※本稿は、矢野香『いい人で終わらないリーダーは「決めてから話す」 信頼される話し方の本質』(大和書房)の一部を再編集したものです。
■理想の自分を作るために「頼りたい人」
理想の自分を引き寄せるためには、スーツやメイク、髪型などを適切に選び取ることも必要です。しかし「難しそう」「面倒くさい」「自分のセンスでは無理」などと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
大丈夫。そんなときこそ、迷わずプロの力を借りましょう。装いは、才能ではなく技術です。ひとりで悩み続けるより、その道のプロフェッショナルに任せたほうが時間もお金も節約できます。
たとえば、スーツを買いたいと思ったら百貨店へ足を運ぶことをおすすめします。コンシェルジュサービスやパーソナル・スタイリングサービスが受けられるデパートも多くなりました。
彼らプロフェッショナルに「なりたい自分像」である「セルフ・パペット」のイメージを伝えれば、ふさわしいブランドやコーディネートを提案してくれるでしょう。
そもそもブランドの専門店や路面店は、入った以上何か買わなければ申し訳ない。
さらに、フリーランスのスタイリスト、ヘアメイク、イメージコンサルタントなど、パーソナルで伴走してくれる専門家もいます。自分の与えたいイメージを伝えて相談してみてください。たとえその場で商品を購入しなかったとしても、その道のプロフェッショナルと一緒に店頭を回ると大きな学びが得られます。自分では気づかなかった選び方の視点を知ることができるからです。
■プロに丸投げすると失敗する理由
俳優の中には、地方公演や海外出張に行くとき、いつも同じメイク担当者に同行してもらう方々がいます。専属のメイクさんです。なぜならその人は俳優の顔立ちだけでなく、これまで演じてきた役柄や見せたいイメージ、ファンからの期待までをトータルで理解しているからです。
私たちが専門家の力を借りるときも同じです。毎回違う人にその場しのぎで相談するより、毎回同じ方にお願いする。
ただし百貨店であれパーソナルサービスであれ、忘れてはならない心構えがあります。それは専門家だからと丸投げしないこと。
最初にしっかりと今の自分に似合うかどうかではなく、10年後の自分になるためのアイテムを探していることを伝えましょう。
イメージしたロールモデルや憧れの先輩の写真、ドラマのワンシーン、AIで作った理想のビジュアルなどを見せるのもよいでしょう。イメージが具体的であればあるほど、相手も提案しやすくなります。「自分をどう見せたいのか」「どんな役割を担うのか」を明確にした上で、一緒にセルフ・パペットを作ってもらいます。セルフ・パペットを操る糸の一本を彼らにも持ってもらうのです。
装いはひとりで完成させるものではありません。信頼できる専門家と共に設計していきましょう。
■年齢が驚くほど現れる身体の部位
年齢を重ねるほど必要になるポイントをお伝えしましょう。土台となる肌や髪の手入れが大切だということです。
肌のきめや髪のツヤは自己管理の証。それはそのまま信頼につながります。欧米では肥満体形は自己管理できていない証拠、エグゼクティブにふさわしくないと言われます。
髪や肌も同じです。どんなに高価な洋服も手入れができていなければ安っぽく見えるように、荒れた肌やバサバサと乾燥した髪は、どんなに素敵な服を着たり、高い靴を履いたりしていても、疲れただらしない人に見えてしまうでしょう。
どこから改善すべきか迷うならば、まずは髪質から始めることをおすすめします。メイクは今日からでも変えられますが、髪質は一朝一夕で変えられないからです。美容師さんに自分のイメージを伝えたところ、「それは実現できるが、今の髪からだと半年以上かかります」と言われたクライアントがいらっしゃいました。
■なりたい自分を具現化するコツ
美容師やサロンも、あなたのセルフ・パペットを手伝ってくれる専門家の一員に加わっていただきましょう。とはいえ、技術が高く、相談しやすく、価格も納得でき、しかも自分に合っているサロンを見つけるのは簡単ではありません。
だからこそ一度で決めようと焦らないでください。
さらにいえば、すべてを1カ所に任せる必要もありません。クライアントの中にはカットとカラーと髪質改善で3つの美容室を分けている方もいるほどです。
大切なのは「誰に、何を任せるか」を自分で決めること。あなたのセルフ・パペットを一緒に操ってくれる、信頼できる仲間探しをしていきましょう。
ここまでお伝えしてきたことをひと言でまとめると、「すべてのアイテムはセルフ・パペットのイメージを周囲に記憶してもらうためのもの」ということです。
いつも同じ色とデザインのスーツを着ている。いつも同じ髪型をして、同じアイテムを持っている。そしていつも同じような口調で同じようなことを言う。それが定着して初めて「やっぱり」を仕掛けることができます。
■「流行っているから」という理由はNG
たとえば玉ねぎ型の髪型と衣装のシルエットを見れば、誰もが「あ、黒柳徹子さんだ」とわかるでしょう。そしてあの口調や声が思い浮かびます。髪型や個性的なドレスが彼女のアイコンとして機能しているからです。
大切なのは、「やっぱり」と言われるまでひとつのスタイルを貫くこと。アイテムはそのための道具です。
もちろん最初からすべてのアイテムをそろえるのは難しいでしょう。
だからこそ、まずは最初に何かひとつだけ加えてみてください。値段がお手頃で種類が多く、気軽に始められるのは文房具でしょう。面積が大きくて効果が早いのは洋服。「時計コレクターだ」「メイクが好き」など自分の好きなものから始めてもかまいません。
これからは「憧れていたブランドだから」とか「今これが流行っているから」といった基準で選ぶのはやめましょう。
自分のセルフ・パペットにふさわしいものは何か。
そんなアイテムに出会えたら、同じ型のスーツを季節に合わせて素材違いで揃えたり、ネクタイやアクセサリーを色違いで持ったりなど、思い切っていわゆる“大人買い”をすることもできます。「あの人といえばこのスタイル」と言われる状態を作るためです。
装いがぶれない人は判断もぶれないように見えます。外見の安定は内面の安定をイメージさせます。一貫性は、信頼への重要な土台となるのです。
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矢野 香(やの・かおり)
長崎大学准教授/スピーチコンサルタント
NHKで主にニュース報道番組を17年担当した後、現職。専門は心理学・コミュニケーション論。政治家、経営者やビジネスパーソンに信頼を勝ち取るコミュニケーションを伝授。著書に『世界のトップリーダーが話す1分前までに行っていること』(PHP研究所)、『最強リーダーの「話す力」』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。
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(長崎大学准教授/スピーチコンサルタント 矢野 香)

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