現在、自動車にはオーディオ機器が標準装備されているのが当たり前ですが、お気に入りの音楽と自動車で旅をする歴史の中で、かつて愛され、そして今改めて返り咲いたアイテムがあります。それが「ラジカセ」です。
1970年代から80年代にかけて、自動車とともにマストアイテムとして求められたのがラジカセでした。当時、一部の自動車にはカーステレオが搭載されていましたが、その数はまだ少数派でした。搭載にはある程度の費用が掛かるため、ラジオが聞けてカセットテープの再生もできるラジカセは、車内の必須装備の1つとして数えられていたのです。若者を中心に、自動車とラジカセは切っても切れない関係にありました。
その後、自動車のカーステレオでもカセットテープが再生できるようになり、次いで1980年代には新たなメディアであるCDが登場します。カーステレオや自宅のオーディオでCDが再生できる環境が整うと、ラジカセ側もそれに対応。まだまだ自動車とラジカセの蜜月は続いていきました。
再評価と復活の流れ転機が訪れたのは、MD(ミニディスク)やポータブルMP3プレイヤーが登場した時代です。この時期に差し掛かると自動車文化自体に陰りが見え始め、行楽に赴く手段はマイカーからレンタカーや公共交通機関へと移り始めます。マイカー所有率が下がり始めたのと時を同じくして、CDも段々とその市場を縮小し始めました。
この流れの中でラジカセも同様にその影響を受けました。次第に若者の文化から切り離され、ラジカセというカテゴリー自体が過去の遺物として追いやられてしまったのです。
しかし昨今、このラジカセが再注目され始めています。海外を中心に日本のレトロカルチャーを愛好する動きが広まっており、それに乗じて「頑丈で音楽も聞けるクールなヴィンテージアイテム」としてラジカセが一定の評価を得ているのです。ですが、理由はそれだけではありません。
最新のラジカセはUSBメモリやBluetoothといった規格に対応しており、製品によっては従来のラジカセのようにカセットテープやCDも再生可能な機能を備えています。加えて、当時よりも技術力が向上した結果、搭載されているスピーカーの音質は相応に向上。今ではCDが聞けないカーステレオも増えてきた結果、「幅広いメディアに対応した、本格的なオーディオアイテム」としての地位に返り咲いたのです。規模こそ縮小しましたが、現代でもクルマの側にいることのできる「変わらぬ相棒」になりそうです。

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