵器を開発しています。ではなぜ今回、最後の防衛手段として昔ながらの銃を選んだのでしょうか。
最新技術を駆使しても「最後は撃ち抜く」のが最も確実だった2026年現在、世界各国の防衛企業では、ドローンに対抗すべく、ジャミングやGPS妨害、レーザー兵器など様々な迎撃手段が開発されていますが、それぞれ弱点があります。
さらに近年増えている複数機による「スウォーム攻撃」では、「群れで飛来した場合、それがレーザーの問題になる」とも話しており、一度に多数のドローンへ対処する難しさを指摘しました。
そこでラインメタルが最後の防衛ラインとして選んだのが、毎分3000発という圧倒的な発射速度を持つガトリングガンです。レーダーと光学センサーで目標を捕捉し、AIによる画像認識で目標を追尾しながら、100発程度の短いバースト射撃で弾幕を形成し、接近するドローンを物理的に撃ち抜くという考え方です。
もっとも、RCWS 320C-UASだけですべてを守るわけではありません。ラインメタルが構想する「Last Line of Defence」は、多層防御の最終段階です。遠距離ではレーダーや各種センサーで脅威を探知し、電子妨害やレーザーなどで可能な限り対処する。同社ではより大口径の対空迎撃システム「スカイレンジャー」も開発しており、これら防御網で防ぎきれなかったドローンに対して、最後の迎撃手段として存在するのがこのシステムなのです。
実際にウクライナの戦場では、時代遅れと思われた、ゲパルト自走対空砲の機関砲がドローン撃墜で、大きな注目を浴びたり、DShK38重機関銃やブローニングM2重機関銃を搭載したトラックなどが対空防衛任務をしている姿などが見られ、同国国防省が撃墜動画などをSNS上に公開し、その有効性をアピールしているケースなどがあります。
安価な兵器を高性能である兵器を併用しながら戦闘を実施する、ハイローミックス化が戦場で進むなか、最先端技術と防衛戦術を追求した結果、最後の防衛手段として選ばれたのは、昔ながらの「銃撃」でした。「物理的に障害や脅威を撃ち抜く」という極めて古典的な方法が現在でも通用するということを証明しています。

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